外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】まさに一年前の今日、ロシアがウクライナへの侵略を開始をいたしました。
 本日開催された安保理閣僚級会合におきまして、私(林大臣)から、その侵略は国際の平和と安定に最も重い責任を有する安保理常任理事国による国連憲章違反であることを指摘しつつ、ウクライナの主権と領土一体性は尊重されなければならず、ロシアが侵略戦争を直ちに停止し、ウクライナから撤退すべきであること、そして、国際社会として同国を引き続き支援していくことが重要であるということを改めて明確にしました。
 本件は欧州の戦争ではなく、ロシアによる法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する重大な挑戦であります。世界のどこであれ、力や威圧による現状変更の試みは決して認められません。
 こうした認識が広く共有されているからこそ、昨日、全国連加盟国の7割以上を占める141か国がウクライナの平和を求める総会決議を強く支持したと考えます。
 また、今回のニューヨーク滞在中、ガーナ、スロバキア、グアテマラ、スペイン、イタリア、マルタ、ハンガリー、オランダ、クロアチアとの間でバイ会談を行いまして、また、太平洋島嶼国の国連大使等とも意見交換を行ったところでございます。
 これらの会談を通じまして、ウクライナ情勢に関する認識の共有を深めるとともに、二国間関係、また、先般のICBM級弾道ミサイルの発射を含め度重なる挑発行為と安保理決議違反を繰り返す北朝鮮への対応等のですね、地域・国際情勢、また、国際社会の共通の課題についても率直な意見交換を行い、連携を確認をしました。
 今回の訪問を通じて改めて感じましたのは、安保理の機能不全が指摘される中にあっても、国連がですね、国際世論のメインストリームを形成する上で重要な役割を果たし得るということであります。日本としては、安保理改革を含む国連の機能強化を追求しつつ、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化に引き続き努めていく考えでございます。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】大臣は、昨日の国連総会緊急特別会合後の記者団への説明で、決議の採択にあたって「グローバルサウスを含む多くの諸国に賛成を呼び掛けてきた」旨、説明されましたけど、様々な立場の国がある中、働きかけを行う中でどのような点に難しさを感じましたでしょうか。お願いします。

【林外務大臣】昨日、ウクライナの平和を求める総会決議、これが、全国連加盟国の7割以上を占める141か国の賛成により採択されたことの意義、これは大きいと考えます。
 ともすると、この本件はですね、欧州の戦争、すなわちウクライナ対ロシアの戦争であると捉えられがちでありますが、今回、大多数の国々が決議を支持した背景には、我々の様々な働きかけもあり、国際社会の平和と安全に最も重い責任を有する安保理常任理事国が国連憲章への重大な違反を行っていること、また、世界中のどこであっても力による一方的な現状変更は許されない、こういう認識がですね、広く共有されたことにあるというふうに考えております。
 同時に、グローバルサウスと呼ばれる多くの諸国は、この地域紛争、また、テロ、食料・エネルギー危機、感染症、気候変動などですね、様々な問題にそれぞれ直面しておりまして、先進国がこうした諸課題にもですね、しっかり支援の手を差し延べて対応していくことがより一層重要になっているということを感じたところでございます。

【記者】国連総会の緊急特別会合の関連でございます。採決ではですね、反対や棄権などに回ってロシアへの配慮を示した国がおよそ50か国にのぼりまして、国際社会の分断が改めて浮き彫りになりました。G7議長国として5月の広島サミットに向けて、ウクライナ情勢をめぐりどのように働きかけて、リーダーシップを取っていくお考えでしょうか。

【林外務大臣】この繰り返しになってしまうかもしれませんが、今般の国連総会決議は全国連加盟国の7割以上がロシアによる侵略の即時停止を求めるとともに、ウクライナへの力強い支持を表明したものと考えております。
 ロシアの暴挙を決して許さずですね、一刻も早くロシアの侵略を止めるため、我が国は厳しい対露制裁を科すとともに、主権と領土、そして祖国と家族を守ろうとして懸命に行動するウクライナ、これ強力に支援してきました。これまで我が国はこうした方針にてG7で結束して対応してきたところです。
 また、いわゆるグロ-バルサウスの国々を含めた国際社会が結束して声を上げていくことが重要であります。先ほど行われましたG7首脳テレビ会議でもですね、グローバルサウスへの関与、また支援の重要性を共有しまして、協力して働きかけていくということで一致をしました。
 引き続き、こうした国々に対しまして、法の支配に基づくこの国際秩序の維持、そして強化の重要性を訴えつつ、丁寧に働きかけを行って、理解を得ていく必要があると考えております。日本は、これまでにも様々な機会を利用して各国へのアプローチを続けてきておりますが、今年のG7議長国として、国際的な議論を積極的にですね、主導していきたいと考えております。

【記者】ウクライナ情勢に関連しまして、中国政府は24日に自国の立場を示す文書を公表しました。それによりますと、ロシアとウクライナ双方が歩み寄って全面的な停戦を目指すべきだという内容です。ウクライナ情勢の現状を踏まえて、中国が示したこうしたスタンスについて、大臣の受け止めをお願いいたします。

【林外務大臣】はい、現在ロシアはウクライナに対する攻撃を現在も続けているほかですね、プーチン大統領も併合したウクライナの一部地域は交渉の対象ではないと述べるなどですね、歩み寄ろうとする兆しが一切見られないところです。ウクライナが賢明に祖国を守る努力を続ける中で、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきか、これはですね、ウクライナの人々が決めるべき問題だと考えております。
 中国外交部は24日に「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する12項目からなる文書によりウクライナ情勢による中国の立場を発表したと承知をしております。我が国としては、ウクライナ情勢をめぐって、中国ともですね、意見交換を行ってきており、引き続き責任ある対応を強く求めてまいりたいと考えております。


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