経産省・新着情報

2023年2月17日(金曜日)
9時52分~10時12分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

原子力政策

私から2点申し上げます。
まず、1点目は原子力発電所の運転期間の延長についてであります。

先週10日に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針では、安全性の確保を大前提とした運転期間の在り方について盛り込んだところであります。現在関連法案の閣議決定に向けて準備を進めているところでありますが、本日閣議の後に岸田総理から御指示を私と西村環境大臣にございました。

その指示の内容は、まず原子力の運転期間について、安全が全てに優先する。これはこれまでのそういう方針でありましたし、今後もその方針であります。そうした方針の中で、原子力規制委員会の議論におきまして、委員から制度変更への反対意見があったということを受けまして、国民の皆様の不安を払拭していくためにも、国会審議などにおいてしっかりと説明ができる、そうした準備を進めた上で法律案の閣議決定を行うべきという御指示がございました。

さらに今申し上げたとおり原子力は安全が最優先であると、安全の強化なしに利用を進めることはない。その上で国民の不安を最大限払拭すべく今回の政策措置の趣旨について丁寧な説明のプロセスを進めるとともに、新たな安全規制の具体化、的確な安全審査に向けた官民の体制整備を進めてほしいという御指示がございました。

この岸田総理の御指示も踏まえまして、電気事業を所管する立場として本日電気事業連合会の池辺会長と面談を行い、改めて運転期間の延長について安全確保、これが大前提、安全が利用政策に優先するということ、規制委員会の厳格な審査をクリアできなければ運転できないという大前提は全く変わらないということをお伝えした上で、安全対策に万全を期すこと、審査に的確に対応することなどを要請する予定にしております。

また、国会での議論をはじめ様々な場を通じて、こうした政府の考え方をしっかりと説明し、原子力の利用に対する国民の皆様の不信や不安な思い、これに応えていくために幅広い御理解を得られるよう丁寧な説明を尽くしてまいりたい、徹底してまいりたいと考えております。

山口・福岡出張

もう一点、本日夜からでありますが、明日、明後日で山口県、福岡県に出張いたします。

明日山口県では出光興産の徳山事業所を訪問しまして、燃料アンモニアの輸入基地、混焼設備の建設予定地などを視察する予定であります。コンビナートとしてのアンモニアの拠点整備を進められている状況を視察したいと思っております。

次に、福岡県ではEVモーターズ・ジャパンを訪問いたします。EVバスの国内工場の建設計画をお伺いするとともにEVバスにも試乗する予定であります。また、安川電機を訪問しまして、最新の研究開発拠点、先端技術を搭載したロボットなどを視察する予定であります。最後に九州大学発ベンチャーでありますQPS研究所を訪問し、小型衛星の製造現場を視察いたします。

今回の出張で各企業の最新の取組状況、研究開発などの最先端の状況をお伺いし、今後のカーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーションの推進に向けた政策につなげてまいりたいと考えております。

私から冒頭以上です。

質疑応答

原子力政策

Q:よろしくお願いします。
先ほどのまず総理からの指示で確認させてください。
総理の指示で国民の不安を払拭するため、しっかりと説明できる準備を進めた上で閣議決定するということですけれども、電気事業法とか核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の束ね法案が既に自民党の政調審議会でも通っていまして、恐らく早ければ来週に閣議決定して国会提出するのかなという想定だと思うのですけれども、しっかり説明する。準備を進めるという意味では、閣議決定を少し時間を置いた上で閣議決定すると、そういうことも考えていらっしゃるのでしょうか。

A:岸田総理は、先週来国会での議論、与野党様々な御議論ございましたし、また原子力の安全規制について様々な御意見があったという中で、改めて安全最優先という趣旨を国民の皆様にしっかりとお伝えすべきというお考えの下で御指示があったと思っております。認識しております。この御指示を踏まえまして、この後先ほど申し上げた電力事業者、原子力事業者への指示をはじめ、国民の皆様の理解を得るために御理解を深めていくための取組を進めていきたいと考えております。
法案の速やかな閣議決定を目指して準備は行っておりますので、丁寧な説明を尽くし、また、総理の御指示に沿って体制整備などを行っていくという中で、できるだけ早く閣議決定を目指したいと思いますが、一定の時間も必要だと思います。何か今の時点でスケジュールありきで進めているわけではありませんけれども、そうした総理の御指示を受けて、丁寧に物事を進めていきたいと考えています。

Q:来週閣議決定は延期するということもあり得ると。

A:与党手続は既に終えているという理解ですけれども、法案の閣議決定について何かスケジュールを今の時点で決めているものではありません。できるだけ早くとは思っていますが、総理の御指示もございましたので、丁寧に進めていきたいと思っています。

Q:しっかり説明できる準備というので、今日電気事業連合会の会長とこの後会談するということ、ほかにそれ以外にどういったことをやるというのを経済産業省として想定されているものはあるのでしょうか。

A:丁寧に説明していきたいと、さらに何ができるかを含めてしっかり考えたいと思いますが、いずれにしても丁寧に説明をし、国民の皆様に理解を深めていただくということ、あわせて環境大臣の方で環境大臣として取り組まれることもあると思いますので、2人に、私と環境大臣に指示がございましたので、その状況を踏まえて今後法案の提出に向けて引き続き準備は進めていきたいと思っております。

日銀人事

Q:改めての質問になりますけれども、今週火曜日に日銀の正副総裁の人事案が提示されました。総裁には経済学者の植田氏、副総裁には前金融庁長官で金利政策に精通された氷見野氏、また日銀プロパーの内田氏を起用すると、そういう陣容になりましたけれども、この3人のトロイカ体制についてどう大臣は評価されますか、伺えないでしょうか。

A:まず、現在の経済の状況の認識についてなのですが、かねてから申し上げているとおり何よりもデフレから脱却して、持続的な経済成長の実現につなげていく、その言わば私はラストチャンスだと思っております。日本経済にとって大きな分岐点に来ていると、そうした中で賃上げや国内投資、設備投資への意欲が民間企業の側でも出てきている現状ですから、それをしっかりと進めることでアベノミクスを仕上げていき、持続可能で包摂的な経済成長、これを実現していく、その重要な局面に来ていると思います。そうした中で今回日銀の正副総裁の人事が国会に提出されました。
植田総裁候補につきましては、私も何度か意見交換もしたこともあります。非常に国際的にも著名な経済学者、特にMITでフィッシャー教授の下で国際的な有名な方々、サマーズさん、ドラギーさん、あるいはバーナンキさんといった、こうした方々を輩出しているフィッシャー教授の下で学ばれ、そうしたネットワークも持っておられる。金融分野に高い見識を持たれてネットワークを持っておられる方でありますので、安定感も含めてお持ちの方だと私自身は認識しております。
そして、副総裁候補の内田さんも私が副大臣の当時から経済再生担当大臣のときも含めていろいろと意見交換を行ってきた仲でありますし、アベノミクスの最初のときからその経緯、その後の状況も含めてよく認識しておられる方でありますし、また氷見野さんも安倍政権で金融庁長官を務められ国際的にも著名な方ということで、そういう意味で非常にバランスの取れた安定感のある、そしてアベノミクスを仕上げて日本経済を成長軌道に乗せていく、そうした重要な局面で我々政府、日銀が連携をして協力をしてやっていける、そうした人選だと認識しております。
その上で、今申し上げた連携をしながら国内の設備投資をしっかりと増やしていく、さらにはこの春の賃上げをしっかりと後押しをしていく、特に中小企業の賃上げを何としても実現できる環境を価格転嫁や生産性向上の支援、しっかり行っていきたいと思いますし、また未来への投資ということで人材のリスキリングなど、昨日も議論がありましたけれども、キャリアアップし所得が向上していく、そうした仕組みを経済産業省としても実行していきたいと思いますし、アベノミクスを仕上げてデフレから脱却し、持続的、そして包摂的な経済成長につなげていきたい。そんなふうに考えております。

電力料金

Q:もう一問ですけれども、大手電力の規制料金の値上げ審査ですけれども、今週月曜日、13日に河野消費者担当相が東北電力、中国、四国、沖縄の4電力トップから直接ヒアリングを行いました。これはカルテル問題とか新電力の顧客情報の不正閲覧など、不祥事が相次いでいることを踏まえた対応だと思いますけれども、今後の値上げ申請審査とさらに認可に向けて消費者庁とどう連携を図っていくのか、お考えをお願いします。

A: 規制料金の値上げの認可に当たっては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議することとされています。消費者庁とも当然その過程で協議を行うこととなっております。
現在電力・ガス取引監視等委員会の公開の審議会において、消費者庁から燃料費や経営効率化などについて様々な指摘を頂いていると承知しています。経済産業省としては、こうした指摘に加えて、いわゆる公聴会を開いてきていますので、その場での御意見やあるいはパブリックコメント、国民の声を通じて寄せられた御意見を踏まえまして燃料費の見積り、あるいは経営効率化の取組などを含めて、消費者の理解が得られるように厳格に審査を行っていきたいと考えております。

電力会社情報漏洩

Q:昨日大手電力10者全てで不正閲覧が発覚しました。電気料金の値上げ申請もある中で、電力会社への不信感が広がる一方だと思います。まず、この事態の受け止めと今後の対応、そしてこの後池辺会長には何か再発防止策など求められますでしょうか。

A:二つの事案、先般から一つは一般送配電事業者が保有する顧客情報が不適切に閲覧可能な状態に置かれていた事案、それから今回の再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の認定事業者の情報閲覧事案、いずれも電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾であると認識しております。
今回の事案が判明した全ての事業者に対しては、その経緯や目的、原因の究明に加えて再発防止策の報告を求めているところであります。
また、先週10日には全ての一般送配電事業者に対して事業の中立性、信頼性を確保するためにログの定期的な解析等の法令等遵守のための取組に加えまして、それを確実にするための組織、体制や仕組みを整備するよう緊急指示を行ったところであります。
今後各事業者からの報告を精査するとともに、一般送配電事業者の情報管理の在り方や経済産業省が保有する再エネ業務管理システムの運用の在り方についても十分に検証し、再発防止を徹底していきたいと考えております。
その上で、本日は原子力発電所の運転期間延長に関する事業者への指示、要請が私の主たる今日の面談の目的でありますけれども、このことについても中立性、信頼性を確保するためにしっかりと取り組んでほしい旨は伝えたいと思っております。

先端半導体

Q:昨日北海道知事がラピダス社を訪問して工場の誘致を正式に要請しました。ラピダス側も北海道を有力な候補地として検討しているようですけれども、この動きについて大臣の御見解と、あと北海道の可能性についてお願いいたします。

A:御指摘の報道、特に北海道知事がラピダスを訪問し、誘致を要請したということは聞いております。新しい工場の場所につきましては、ラピダスが決めることでありますので、コメントは差し控えたいと思いますが、ラピダスとしては電力の確保、水の確保、人材の確保、それから将来のことも考えると工場の拡張の可能性、それなりに広い土地が必要だと、これは小池さんからも私も聞いておりますので、そうした観点から現在候補地を絞り込んでいる状況だと認識をしています。
いずれにしましても、日米連携の象徴である正に次世代半導体のプロジェクトですので、着実に前に進んでもらいたいと思っております。どこに新工場がなるかは別として、2020年代後半に次世代半導体の製造基盤の確立に向けて、工場立地の議論が進んでいくこと、加速されることは歓迎しております。
経済産業省としてもしっかりと応援していくということでありますので、この動向をしっかりと見ていたきいと思っております。意思疎通をいろいろ図っております。

原子力政策

Q:冒頭で御発言のあった原子力の関係なのですけれども、総理の指示の内容として、新たな安全対策の具体化ということも挙げられていたと思うのですけれども、こちらは何か対策としてどこかのタイミングで打ち出すということになるのでしょうか、またそれをもって法案の閣議決定をするかどうかを判断するという趣旨なのでしょうか、そのあたりをお伺いできればと思います。

A:総理からの御指示で先ほど申し上げましたけれども、丁寧な説明のプロセスということと同時に、御指摘のように新たな安全規制の具体化、それから的確な安全審査に向けた官民の体制整備ということで御指示がございました。
安全規制の具体化につきましては、規制委員会の方で議論されると思いますので、それらについては私からはコメントを控えたいと思いますが、いずれにしてもその点については安全が最優先であるということで、独立性の高い規制委員会の安全性の確認がないと運転できないということは大前提でありますので、そうした中で規制委員会が考えられることだと思います。
その上で、的確な審査に向けた官民の体制整備ということでありますので、安全審査の官の方は正に規制委員会の方で考えてもらい、民の方は今日電気事業連合会会長の池辺会長に私からお話をしたいと思っております。
私のところと環境大臣のところでそれぞれ総理の御指示を受けて、やるべきことをやりながら、法案提出に向けた準備も進めていきたいと考えております。

以上

最終更新日:2023年3月1日

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