経産省・新着情報

2023年2月24日(金)
10時16分~10時41分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

物価・賃金・生活総合本部

私から冒頭物価・賃金・生活総合本部についてお話し申し上げます。
私からこの本部におきまして、補正予算など進捗状況について報告を行いました。
まず、エネルギー価格高騰への対応でありますけれども、御案内のとおり電気、都市ガスにつきまして、激変緩和事業として今月から1月の使用分から需要家の皆様に利用明細などで値引きを確認できるようにしながら緩和策を執行していっております。
それから、電気の規制料金につきまして、昨年11月から本年1月にかけて、大手電力会社7社から改定申請が行われたことを受けまして、燃料費の見積り、それから経営効率化の取組など厳格に審査を行っていくことも報告いたしました。
LPガスの事業効率化に向けた補助金であるとか中小企業向けの省エネ診断、省エネ設備投資を促す補助金、こうした事業についてできるだけ執行の前倒しをし、迅速に進めていくことも御報告いたしました。
ちなみに本日消費者物価指数が公表されまして、総合4.3ということで高い数字になってきております。生鮮食品、エネルギーを除いてもコアコアで3.2ですからかなり上がってきているわけであります。電力、ガスのかなりの価格で1月分上がっておりますが、これは過去5か月前から3か月前の燃料費を反映しておりますので、1月分ということですから去年の8月から9月、10月の3か月分の燃料費を反映しております。御案内のとおりLNGは9月頃ピーク、今のところ非常に高い数字になっておりますし、為替も10月20日頃に150円ということで、最も円安の状況になっておりますので、そういう意味で高い燃料代、安い為替を反映して円ベースで輸入価格は非常に高くなっているということを反映しているということだと思います。いずれにしても燃料費の見積り、あるいは為替などもどう考えていくかという点もしっかり厳正に見ていきたいと思っております。
次に、継続的、構造的な賃上げについてでありますが、先日こうした賃上げに向けた機運を醸成すべく、大企業の皆さん、そして中小企業の皆さんと車座で議論いたしました。多くの企業において賃上げに向けて非常に積極的に前向きに取り組んでおられます。それ以外の様々な企業からも相次いで賃上げが表明されるなど、非常に前向きな新たな動きが活発化しつつあることを歓迎したいと思っております。
今年度充実をいたしました賃上げ税制に加えて、成長分野への労働移動を見据えながら徹底したリスキリングを行う予算を確保しておりますので、それもしっかりと進めることも御報告いたしました。
その上で雇用の7割を占める中小企業の賃上げが鍵であります。そのための価格転嫁対策と生産性向上のための取組についても徹底して行う旨を報告いたしました。価格転嫁につきましては、交渉転嫁の状況が芳しくなかった約30社の親事業者に対する指導、助言を今月から行ってきております。また、多くの取引先から回答があった発注側企業約150社についての交渉、転嫁状況のリストも初めて作成、交渉したところであります。
また、生産性向上に関連して事業再構築補助金において給与総額を3%以上増加させる事業者に対して公募が3月下旬から始まりますけれども、その際新たに加点するということにしております。こうした取組について報告いたしました。
その上で総理から電気の規制料金の改定申請について、あらゆる経営効率化を織り込み、直近の為替や燃料価格水準を勘案するなど、4月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な審査を行うことという御指示、また電力料金の抑制に向けた取組について3月中に検討し、結果をまとめるようにという御指示がございました。
この御指示を踏まえまして、エネルギー価格の動向、また国民生活、事業者への影響などを注視しながら、経済産業省としてしっかり検討を進め、必要な対策など機動的に対応してまいりたいと考えております。
私から以上です。

質疑応答

ウクライナ情勢

Q: よろしくお願いします。
本日24日、ロシアのウクライナ侵攻から1年に当たりますけれども、関連して2問伺います。

日本はG7各国と足並みをそろえてロシア産原油の取引価格に上限を設けるプラスキャップなどの経済制裁を強化してきましたけれども、この間の制裁の効果について大臣はどう見ているのか、伺えないでしょうか。

A: 御指摘のようにロシアのウクライナ侵略開始から1年となるわけであります。G7をはじめとする国際社会と緊密に連携しながら、経済産業省としても輸出入の禁止措置などを講じてきているところであります。
制裁の効果につきましては、我が国を含む各国の制裁措置等によってロシアで物価上昇とか、あるいは外国企業の撤退、操業停止、自動車等の鉱工業製品指数の低下、財政の悪化など様々なものが出てきていると思います。また、我が国からロシアへの輸出額も4割ぐらい1年間で減少してきておりますし、輸入は価格高もあって若干上がってきておりますけれども、石炭が半減、あるいは石油がゼロになるなど、実質的にはかなり減ってきているものと思います。燃料以外のものについても、かなりの割合で減っていると認識しています。
また、ビジネス環境の悪化、それからロシア政府による対抗措置、送金をできないようになっているなどですね、こうした措置などによって日本企業には様々な影響が生じております。各社の置かれた状況やニーズに応じて、進退も含め適正な判断を下せるように関係省庁と連携しながらヒアリングなども行っておりますし、コミュニケーションをよく取りながら、それぞれの状況に応じた形で状況に寄り添いながらサポートしていきたいと考えております。

本日夜G7の首脳オンライン会合が予定されておりますので、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携して適切に対応していきたいと考えております。

Q: 関連してですけれども、ウクライナ侵攻後天然ガスなどエネルギーの逼迫、価格高騰を招かれましたけれども、この世界的なエネルギー危機の中で日本として国内のエネルギーの安定供給に向けてどう取り組むのか、改めて伺えないでしょうか。

A: 御指摘のように、エネルギーの安定供給というものは何より重視されるようになってきております。そもそもコロナからの需要回復でエネルギー需給が逼迫する中で今回のウクライナ侵略が発生しましたので、様々な形で言わばエネルギー危機とも言える状況に直面しているものと思います。
エネルギーは国民生活、経済活動を支える基盤でありますので、安定供給の確保が最重要課題と認識しております。その上で脱炭素化といったカーボンニュートラルも進めていかなければいけないという非常に難しい局面になりますけれども、正にSプラス3Eの中でベストミックスを考えながら、またエネルギー危機にも耐え得る、そうした強靱な構造にも変えていかなければいけないとも思っております。
このため2月10日閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針において、エネルギー安定供給の確保に向けてあらゆる選択肢を追求していくということを前提に、まずは徹底した省エネ補助金なども用意をしております。そして、再生可能エネルギー、原子力といったエネルギー自給率の向上に資する脱炭素電源への転換を進めていく方針を明確にしているところであります。
これを具体化していくために、関連2法案の本国会の成立を目指すということでありますが、着実にこうした取組を実行することによって、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルの実現と両立に全力で取り組んでいきたいと考えております。

電力会社情報漏洩

Q: 2点お願いいたします。
1点目です。

電力大手の顧客情報の不正閲覧問題についてなのですが、経済産業省として電力大手に対して再発防止策の徹底などを指示しておりますが、岸田首相の方が先日予算委員会で電力市場の監視機能強化について何をすべきか、政府として取組を進めていくと発言をしています。経済産業省として制度面の見直しの取組をどのように進めていく考えか教えてください。

A: まず、今回の事案につきましては、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであります。極めて遺憾と認識しております。
御指摘のように、現在、電力・ガス取引等監視委員会において事案の解明に向けた調査を進めるとともに、公開の有識者会議におきまして再発防止策などについて議論を開始しております。今後同委員会の監視機能の強化についても議論する予定であります。
引き続き事実関係の確認、検証、事案への対応など十分に行った上で、電力市場の監視機能の強化について検討し、しっかりと取組を進めていきたいと考えております。

電力料金

Q: 2点目なのですが、先ほどの冒頭の発言に関連して伺いたいのですが、3月中に検討するという料金抑制の取組なのですけれども、即効性のあるものと考えると、現状の負担軽減策のような国が資金支援する以外に手の打ちようがないと思うのですが、その方向性について、拡充を検討するということなのかなど改めて伺わせてください。

あとそれに関連して、先ほどの発言で大手の規制料金が去年の秋頃であれば既に上限に到達していた時期かと思うのですが、その後は上がっていない状況だと思います。現状で上がっているのは、結局自由料金であるとか新電力の料金とかというところかと思うのですが、電力自由化でできた新しい料金の部分が競争によって引下げを目指した自由化の方の足を引っ張っているというか、料金の値上げにつながってしまっているわけですけれども、現状を踏まえて現時点での自由化に対する評価、この料金が上がってしまっている現状を踏まえて一言お願いできればと思います。

A: まず、電気料金の抑制に向けた取組などについてでありますけれども、まずは1月使用分、2月の支払分、請求分から行います激変緩和措置、これを着実にしっかりと需要家の皆さん、各世帯、中小企業の皆さんなどに届けていくことが重要だと思っております。
あわせて規制料金の改定申請については、先ほども御指摘ありましたように燃料調達の価格の見通しが適正であるかどうか、経営効率化と併せて厳格に見ていきたいと思っております。
あわせていろいろな声、一般の公聴会、あるいは対話集会などもずっと行ってきておりますし、様々な国会審議の中でもいろいろな御提案なども頂いておりますので、電気料金の抑制についてどのような方策があるかについては、関係省庁とも連携しながら検討を進めていきたいと考えております。
その上で電力市場についての評価でありますけれども、燃料価格の調達などが安いときは非常に様々なメニューを提供する新しい新規参入もあり、そのことが大手の電力事業者にも刺激を与え競争が促進され、経営の効率化につながってきている、あるいは電力料金の低下につながってきている面、これはあったものと思います。
ただ、自前の電源を持たない新電力の皆さんは、市場から調達する場合にその価格がどんどん上がっていったときに提供できるメニューが提供できなくなるということで、撤退があったり停止をされたり、あるいは最終保障の供給契約の方に行ったりということで、様々な課題も浮き彫りになったところであります。
そうした中で、私自身はやはり競争によって経営を効率化し、価格を下げていくという大きな方向性は、これは維持していかなきゃいけないと思っておりますが、やはり新電力、新規参入の皆さんが継続的に供給できるように、私どもが取り組み始めた一つは相対取引で電源を確保していくことへの支援、あるいは先物取引を通じてリスクヘッジをしてもらうこと、あるいは保険契約で一定の支援を行っておりますけれども、カバーするなど、様々な工夫をしながら、新電力の皆さんも供給を継続していけるようにということで取り組んでおりますが、今後いろんな状況も見ながらですね、必要な検証、分析を行って、不断の見直しを行っていきたいと考えております。
長い目で見て、24年度から容量市場が始まる、あるいは長期のオークション市場なども検討を進めているところでありますので、様々な検討の中で不断の見直しを行っていきたいと考えております。

ウクライナ情勢

Q: 私の方からも、ウクライナ危機についてなんですけれども、ウクライナの支援の在り方について、今後インフラの復興などで、日本の役割も期待されると思いますが、経済支援の在り方などについてどうお考えでしょうか。

A: 我が国としては、これまでも緊急人道支援、財政支援、あるいはわが省の関連で言いますと発電機等の供与といった越冬支援を順次実施してきているものであります。
更に経済産業省としても、昨年のG7、ドイツでのG7貿易大臣会合で発表しましたように、NEXIによる輸出保険あるいは投資保険、これを継続して引受けしております。これによって、ウクライナにおけるビジネスの活性化、あるいはウクライナからの輸出支援、これもJETROを通じた販路開拓支援であるとか、あるいは一村一品運動などでウクライナ産品の取扱いを開始するとか、またウェビナーでJETROがマッチングを行う、いろんな協業支援なども行ってきております。
こうしたことを通じて、ウクライナからの輸出支援、それからウクライナのスタートアップ企業との協業支援を進めてきておりますので、これらによって貿易ビジネス面を通じて、ウクライナの経済復興を後押ししてきたいと考えております。NEXIによる保険も全て戦争リスクをカバーしておりますし、しっかりとビジネス面で支援をしていきたいと考えております。
また本日、G7のオンライン首脳会合が開かれますので、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携しながら、正にこの寒い冬を迎え、困難に直面するウクライナの人々、方々に寄り添いながら支援をしていきたいというふうに考えております。

物価・賃金・生活総合本部

Q: 物価対策本部の関連で、先ほど大臣からも御説明があったように、岸田首相からですね電力の抑制について、4月という日程ありきではなくてという御発言があったんですけども、こちらは、現在大手7社、特に先行している5社の申請が4月からということで申請していると思うんです。

それが遅れるということになりそうなのかということと、あと厳格かつ丁寧な審査を行って、3月中に検討結果をということは、先の質問ともちょっとかぶるんですけども、その審査によって圧縮を図るということとは別に、何か別途新しい対策を検討していくということになるのでしょうか、お聞かせください。

A: まず、総理の御指示でありますので、燃料を調達するその価格のことなども含めて、厳格に審査を行っていくということで、4月という日程ありきではなく、厳格にかつ丁寧に審査は行っていきたいと考えております。
過去を見ても、大体数か月、4か月から5か月ぐらい審査に時間を平均すると要しております。早いとき、長かったときありますけれども、平均を見るとそのぐらい掛かっているということもあります。
それから、電力会社からすると、もう上限に達していますので、できるだけ早くという思いはあると思いますけれども、かなり先ほどの御紹介したように、燃料価格、それから為替も大きく変動しておりますので、この辺りも電力会社がどのように見ているかということと、私どももここは厳格に見ていきたいと、総理からもこうした状況を踏まえということで御指示がございましたので、厳格、丁寧に行っていきたいと思っております。
したがって現時点で、スケジュールにつきましては予断を持ってお答えすることは控えたいと思います。
そして、対策につきましては3月中にまとめるようにということでありましたので、まずは激変緩和策を着実に需要家の皆さんに届けるということをしっかりと行っていきたいと思いますし、それから電力ガス価格の高騰対策の地方交付金、これも93%ぐらい配られたということで今日報告がありましたので、各自治体の方にどのように使われて、どのように対策として効果を持っているのかということも見極めていきたいと思います。
その上で、国会でも、あるいは対話集会でもその他の声を頂いておりますので、そうしたことも踏まえながら、どのような対策が必要なのか、あるいは講ずるべきなのかということを含めて、各省庁とも連携しながら検討していきたいと考えております。

原子力政策

Q: すみません、追加でお願いします。
この場で先週も伺いましたけれども、原発の事実上の60年超運転を認める束ね法案の閣議決定と、来週以降になると思いますけれども、閣議決定と国会提出の見通しについて伺えますでしょうか。

また、先週、総理から新たな安全規制の具体化と的確な安全審査に向けた管理の体制整備を進めてほしいという指示がありましたけれども、その検討状況、進捗状況についても伺えないでしょうか。

A: 総理から御指示がございましたので、西村環境大臣の方は環境大臣で対応されていると思いますので、そちらはそちらでお聞きいただければと思いますが、私の方は、同日中、17日に電気事業連合会の池辺会長と面談をし、安全、これが利用政策よりも優先し、安全対策が最優先であること、そして、安全対策に万全を期すこと、審査に的確に対応することなどを改めて強く要請したところであります。
池辺会長からは、不断の安全性向上に取り組むということを約束されましたし、安全規制に係る具体的な制度、ルールの検討、作成に産業ダイで協力、貢献していくこと、あるいは厳格な安全審査にも丁寧に説明責任を果たす、真摯に対応するといった御回答がありました。
原子力事業者全体で安全管理の体制を改めて構築していくということの意思を確認したところであります。
そして、22日には北陸で対話の集会を開いておりますし、また、27日にも開く予定と聞いております。できるだけそうした対話集会の対話型説明会の開催、あるいはホームページを通じた情報発信など、丁寧に説明していきたいと思っております。
国民の皆さんへの様々な不安の払拭、あるいは的確な安全審査に向けた官民の体制整備ということで、これは閣議決定をいつするかにかかわらず、継続的に行っていきたいと思っております。

その上で、事業者に対して私から要請を行って、問題意識を共有しておりますので、そして、明確な意思を確認できておりますので、また、説明会も順次開いていっているということも含めて、一定の準備は整いつつあるのかなと考えているところであります。

以上

最終更新日:2023年3月7日

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