外務省・新着情報

令和5年3月3日

 3月2日、第52回人権理事会ハイレベルセグメントにおいて、中谷総理補佐官がステートメントを実施しました。

 まず、バレク人権理事会議長、アフメド副議長の就任に祝意を表します。議長、副議長の下で、本年の人権理事会が国際人権課題に効果的に対処するよう期待します。

 また、昨年9月に就任されたターク国連人権高等弁務官の精力的な活動にも敬意を表します。日本はOHCHRと緊密に協力し、国際人権の保護・促進に貢献します。

 副議長、
 私が昨年この場に立ったのは、ロシアによるウクライナ侵略の開始直後でした。あれから一年以上経ち、再び、この事態に言及せざるを得ないことを遺憾に思います。日本は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙を断固として拒否し、ウクライナを力強く支持し、いかなる地域においても力による一方的な現状変更は決して認めません。国際社会は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、今一度結束して明確なメッセージを発し、行動する必要があります。

 同時に、大震災に見舞われたトルコやシリアを始め、世界各地で厳しい状況に置かれた一人ひとりの人権状況に想像力を働かせることを忘れてはなりません。

 2011年の東日本大震災を始め、大きな自然災害を経験してきた日本は、地震の被害に遭われたトルコ及びシリアの方々を最大限支援します。既に、国際緊急援助隊の派遣や緊急援助物資の供与を実施したほか、国際機関及び日本のNGO等を通じた約2700万米ドルの緊急人道支援の実施を決定しており、今後も被災者が必要とする人道支援、復興に向けた努力を後押しします。

 副議長、
 人権擁護は国家の基本的な責務です。その実現を支援するため、国際社会は対話と協力を続けることが重要です。日本は様々な国と人権対話を実施するとともに、OHCHRへの拠出を通じてウクライナやスリランカ等の人権保護を支援しています。

 また、日本は、国際社会の声を反映し、カンボジア自身の努力を後押しする人権状況決議を起案し、全てコンセンサス採択されています。

 一方で、日本は、深刻な人権侵害に対してしっかりと声を上げていきます。

 ミャンマーで、今なお、事態改善に向けた動きがないことを懸念します。日本は、ASEAN諸国を含む国際社会と連携し、事態の改善に向けて努力します。

 自由、基本的人権の尊重、法の支配は、香港や新疆ウイグル自治区を始め、中国でも同様に保障されるべきです。昨年9月には、OHCHRから「中国の新疆ウイグル自治区の人権状況についての報告書」が公表されましたが、日本は、中国の人権状況を深刻に懸念しており、中国に対し、建設的で具体的な行動を改めて強く求めます。

 北朝鮮による拉致問題は、拉致被害者の御家族が御高齢となる中、時間的制約のある深刻な人道問題であり、その解決には一刻の猶予も許されません。北朝鮮人権状況決議は、拉致問題等を含む北朝鮮の深刻な人権侵害に対する国際社会の強い懸念の現れです。日本は、国際社会と緊密に連携し、北朝鮮に対し、拉致問題の即時解決に向けた具体的かつ前向きな行動を改めて強く求めます。

 副議長、
 日本は国内でも不断の努力を続けています。

 昨年私がこの場で紹介した、アジアで初めての企業の人権デュー・ディリジェンス・ガイドラインは、9月に公表されました。政府調達における人権尊重の取組も、早期導入に向けて議論しています。タイやバングラデシュでも、UNDPやILOの協力のもと、フォーラムやセミナーを実施しました。日本は、UNDP等に1400万ドルを拠出し、世界各地に進出する日本企業やその取引先による人権デュー・ディリジェンスの導入、途上国の制度整備を支援しています。

 女性の経済的自立に向けては、昨年7月には一定規模以上の事業主に男女間賃金格差の開示を義務付けました。12月には国際女性会議WAW(ワウ)!2022を開催し、各国の取組や好事例を共有しました。本年度、UN Womenに約2100万ドルを拠出し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを支援しています。

 性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見は、決して許されません。日本は、多様性を尊重し、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、自分らしい人生を送れる社会を実現します。

 ハンセン病差別撤廃に関しても、特別報告者の活動を引き続き支援していきます。

 副議長、
 日本は、福島の復興のためにも、国内外の安全基準に従い、安全性を最優先にして東京電力福島第一原発のALPS処理水の処分に取り組んでおり、人の健康及び海洋環境に悪影響を与えるような形で放出を認めることはありません。

 副議長、
 世界人権宣言75周年の本年、日本は、国連安保理非常任理事国及びG7議長国として、法の支配に基づく国際秩序を守り抜きます。人権状況の改善は、一朝一夕には成し得ません。日本は、引き続き、国際及び国内の人権の保護と促進に主導的役割を果たすべく、本年の人権理事会理事国選挙に立候補しています。多くの国の御支持をお願いします。

 御静聴ありがとうございました。


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