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2023年3月7日

経済産業省が所管する独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(本部:東京都港区、理事長:細野哲弘)と双日株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:藤本昌義)は、2011年に共同で設立した日豪レアアース株式会社(本社:オランダ・アムステルダム)を通じ、Lynas Rare Earths Limited(本社:豪州・パース、代表者:アマンダ・ラカーズ)が行う重希土類の生産等に関して出資を行うことになり、日本向けに供給する契約を締結しました。
経済産業省では、金属鉱物資源の権益獲得等に資する事業に対して、これまで出資による支援を行っていますが、重希土類を対象とした支援は初めてとなります。

1.出資支援の概要

金属鉱物資源の探鉱・開発は、資源獲得に不確実性があること、生産に至るまでのリードタイムが長いこと、必要な資金が多額であること等、大きなリスクを伴います。
企業のリスクの一部を負担するため、企業が関与する金属鉱物資源の探鉱・開発を出資により支援しています。

2.事業概要

独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下、「JOGMEC」)と双日株式会社(以下、「双日」)は、2023年3月7日、2011年に共同で設立した日豪レアアース株式会社(以下、「JARE」)を通じ、Lynas Rare Earths Limited(以下、「ライナス社」)への総額200百万豪ドル相当の追加出資(以下、「本出資」)を決定しました。本出資による資金は、ライナス社が掲げる中期成長計画の実行に充当され、軽希土類の増産や重希土類の分離開始などが計画に含まれています。JOGMECと双日は、本出資に伴い、ライナス社が生産するマウント・ウェルド鉱山由来の重希土類であるジスプロシウム及びテルビウムの最大65%を日本向けに供給する契約をライナス社と締結しました。これは国内需要の3割程度に相当するものと見込んでいます。

重希土類の権益獲得等に資する事業への出資支援は初めてとなり、日本企業が参画する鉱山からの重希土類一貫生産プロジェクトにおける初の日本向け供給契約となります。

ライナス社は豪州のマウント・ウェルド鉱山でレアアース鉱石を採掘しており、現在日本へ供給される軽希土類は、モーター用磁石の主原料として使用されています。脱炭素化の実現に向け、磁石は今後も需要の拡大が見込まれており、軽希土類の長期に渡る安定供給のため、ライナス社は生産能力の拡大を行います。

更に、ライナス社は、磁石に耐熱性を付与する重希土類であるジスプロシウム及びテルビウムの生産を開始します。現在、これらを生産しているのは中国のみですが、本出資により中国以外のサプライソースが加わることで、日本へのジスプロシウム及びテルビウムの安定供給に寄与します。

(参考1)レアアース(希土類)とは

レアアースは、レアメタルの一種で、17種類の元素(希土類)の総称。
電動自動車に不可欠なレアアース磁石の材料であるネオジムやジスプロシウム、HDDガラス基板等の研磨剤や自動車用排ガス触媒に使用されるセリウムやランタン等がある。

希土類の中で原子量が大きいものが重希土類であり、モーター内部温度が100℃を超えるような用途での磁石には、ジスプロシウムやテルビウムといった重希土類の添加が必要とされている。

Sc スカンジウム Y イットリウム La ランタン Ce セリウム
Pr プラセオジム Nd ネオジム Pm プロメチウム Sm サマリウム
Eu ユウロビウム Gd ガドリニウム Tb テルビウム Dy ジスプロシウム
Ho ホルミウム Er エルビウム Tm ツリウム Yb イッテルビウム
Lu ルテチウム            

(参考2)ライナス社に対するこれまでの出融資実績

2011年3月に、JOGMECと双日は、JAREを通じ、ライナス社へ総額 2 億 5 千万米ドル(約 200 億円)の出融資契約を締結し、その後、ライナス社は豪州西オーストラリア州マウント・ウェルド鉱山でのレアアース資源開発、およびマレーシアでのレアアース分離のための精錬所の建設を行いました。双日はライナス社が生産するレアアース製品の日本市場における独占販売契約を締結しており、磁石を含めた様々な用途の需要家にレアアースを安定供給しています。
また、2022年9月には、JOGMECと双日は、JAREを通じ、ライナス社が行うマウント・ウェルド鉱山の追加探鉱に9百万米ドル(約13億円)の追加出資を行っています。

担当

資源エネルギー庁 資源・燃料部 鉱物資源課長 有馬
担当者:野崎、松田、渡辺

電話:03-3501-1511(内線 4701)
03-3501-9918(直通)

メール:bzl-koubutsu-kokusai★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください。

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