外務省・新着情報

旧朝鮮半島出身労働者問題

【NHK 岩澤記者】太平洋戦争中の徴用をめぐる問題について伺います。大臣は、この問題をめぐって、韓国が解決策を発表する前日の5日に、韓国の外相と電話で会談したとのことですが、翌日の発表に向けて、どのようなやり取りを行ったのでしょうか。 また、韓国による昨日の発表などを受けまして、韓国の外相を日本に招いたり、大臣が韓国を訪問したりするお考えはあるでしょうか。

【林外務大臣】昨年11月の日韓首脳会談におきまして、両首脳が、日韓間の懸案の早期解決を図るということで、改めて一致したことを受けまして、外相間でも、緊密な意思疎通を行ってきたところでございます。5日の日韓外相電話会談は、その一環で行ったものでございます。
 朴振(パク・チン)長官との間で、それまでの外交当局間の協議、これを評価した上で、意思疎通を行いました。それ以上の詳細については、先方の発言を含め、外交上のやり取りであり、差し控えたいと思います。
 また、今、お話のあった訪日、また、往来について、何か決まっていることはございません。

【共同通信 植田記者】関連してお伺いします。昨日、韓国政府が、徴用工問題に向けた解決策を発表したことを受けまして、徴用工問題に関しては、これで解決したという認識なのかどうか、今後、徴用工問題をめぐる外交当局の協議を続ける必要がなくなったということなのかどうか、見解をお伺いします。
 また、昨日、大臣が述べられた、政治、文化、経済面での交流拡大というのは、具体的に何を念頭に置いているのか、お伺いします。

【林外務大臣】日本政府としては、昨日、韓国政府により発表された措置、これを2018年の大法院判決により、非常に厳しい状態にあった日韓関係を、健全な関係に戻すためのものとして、評価しております。
 韓国政府が、今後、国内のプロセスを行いつつ、原告の理解を得るべく最大限努力し、本件措置を着実に実施していくということを期待いたします。
 政治、経済、文化等の分野における交流の拡大についてですが、特定の案件を念頭に置いたものではなく、1965年の国交正常化以来築いてきました、この日韓の友好協力関係の基盤に基づいて、日韓関係を健全な形で、幅広い分野で、更に発展させていくということを期待する趣旨で、述べたところでございます。

【読売新聞 阿部記者】関連なんですけれども、今回の韓国側が発表した措置の、その不可逆性についてお尋ねします。過去には、日韓間の合意が覆されたこともありますけれども、今回の措置について、どのように、この可逆性を担保しているのか、大臣の見解をお聞かせください。

【林外務大臣】昨日発表された措置については、韓国政府は、原告の理解を得るべく最大限努力するとしておりまして、今後、国内のプロセスを行って、本件措置、これを着実に実施していくことを期待しておるところでございます。

【朝日新聞 上地記者】関連してお伺いします。大臣、昨日、歴史認識に関する、継承するという政府の立場を表明されたかと思いますが、その中では、植民地の支配や侵略に関して、「痛切な反省」や「心からのお詫び」という部分も継承するということを、政権として確認をしたという理解でよろしいんでしょうか。

【林外務大臣】昨日、私(林大臣)から述べたとおり、日本政府は、1998年10月に発表された「日韓共同宣言」を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおります。今回の機会に、これを改めて確認したものでございます。

【中央日報 金記者】2点お伺いしたいと思うんですけれども、昨日の会見で、大臣は、民間企業による自発的な寄付活動については、特段の立場を取ることはないとおっしゃいましたけれども、これはいわゆる被告企業、三菱重工業と日本製鉄、二つの企業にも当てはまる話なのか。つまり、これから、今、言われている財界、経団連などを通じた、いろいろな未来に向けてのいろいろな事業に、民間企業が参加すると言われているんですけれども、これに二つの企業が寄付することに関しては、政府として、妨げる意向はないのか、そういうことが一つ。
 二つ目は「求償権」の話なんですけれども、第三者による肩代わりという形をとったわけなんですけれども、これは法的に、「求償権」が残るという、一応話でございますが、日本政府としても、この「求償権」の存在については認めるという認識でよろしいでしょうか。以上です。

【林外務大臣】まず、「求償権」の方ですが、韓国政府が発表した措置に関する韓国国内法上の位置付けについて、日本政府としてお答えする立場にはないわけですが、その上で申し上げますと、本件措置の趣旨に鑑み、「求償権」の行使については、想定されていないものと承知しております。
 また、寄付のお話でございますが、昨日申し上げましたように、政府としては、特段の立場を取らないということでございますので、一般論として、全ての企業に、それは当てはまるということで申し上げました。

衆議院山口4区の補欠選挙

【毎日新聞 竹内記者】話題変わりまして、4月23日に投開票される衆議院山口4区の補選についてお伺いします。5日には、岸田首相も現地入りし、候補予定者の集会に出席しました。将来的な選挙区の減少は決まっていますが、林外相は、この補選の重要性をどのようにお考えでしょうか。御自身が、どのように応援されるかも含めて教えてください。

【林外務大臣】自民党衆議院議員として、4月23日に投開票されます衆議院補欠選挙、山口県においては2選挙区あります、その他の選挙区も含めて、いずれも自民党にとりまして大切な選挙であり、しっかり応援してまいりたいと思っております。

中国全国人民代表大会(秦剛外交部長記者会見)

【共同通信 植田記者】日中関係について、お伺いします。 中国の秦剛(しん・ごう)外相は、7日の記者会見で、日中両政府間で合意した「互いに脅威とならない」との原則を守るべきだ、と発言しました。また、日本は、中国に圧力を加えるべきではないとして、米国に追随しないように求めた他、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出について、責任ある対応を求めました。一方で、質問で出た、林外相と秦剛外相と対面会談については言及しませんでした。今回の秦剛外相の発言の受け止めと、大臣の訪中時期の調整状況について、改めてお伺いします。

【林外務大臣】秦剛部長の発言への一つ一つについてコメントすることはいたしませんが、日中両国は、様々な可能性とともに、数多くの課題、また懸案に直面しております。同時に、国際情勢の変化の中で、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有すると考えます。
 中国とは、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて、首脳間を始めとする対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」、これを日中双方の努力で構築してまいりたいと思っております。
 また、ALPS処理水の取扱いにつきましてですが、日本はこれまで国際法を順守し、また国際慣行を十分踏まえて、環境及び人の健康と安全への影響を最大限に考慮した措置を採ってきております。また、こうした対応については、中国を含む国際社会に対して、科学的根拠に基づき透明性をもって丁寧に説明してきております。
 今後も、中国人専門家も参加するIAEAによるレビューを受けつつ、あらゆる機会を通じて、科学的根拠に基づいて、高い透明性を持って国際社会に説明し、理解醸成に取り組んでまいりたいと思います。
 私(林大臣)の訪中について、何か決まったことはございません。

中国全国人民代表大会(中国の国防予算)

【毎日新聞 竹内記者】関連して、中国の国防予算について、お伺いします。5日に開幕した全人代で、中国の国防予算は、前年比で7.2%増とされました。中国の国の軍備強化を加速する中国をどのように見ていらっしゃいますか、どのように中国と向き合うか教えてください。

【林外務大臣】今、お話があったように、中国は、国防費を継続的に高い水準で増加させ、十分な透明性を欠いたまま、軍事力を広範かつ急速に増強させております。こうした中国の軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、我が国の総合的な国力と、同盟国・同志国との連携により対応すべきものであると考えております。
 同時に中国とは、昨年11月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタム、これを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて、首脳間を始めとする対話をしっかりと重ねて共通の課題については協力する、「建設的かつ安定的な関係」を日中双方の努力で構築してまいります。

発信元サイトへ