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2023年3月10日

本日、「世界貿易機関(WTO)紛争解決に係る規則及び手続に関する了解第二十五条の規定に基づく多数国間暫定上訴仲裁アレンジメントへの参加」(令和5年3月10日)についての閣議了解を行いました。これに基づき、本日、WTO紛争解決機関に対し、日本政府として、同アレンジメント(Multi-Party Interim Appeal Arbitration Arrangement (MPIA))に参加する意図を通報いたします。

1.WTOの紛争解決制度

WTOの紛争解決制度は、WTO加盟国間の通商問題を、WTOルールに基づき客観的に解決する仕組みです。小委員会(パネル)と上級委員会の二審制で、争いの対象となっている措置について、WTOルールとの整合性を判断します。
1995年の制度設立以降、これまで300件近くの紛争について判断を下し、ルールに基づく国際経済秩序の維持に大きく貢献してきました。WTO加盟国の増加に伴い、新しいルールに合意することが難しくなる中でも、活発に利用されている紛争解決制度は、「王冠の宝石」との賞賛を受けてきました。
しかし、2019年12月以降、同制度の上級委員会の機能は停止しています。

2.MPIA(多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント)の立ち上げ

こうした状況に対し、2020年4月、一部のWTO加盟国が、上級委員会が機能停止する中での暫定的な対応として、多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(Multi-party Interim Appeal Arbitration Arrangement (MPIA))を立ち上げました。MPIAは、パネル判断を不服とする場合には、機能停止中の上級委員会に上訴(いわゆる「空上訴」)するのではなく、仲裁により解決することを定める枠組みです。2023年3月現在、EU、オーストラリア、カナダ、中国、シンガポール、ニュージーランド、ブラジル等の52か国・地域が参加しています。

3.日本政府としての対応

上級委員会が機能停止してから3年以上が経過し、WTOの紛争解決制度の年間利用件数は、機能停止前の半分以下に減少しています。また、日本がWTOに申し立てた紛争案件についても、既に2件が「空上訴」され、最終的な解決に至っていません。
今後、更に、日本がWTOに申し立てた2件の紛争案件のパネル報告書が発出される予定です。
今回、紛争解決機能の回復までの間の暫定的な対応として、日本政府は、MPIAに参加することを決定いたしました。閣議了解「世界貿易機関(WTO)紛争解決に係る規則及び手続に関する了解第二十五条の規定に基づく多数国間暫定上訴仲裁アレンジメントへの参加」(令和5年3月10日)に基づき、本日、WTO紛争解決機関に対し、MPIAに参加する意図を通報いたします。
日本政府としては、WTOの紛争解決機能の一刻も早い回復に向けて、引き続き積極的に取り組むとともに、MPIAの活用も通じて、ルールに基づく国際経済秩序の維持に貢献してまいります。

担当

通商政策局 通商機構部
国際経済紛争対策室長 寺西
担当者: 平澤
電話:03-3501-1511(内線 3056)

03-3580-6596(直通)

メール:bzl-s-kikobu-kokusaifunso★meti.go.jp
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