外務省・新着情報

令和5年3月10日

 3月10日、世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度における上級委員会が現在機能停止していることを受け、我が国として、多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)に参加することを閣議了解しました。本日、WTOに対し、同アレンジメントに参加する意図を通報します。

  1. 同アレンジメントは、WTOの上級委員会が2019年から機能を停止していることに伴い、WTO協定が定める仲裁制度をもってその機能を代替させるべく、有志国が立ち上げた暫定的な枠組みです。
  2. 同アレンジメントは、WTOの紛争解決制度の予見可能性を高め、ルールに基づく多角的貿易体制の維持・強化に資するものであるとの考えから、今般、我が国として同アレンジメントに参加することを決定したものです。
  3. なお、我が国は、これまでもWTOの紛争解決制度を改革すべく、国際的な議論に積極的に参加してきました。引き続き、各国と連携しながら改革に向けた取組を主導していきます。
(参考)MPIA概要

  • (1)上級委員会が機能不全にある間、2020年にEU等が主導して立ち上げた暫定的な枠組みであり、同枠組みの参加国は、参加国間のWTOに係る紛争について上級委員会に申し立てず、WTO協定附属書2(紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(紛争解決了解(DSU))第25条の規定に基づく仲裁を、上級委員会に代わる紛争解決手段として用いることに政治的にコミットするもの。
  • (2)参加国間の紛争については、個別具体的な事案の都度、紛争当事国間で仲裁手続に合意するとともに、機能停止中の上級委員会への申立てを行わないこととなる。
  • (3)あらかじめ参加国により選任された10名の仲裁人プールから、ランダムに選出される3名が一つのケースを担当する。
  • (4)現時点の参加国・地域数は52(豪、ベナン、伯、加、中国、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、EU(及びEU加盟27か国)、グアテマラ、香港、アイスランド、マカオ、メキシコ、モンテネグロ、ニカラグア、NZ、ノルウェー、パキスタン、ペルー、シンガポール、スイス、ウクライナ、ウルグアイ)。

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