外務省・新着情報

令和5年3月13日
握手する両外相
外相会談の様子

 3月13日、午後6時30分から約105分間、林芳正外務大臣は、外務省賓客として訪日中のアイマン・サファディ・ヨルダン副首相兼外務・移民大臣(H.E. Mr. Ayman Al Safadi, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and Expatriates of the Hashemite Kingdom of Jordan)との間で、第3回日・ヨルダン外相間戦略対話を行いました。ヨルダン側からは、ゼイナ・トーカーン計画・国際協力大臣も参加しました。概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、林大臣から、戦略的パートナーシップに基づき、両国関係は幅広い分野で順調に発展しており、第3回戦略対話を通じて二国間の協力関係を更に発展させるための方策のほか、ロシアによるウクライナ侵略への対応や緊張が高まっているパレスチナ情勢を含む有意義な議論を行いたい旨述べたのに対し、サファディ大臣からは、日本との友好関係は着実に進展しており、戦略対話を通じて幅広く議論を行い両国の協力関係を一層進展させたい旨発言がありました。
  2. 両大臣は、両国の戦略的パートナーシップを更に発展させていくため、以下のとおり、政治・経済・安全保障等の幅広い分野で、今後一層の関係強化に取り組んでいくことで一致しました。
  • (1)二国間関係
    • ア 要人往来
       両大臣は、今後も様々なレベルでの要人往来などを通じ、二国間の関係強化・対話を継続していくことを確認しました。
    • イ 経済協力
       サファディ大臣及びトーカーン大臣からは、ヨルダンの経済状況や行政及び政治近代化の改革に加え、経済近代化のビジョンの実施に向けた政府の取組の概観について説明があり、これに対して林大臣からは、ヨルダンの取組を支援すべく日本が行っている電力・水セクター等のこれまでの支援と今後の取組みについて説明しました。両大臣は、ヨルダンの経済・財政改革の重要性を共有し、今後も協力関係を強化していくことで一致しました。
    • ウ 難民支援
       ヨルダンが多くの難民を受け入れており、特に近年の燃料価格の高騰の影響を受けて難民を取り巻く環境が一層厳しい状況となっている旨指摘しつつ、林大臣から、令和4年度の補正予算によるUNRWA、UNHCR等の国際機関を通じた合計約1,044万ドルのヨルダンへの支援を行ったことについて説明し、今後も日本として、引き続き、ヨルダンの努力に寄り添っていく旨伝えました。これに対してサファディ大臣は、日本の継続的な支援を高く評価しており感謝する旨述べました。また、同大臣は、国際社会が難民及びそのホスト国への支援を継続する必要性を強調しました。
    • エ 安全保障
       両大臣は、昨年12月にヨルダンで初となる自衛隊の統合展開・行動訓練が行われるなど、防衛・安全保障分野での協力が一層強化されていることを歓迎するとともに、今後とも連携していくことを確認しました。
       また、安全で信頼できる通信ネットワークの構築や、サイバー・セキュリティ能力の向上、アカバプロセスを通じたものを含むテロとの闘いでも今後協力を深めていくことで一致しました。
    • オ 学術・文化
       両大臣は、両国の大学間での協力に基づく留学制度の促進等、学術面での交流が強化されていることを歓迎するとともに、2024年の両国の外交関係樹立70周年に向けた準備を加速していくことで一致しました。
  • (2)地域情勢
    • ア 中東情勢
       林大臣から、イスラエル・パレスチナ間の政治的な緊張の高まりや深刻な治安情勢が継続する現下の情勢を深く憂慮しており、2月にヨルダンが主催した5者会合など関係者への緊張緩和に向けた様々な働きかけを高く評価するとともに、エルサレムの聖地に対するハーシム王家の守護者の役割は重要であり、日本としても「平和と繁栄の回廊」構想等の独自の取組を推進して役割を果たしていく旨述べました。 両大臣は、当事者間の信頼醸成に向けて緊密に連携していくことで一致しました。これに対してサファディ大臣は、パレスチナにおける情勢悪化を防ぐとともに、二国家解決に基づく公正で永続的な和平の実現に向けた真剣な交渉の再開のための政治的地平を見出すためのヨルダンの努力について説明しました。そして、日本の取組を高く評価しており、引き続き緊密に連携していきたい旨述べました。  また、両大臣は、イラク、シリア等の中東情勢について意見交換を行いました。   
    • イ ロシアによるウクライナ侵略への対応
       両大臣は、ウクライナ情勢について意見交換を行い、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更の試みは許されないとの声を国際社会が一致して上げることが重要である旨確認しました。また、林大臣から、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられず、ましてや、その使用はあってはならない旨述べました。サファディ大臣は、戦争を終結させる必要性を強調するとともに、国際法、国連憲章、ウクライナを含む全ての国の主権と領土的一体性は尊重されなければならない旨繰り返し述べました。
    • ウ 東アジア情勢
       両大臣は、中国、北朝鮮等の東アジア情勢について意見交換を行い、サファディ大臣は、拉致問題を含む北朝鮮への対応に向けた日本の取組への支持を述べました。
       林大臣から、昨年12月に策定した新たな国家安全保障戦略について説明し、サファディ大臣から歓迎する旨発言がありました。
       また、林大臣から「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」について説明し、両大臣は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性を確認しました。

 両大臣は、戦略的パートナーシップを一層強化すべく、第4回戦略対話の開催で一致しました。サファディ大臣は林大臣に対し、今回の深い議論と温かなホスピタリティに謝意を表しました。


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