外務省・新着情報

令和5年3月22日
正面を向き、握手を交わす、岸田総理とゼレンスキー大統領の様子 歓迎式典(写真提供:内閣広報室)
着席し、首脳会談(テタテ)前に写真撮影に応じる、両首脳の様子 日・ウクライナ首脳会談(写真提供:内閣広報室)
テーブルにつき、会談を行う、両首脳の様子 日・ウクライナ首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 3月21日午後10時50分(現地時間同日午後3時50分)から22日2時50分(現地時間21日午後7時50分)までの計約2時間40分間、途中共同記者会見をはさみつつ、岸田文雄内閣総理大臣は、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)と首脳会談及びワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。
 また、両首脳は、連携をこれまで以上に強化することで合意し、「特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明」(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)を発出しました。

1 冒頭

  • (1)岸田総理大臣から、ゼレンスキー大統領のリーダーシップの下で、祖国と自由を守るために立ち上がっているウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を表する、日本は、一貫してロシアを強く非難し、厳しい制裁を行うと共に、ウクライナに寄り添った支援を行ってきた旨述べました。
  • (2)また、岸田総理大臣から、ゼレンスキー大統領に対し、日本は、これまでウクライナと緊密に連携しながら、ロシアに対する厳しい制裁とウクライナに寄り添った支援を行ってきた、日本は、本年のG7議長国を務めており、5月のG7広島サミットでは、G7の揺るぎない団結を維持すると共に、G7として法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという決意を示したいと考えている旨述べました。
  • (3)また、岸田総理大臣から、G7広島サミットでは、ウクライナも主要議題となることから、ゼレンスキー大統領もオンラインで参加してもらえるよう要請し、ゼレンスキー大統領から快諾を得ました。
  • (4)ゼレンスキー大統領は、岸田総理大臣のウクライナ訪問を心から歓迎するとし、岸田総理大臣は国際秩序の守護者であると述べた上で、ロシアによるウクライナ侵略に際する日本の立場への謝意が表明され、本年のG7議長国であり安保理非常任理事国である日本と更に協力を進めていきたい旨述べました。

2 ウクライナ支援

  • (1)岸田総理大臣から、日本は、昨年来進めてきた総額約16億ドルの人道・財政支援に加え、ロシアによる侵略1年の機会に、改めてウクライナへの連帯を示すべく約55億ドルの追加財政支援を行うことを決定した、今後、これらの総額71億ドルの支援を着実に実施し、電力、地雷処理、農業など様々な分野でウクライナを支えていくと述べました。また、岸田総理大臣から、今般、さらに、エネルギー分野などへの新たな二国間無償支援等を4.7億ドル供与すること、また、NATOの信託基金を通じた殺傷性のない装備品支援に3千万ドルを拠出することを決定した旨述べました。
  • (2)これに対し、ゼレンスキー大統領より、日本からこれまでに供与された70億ドルを超える強力なウクライナ支援及び新たな支援に深く感謝すると述べ、両首脳は、今後のウクライナ支援及び復旧・復興のあり方について意見交換を行いました。

3 対露制裁

  • (1)岸田総理大臣から、厳しい対露制裁を継続することが不可欠であり、特に制裁回避・迂回対策が重要である点に言及した上で、2月24日のG7首脳声明で合意した制裁の実施調整メカニズムを早期に立ち上げ、G7議長国として積極的に取り組んでいきたい旨述べました。
  • (2)これに対し、ゼレンスキー大統領から、日本の取組を評価するとの発言があり、岸田総理大臣から、第三者からロシアへの軍事的な支援を防ぐことも重要であり、引き続きG7を始めとする同志国と緊密に連携して対応したい旨述べました。

4 核の威嚇への対応等

  • (1)岸田総理大臣から、唯一の戦争被爆国である我が国として、ロシアの核兵器による威嚇は受け入れられず、ましてや、ロシアが77年間にわたる核兵器の不使用の記録を破るようなことがあってはならないとし、5月のG7広島サミットにおいてもこの点を強く発信していきたい旨述べました。
  • (2)また、岸田総理大臣から、ウクライナの原発の占拠などのロシアの一連の行為は決して許されない暴挙であるとし、我が国はIAEAの活動を支持する旨述べました。
  • (3)ゼレンスキー大統領からは、G7広島サミットではロシアによる核兵器使用の威嚇への対応や、原子力発電所の占拠についてもしっかり取り上げて欲しい、そのために協力したい、との発言がありました。

5 二国間関係

  • (1)岸田総理大臣から、日本とウクライナが昨年外交関係樹立30周年を迎え、ウクライナへの連帯と支援により、二国間の協力は深化・拡大していている点に言及し、両首脳は、今般、基本的価値を共有するウクライナとの関係を、「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げすることで合意しました。
  • (2)また、ゼレンスキー大統領から、復興の過程における日本からの幅広い分野での投資の可能性について強い期待が表明され、今後、両国で取組を強化していくことで一致しました。
  • (3)また、両国間の信頼関係に基づき、さらなる関係強化に向けて、日・ウクライナ情報保護協定の締結に向けた調整を開始することに合意しました。

6 日本の国家安全保障戦略及びインド太平洋情勢

  • (1)岸田総理大臣から、我が国は昨年末に新たな国家安全保障戦略を策定したことについて説明したところ、ゼレンスキー大統領から、同戦略を称賛する旨の発言がありました。
  • (2)両首脳は、東シナ海及び南シナ海における力による一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念を共有するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性や、世界のいかなる場所においても力による一方的な現状変更の試みは認められないことについて一致しました。さらに、両首脳は、北朝鮮の核・ミサイル活動の活発化への深刻な懸念を共有し、拉致問題を含む北朝鮮への対応において、緊密に連携していくことを確認しました。

[参考]別添PDF


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