外務省・新着情報

重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日米協定

【NHK 岩澤記者】米国との貿易協定について伺います。バイデン政権は、去年成立させた法律で、電気自動車を購入する消費者向けの税制優遇策を盛り込みましたが、蓄電池に使われる重要鉱物などに条件があり、日本政府が見直しを、これまで求めていました。大臣も、以前、外相会談で言及されていましたが、その後の米国との協議の経緯や、協定の交渉結果はどのようになったでしょうか。

【林外務大臣】米インフレ削減法上のEV税制優遇措置に関しまして、我が国は、日米、更には同志国で協力して進めているサプライチェーン強靱化に向けた取組と、整合的でないことなどについて懸念しておりまして、これまで、米国に対して、首脳レベルを含めて様々なルートで、我が国の考え方を伝えてきたところでございます。
 こうした中、日米間では、1月の日米首脳会談でのやり取りを踏まえ、重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する協力、これを定める文書を作成するための協議を行ってきたところでございます。この協議の結果、今般、日米間で「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」として、その内容につき、合意に至ったところでございます。本日、ワシントンD.C.の米通商代表部におきまして、冨田浩司駐米国日本国特命全権大使とキャサリン・タイ米国通商代表との間で、この協定に署名する方向で調整中でございます。
 今後、電気自動車のバッテリーの大幅な需要拡大が見込まれる中で、その生産に不可欠な重要鉱物、これを確保するということは喫緊の課題であります。今回の協定は、そうした重要鉱物につきまして、持続可能で衡平なサプライチェーンの確保に向けた協力の強化を通じて、日米、そして更には同志国との連携による強靭なサプライチェーンの構築を目指すためのものであります。
 その上で、今後、米側の所要の手続を経て、日本は、米インフレ削減法上の「米国とのFTA締結国」となることが見込まれます。これにより、日本で採取又は加工された関連重要鉱物が、インフレ削減法のEV税制優遇措置において、税額控除を受ける要件を満たすこととなる見込みでございます。

ロシアによる戦術核のベラルーシへの配備決定

【朝日新聞 上地記者】ロシアが、ベラルーシに戦術核兵器を配備する方針を固め、表明したことについて伺います。プーチン大統領による、核を使った威嚇に関して、改めて大臣の認識と、ロシアの狙いをどのように分析されているか伺います。また、配備された場合、ベラルーシに対して、制裁の強化などは、検討されるお考えはありますでしょうか。

【林外務大臣】唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用も、断じて受け入れられないと考えております。
 ロシア側の決定の背景については、コメントする立場にはございませんが、今回報じられております、プーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備の決定に関する発言、これは、ロシアがウクライナ侵略を続ける中で、情勢を更に緊迫化させるものであり、非難をいたします。
 日本として、ロシア及びベラルーシに対しまして、こうした緊張を高めるような行為をやめるよう求めるとともに、今後とも、強い関心をもって事態の推移を注視してまいります。
 また、ベラルーシに対する制裁に関しましては、ウクライナをめぐる現下の情勢を踏まえまして、我が国として、ルカシェンコ大統領を始めとする個人、団体に対する制裁措置、また、輸出禁止措置等を課してきております。引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しながら、適切に対応してまいります。

中国における邦人拘束

【共同通信 植田記者】中国で、アステラス製薬の日本人男性が拘束された事件についてお伺いします。拘束後の邦人の現在の健康状態や、政府として男性に面会できているのか、中国から拘束に至る経緯について説明があったかなど、最新の状況についてお伺いします。

【林外務大臣】当該邦人が拘束されて以降、当該邦人とは、直接連絡が取れておりません。引き続き、邦人保護の観点から、中国側に対し、早期解放及び領事面会の実施を強く求めてまいりたいと考えております。

【毎日新聞 竹内記者】関連してお伺いします。その今回の事案が、日中関係に与える影響について、どのようにお考えでしょうか。また、昨年11月の日中首脳会談でも、岸田首相が、邦人拘束事案について申し入れるなど、中国側に対応を求めてきますが、同様の事案は続いております。このことをどのように受け止めていますでしょうか。今後、ハイレベルで中国側に、申入れの対応をする考えがあるのかどうかも含めて、教えてください。

【林外務大臣】日中両国間には、本件を含めて、数多くの課題や懸案が存在しております。まさに、そうした課題や懸案があるからこそ、中国に対しては、主張すべきは主張していくとともに、率直なやり取りを重ねていくことが重要だと考えております。
 中国側に対しては、これまでも、様々なレベルや機会を通じて、早期帰国の実現、また、司法プロセスにおける透明性の確保などを申し入れてきておりまして、最近では、今、お話のあった、昨年11月の日中首脳会談において岸田総理から、また、本年2月の日中外相電話会談において私(林大臣)から、我が国の立場に基づいて、申し入れを行ってきておるところでございます。
 こうした中、今回、同様の事案が再び発生したことを深刻に受け止めておりまして、本事案についても、様々なレベルや機会を通じて、引き続き、早期解放を強く求めてまいります。

ロシアによる日本海での巡航ミサイル発射訓練

【TBS 中島記者】ロシア軍が、対艦巡航ミサイルを日本海上で発射しました。日本周辺で、こうした軍事活動を活発化していますが、その受け止めと、日本政府として何か対応を考えていることがあれば、伺えないでしょうか。

【林外務大臣】3月28日、ロシア国防省が、日本海において、太平洋艦隊のミサイル艇が、巡航ミサイルの発射訓練を実施した旨発表したと承知しております。
 また、ロシア側報道によりますと、太平洋艦隊は、この訓練をウラジオストクのピョートル大帝湾で実施したと承知しております。なお、被害情報は入ってきておりません。
 ロシアのウクライナ侵略が続く中で、我が国周辺を含む極東においても、ロシア軍がその活動を活発化させております。政府として、こうしたロシア軍の動向について、引き続き、注視してまいります。

パスポートのオンライン申請開始

【NHK 岩澤記者】パスポートのオンライン申請について伺います。パスポートの新規発行や更新の申請が、昨日からオンラインで行えるようになりましたが、オンラインでの最新の申請件数について、窓口での申請数と比較するなどして、どのような状況なっているか伺います。また、スムーズな申請環境を確保するために、今後も外務省として、どのように取り組むかも併せてお願いします。

【林外務大臣】パスポートのオンライン申請につきましては、昨日から受付を開始し、昨日1日で、既に776件の申請をいただいております。
 現時点では、オンライン申請よりも、窓口での申請の方が多い状況ではありますが、オンライン申請の利用促進に向けて、しっかりと広報していきたいと考えております。
 国民の皆様の更なる利便性向上、また、事務の合理化等に向けまして、今後とも領事業務のオンライン化を着実に進めてまいりたいと考えております。

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