外務省・新着情報

令和5年3月29日

 3月29日(現地時間同日)、インド共和国の首都ニューデリーにおいて、鈴木浩駐インド共和国日本国特命全権大使と、ラジャット・クマール・ミシュラ財務省経済局次官補(Mr. Rajat Kumar Mishra, Additional Secretary, Department of Economic Affairs, Ministry of Finance, Government of India)との間で、総額1,268億1,400万円を限度とする円借款3件に関する書簡の交換が行われました。

  1. 円借款案件の概要
  • (1)円借款「パトナ・メトロ建設計画(第一期)」(供与限度額986億1,200万円)
     ビハール州の州都パトナ市において、パトナ・メトロ1号線及び2号線を建設するための融資です。これにより、2030年(事業完了2年後)には、新たに1日当たり約166本運行するメトロが建設されることにより、1号線においては約53.4万人、2号線においては約26.7万人の乗客を輸送することが可能となる見込みです。日本は、これまでも日本の優れた安全技術や運行ノウハウを活用して、インドにおけるメトロ事業の推進に協力し、都市環境の改善や、連結性の向上、気候変動の緩和等にも貢献してきました。本計画においても、公共交通を中心としたパトナ市の持続可能な都市開発や地域経済の発展に貢献することが期待されます。
  • (2)円借款「西ベンガル州における気候変動対策のための森林・生物多様性保全計画」(供与限度額93億800万円)
     西ベンガル州において、生態系を活用した気候変動対策活動や生物多様性の保全・再生活動、住民の生計向上活動、及び森林局の組織体制強化等を実施するための融資です。これにより、2033年(事業完了2年後)には、新たに約3,900ヘクタールに渡って植林がなされることにより、約7万5,740トンの二酸化炭素が森林に蓄積されることを見込んでいます。また、合計約6,400人が、森林局の組織体制強化ための能力強化研修を受講できる見込みです。日本は、これまでも森林及び生物多様性保全に関する日本の優れた知見や技術を活用して、インドにおける森林及び生物多様性の保全、ひいては気候変動対策に貢献してきました。本計画においても、西ベンガル州の持続可能な社会経済発展に貢献寄与することが期待されます。
     さらに、本計画は、2021年11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、我が国も署名した「森林・ 土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」を具体化し、2022年12月に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の実施に貢献するものです。
  • (3)円借款「ラジャスタン州水資源セクター生計向上計画(第二期)」(供与限度額188億9,400万円)
     ラジャスタン州において、女性農家の参画に配慮のうえ、老朽化した灌漑施設の改修と市場需要に基づく営農支援等を行うための融資です。これにより、2030年(事業完了2年後)には、新たに47万ヘクタールの農地において効率的な水利用が可能となることを見込んでいます。また、戸当たりの年間農業粗収益が約7,200ルピー(2017年実績)から約1万4,000ルピーに倍増する見込みです。日本は、これまでも農業分野や水分野において、日本の優れた知見や技術を活用してインドの農業や水利用の発展に貢献してきました。本計画においても、事業対象地域の農家の生計の向上及び女性の社会経済活動への参画促進等に貢献することが期待されます。
  1. 円借款案件の供与条件
  • (1)上記1(1)
    ア 金利:年1.70%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド
  • (2)上記1(2)
    ア 金利:年1.50%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド
  • (3)上記1(3)
    ア 金利:年1.05%(コンサルティングサービス部分は年0.01%)
    イ 償還期間:15年(5年の据置期間を含む。)
    ウ 調達条件:アンタイド
(参考)インド基礎データ

 インドは、面積約329万平方キロメートル(日本の約8.7倍)、人口14億756万人(2021年、世界銀行)、人口1人あたりの国民総所得(GNI)2,150米ドル(2021年、世界銀行)。


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