農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年3月31日(金曜日)10時29分~10時48分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 高病原性鳥インフルエンザ対策について
  • 諫早湾干拓事業に係る開門請求訴訟の高裁判決について
  • 鶏卵の需給見通しについて
  • 英国のCPTPP加入について

質疑応答

  • 高病原性鳥インフルエンザ対策について

記者

  私の方から2点お伺いします。まず、鳥インフルエンザ対策についてお伺いします。昨日、日本養鶏協会の会長らが大臣の下を訪れ、鳥インフルエンザ対策の要請を行いました。要請の中で発生した養鶏場での全羽処分ではなく、部分殺処分とできるような対応も求めています。このことに関し、農水省としての対応方針を改めて教えてください。

大臣

  昨日、養鶏協会の幹部の皆さん方がお見えになりました。そのうちの1人が地元・鹿児島の養鶏協会の会長をされていて、いよいよ(清浄化した発生農場で)雛の搬入が始まって、これから随時、搬入していきますという話もあったのですが、養鶏協会の皆さん方からの御要請の一つは、殺処分の話で(発生規模が)100万羽だとか、20万羽、10万羽というのもあったのですけれども、(これを)殺処分をしても埋却処理をする土地がない、埋められないから焼却処理することはできないのかということと、発生した農場は全て同一(農場)とみなされて殺処分されるけれども、これを部分的にやれないのかといった内容でした。埋却だけではなくて焼却するということ、これは県の方とも話をしていかなければならないのですが、そういう処理も県によってはありました。今年も(殺処分した鶏を)埋めるのではなく、焼くという処分の仕方もあり、県の方針で、埋却地が見出せない、埋却するのには人手が足りないという時には、焼却処理でもいいということになっていますので、(国の方で)一律的に全て焼却処理にするということは、なかなか難しいと思うのです。その判断は県の方にお任せした方がいいと考えています。例えば、100万羽を焼却処理するとなると、相当の日数もかかるし、施設も必要ですから。ですから、そういったこと等も踏まえて、半分は焼却処理し、埋却処理を半分にするとか、方法については各県の方々にお任せしたほうがいいと。来シーズンのことになってきますけれども、内部でもそういう考え方で、ちょっと整理をさせたいと思っています。それから全てを殺処分することについてはいろいろ(御意見が)あります。昨日もそこに話題が集中したのですが、鳥インフルエンザの感染を(した農場を)1農場とみなして、全て殺処分をすると指示しているわけですが、現状、卵不足に陥ったり、消費者にも迷惑をかける話であり、専門家の皆さん方からも、複数に分割して、別農場として取り扱うことも検討し得るのではないかという御提言をいただいていますが、いいよと言うのは簡単ではなく、難しいと思います。なぜかといいますと、(感染対策が)緩んでしまうと、感染がますます拡大していくわけですから、役所の方でも、マニュアルを作って、こういう時は別農場として取り扱いますと。(その場合、)例えば、同一人物が複数農場、複数鶏舎を(担当して)見ることはできなくなります。だからコストもかかると言っているのですが、(つまり)一棟ずつ管理者も従業員も分けていかないと、その人たちが出歩くことによって感染が拡大していくわけですから、別農場としてやるならば、完全に独立した形態になっていかないと、簡単に(別農場として取り扱うことで)いいですというふうにはいきませんから、もう少し農水省の方でも、きちんとした基準を作っていきたいと思っています。

  • 諫早湾干拓事業に係る開門請求訴訟の高裁判決について(1)

記者

  もう1点、諫早湾の干拓事業に係る開門請求訴訟についてお伺いします。先日、長崎2次3次開門請求訴訟に関し、福岡高裁で控訴審判決が出されました。判決では堤防の締切りが漁場環境を悪化させた可能性が高いとして、タイラギ漁や漁船漁業の漁獲量減少との因果関係を認めています。この判決結果に関して受け止めをお願いします。

大臣

  3月28日に福岡高裁において、(潮受堤防排水門の)開門請求を棄却する判決が出されました。国側の主張が受け入れられたものとして、理解をしておりますが、諫早湾干拓事業を巡る一連の訴訟については、関係省庁と連携し適切に対応してまいります。判決理由において、御指摘の記述があることは承知していますが、裁判所の個々の記述についてコメントすることは差し控えます。今後のこともあるわけですが、国としてはあくまでも、この高裁判決において、開門を求める方々による控訴が棄却され、国の主張、いわゆる開門を認めないことについては、主文で(国の主張が)受け入れられていると思っていまして、開門を求める漁業者は最高裁に上訴する意向であると報じられていますので、今後、相手方がどういう対応をされていくのか、我々も注視していかなければいけないと思っています。

  • 鶏卵の需給見通しについて

記者

  冒頭の卵の部分で関連してお伺いしたいのですけれども、先ほど分割管理については、農林水産省として、そういったマニュアルを準備していく方向で検討しているという理解でよろしいでしょうか。

大臣

  まだ具体的な検討はしてないのですが、昨日、初めてそういう(部分殺処分の)要請がありました。それから、専門家グループの皆さん方からも、検討に値するのではないかという意見が以前に出されていますので、我々としては、検討していかなければいけないのではないかと(思います)。もう少し都道府県、現場の声を聞きながら、そういった対応が可能なのかということを示さなければ、全国的に皆さん方の経営判断でいいですよとはいかないだろうと私自身は役所の皆さんに言っているところです。農水省がOKを出したから、さあもう1棟ずつでの管理で良いということになるとバラバラの管理になってしまうと。(そうなってから)どこかで(鳥インフルエンザが)発生して、感染が拡大すると、農水省が(基準を)緩めたからということにもなり得る話ですから、どういう場合に限って、それは良いですということにするのか。先ほど話をした従業員の配置ですが、私はもう1棟ずつ張り付けてやっていかないと(いけないと思います)。この前聞いたのですが(これまでは)100万羽飼っていても(従業員は)6人で済むというのです。その6人の従業員が各鶏舎を回っていくと、全部(の鶏舎が)感染する可能性があるので、それは駄目で、1棟ずつ従業員を張り付けないと。100万羽も飼っていてたった6人で管理できるというのは、今まではずっと、餌のやり方から何から自動的にやっていたのだろうと思うのですが、(分割管理をするのであれば)それも全部区分けをして、排せつ物の処理も全部区分けをしていかないと、どこから潜入するのか分かりませんので、その辺のところはきちんと基準を作らないと、農家の皆さん方が自分勝手に(解釈して)国が良いと言ったので、もう1棟ずつ別棟のやり方でいいんだと思ってしまうと、(感染対策が)ゆるゆるになって、病気が拡大してしまうと思っています。その辺は地元の皆さんの意見も聞きながらですね、専門家の皆さん方に整理をさせたいと思っています。

記者

  卵に関してもう2点ありまして、今月が末日ということで、JA全農たまごの卸売価格が公表されて、1993年以降、先月に続いて2か月連続で最高値を更新しました。その受け止めについてが一つと、もう一つが消費者向けのパック卵についても、大手スーパーの中では、売り場に1家族1パックまでという購入制限を設けたりとか、当面の間特売はありませんといった張り紙をしたりという対応も出てきています。今の卵の流通状況に対する受け止めも併せてお願いします。

大臣

  国内に(卵が)なければ、輸入でもいいではないかということで、近々にブラジルから輸入の卵、殻付きが船で入ってくるという動きもあります。ブラジルは全く鳥インフルエンザが発生していませんので、ブラジルからの輸入はストップされないので、日本として受け入れやすいということです。どこ(の企業)か分かりませんけれども、発注して第1便が届くのではないかという話もあるところです。(輸入には)1か月から1か月半かかるそうですが、冷凍に近いような温度で管理をして(輸入して)来れば生卵としては食べられないけれども、加工用とか他のものに調理するという利用はできるのではないかということです。輸入先の国が見つかったので、業者の皆さんやお店の皆さん方に大きな迷惑をかけずに済むのかなと思います。先ほど言いましたように、既に日本で発生したところも清浄化し、雛を入れ始めましたので、徐々に輸入の方と、国内での清浄化したところとの両方が相まって、消費者の皆さん方に迷惑がかからないように早めに(供給を回復)したいなと。輸入がブラジルからできるということを聞いたもので、ちょっとほっとしているところです。

記者

  全体の正常化というか、元に戻るまでには大体1年ぐらいかかるという見通しは今も変わってはいないですか。

大臣

  (再導入した雛が卵を)産み出すのは(孵化して)半年ですけれども、鶏舎全体が(発生前の規模で)産み出すのはやはり1年はかかるということで、(雛の)導入開始後、発生前の飼養規模に戻るまでは(発生・殺処分から)1年かかるということです。最初に入れた雛は(発生から)半年で産み出しますから、それが発生前(の飼養羽数による生産水準に)までに戻るには1年かかるけれども、徐々に(生産量は)増えていきますから、(発生から元に戻るまで)最高1年と見ておけば、十分ではないかと思います。

  • 諫早湾干拓事業に係る開門請求訴訟の高裁判決について(2)

記者

  諫早湾干拓事業の関係で確認で2点お尋ねいたします。判決理由で堤防の締切りと漁業被害の因果関係を認めている点についてコメントできないということでしたけれども、国は従来から因果関係はないと主張していることから考えると承服できないのではないかと考えるのですがいかがでしょうか。また、その判決理由を巡って上告するということがあり得るのか、そこの判断も改めて確認させてください。

大臣

  潮受堤防の締切りと漁業被害との因果関係について、国の考えは、訴訟の場で主張しているわけですが、潮受堤防の締切りにより、漁場環境の悪化が起きたとは言えないと考えています。なお、民事訴訟法上、判決の既判力が及ぶのは主文のみですので、判決理由には、既判力は及ばないとされています。国の主張に即していない点が判決理由にはありますが、(控訴は棄却され主張が受け入れられたことから、)国としては、そのこと(をもって上訴すること)は考えてはおりません。

  • 英国のCPTPP加入について

記者

  英国のTPP加入についてお伺いします。英国のTPP加入について合意したとの報道もありますけれども、英国のTPP加入による日本農業への影響について、御所見をお聞かせください。

大臣

  ほとんど影響はないと言ってもいいですし、今までも日英EPAがあり、(現行の)CPTPPの範囲の中(での妥結)と理解しています。今回のこの交渉の中で日本が獲得したのが、短粒種・中粒種の精米等の関税、キロ20円かかっているのが撤廃されるということで、我が国の国益に叶う内容、コメ農家の皆さん方、輸出をされている方々にとって、明るいニュースだと思います。その他こちらが譲歩したというのはありませんし、CPTPPの範囲内で交渉していましたが、コメの関税部分を撤廃できたというのは、(新たに)獲得したということで、明るいニュースだと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

発信元サイトへ