外務省・新着情報

令和5年4月2日
会談を前に、しん・ごう国務委員兼外交部長と握手する林外務大臣
日中外相会談が行われている様子

 中国・北京を訪問中の林芳正外務大臣は、現地時間4月2日、午前10時30分から秦剛(しん・ごう)国務委員兼外交部長と日中外相会談(約3時間。その内の1時間は少人数のみでの会談)及びワーキング・ランチ(約45分)を行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. 冒頭、林大臣から、昨年11月の岸田総理と習近平国家主席との会談で「建設的かつ安定的な日中関係」の構築について確認されたことに言及の上、日中両国には様々な可能性があるが、同時に数多くの課題や深刻な懸念に直面しており、非常に重要な局面にある、また、日中両国は地域及び国際社会の平和と繁栄にともに重要な責任を有する大国でもあることを指摘の上、日中両首脳の共通認識を実施に移していくため、双方が努力を続けていきたい旨述べ、秦剛部長から同様の考えが示されました。
  2. 林大臣から、最近北京で発生した新たな邦人拘束事案について抗議し、当該邦人の早期解放を含め我が国の厳正な立場を強く申し入れました。
  3. 林大臣から、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢、ロシアとの連携を含む中国の我が国周辺での軍事活動の活発化等について深刻な懸念を改めて表明しました。双方は、安全保障分野を含めた意思疎通の重要性を改めて確認しました。双方は、近く日中高級事務レベル海洋協議が4年振りに対面で再開されることを評価するとともに、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットライン設置完了を歓迎しました。また、東シナ海の資源開発に関する「2008年合意」を推進・実施していくことで一致しました。さらに、林大臣から、台湾海峡の平和と安定の重要性について述べました。また、南シナ海の状況に対する深刻な懸念を改めて表明しました。加えて、林大臣から、ALPS処理水の海洋放出について我が国の立場を改めて明確に述べるとともに、香港、新疆ウイグル自治区等の状況に対する深刻な懸念を改めて表明しました。
  4. 林大臣から、昨年11月の首脳会談で一致した環境・省エネを含むグリーン経済や医療・介護・ヘルスケア分野を含む経済分野での協力や国民交流については、適切な環境を整える必要がある旨指摘しつつ、中国において透明・予見可能かつ公平なビジネス環境が確保されること、また、安全面とともに正当な経済活動が保障されることを強く求めるとともに、技術の開示・移転を強制しようとする動きが強まっていることへの強い懸念を表明しました。さらに、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めました。
  5. 林大臣から、ウクライナ情勢について、岸田総理大臣の同国訪問に触れつつ、中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう求めました。双方は、拉致問題、核・ミサイル問題を含む北朝鮮への対応等の地域情勢や、国連における協力等の国際的課題についても意見交換を行いました。
  6. 双方は、日中韓プロセスの重要性について意見交換を行い、首脳・外相レベルを含む日中韓プロセスを再稼働させていくことで一致しました。
  7. 双方は、引き続き首脳・外相レベルを含めあらゆるレベルで緊密に意思疎通を行っていくことで一致しました。

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