経産省・新着情報

2023年4月5日

経済産業省では、40年ぶりの物価高の局面において収益構造が圧迫され、人手不足の問題にも直面しつつある流通業において、目指すべき取組の方向性を検討するため、2022年7月に「物価高における流通業のあり方検討会」を立ち上げ、これまで7回に渡り議論を行ってきました。併せて、優れたデジタル技術を有するスタートアップ等の流通テック企業を発掘するため「SUPER-DXコンテスト」も開催しました。

生活必需品を含む消費財の流通という、国民生活や地域経済にとって不可欠な機能を持続的に果たしていけるよう、これまでの検討会での議論を取りまとめた報告書及びスーパーやコンビニなどのDX化を加速する「SUPER-DXコンテスト」で評価された、流通業の課題解決となる22の事例集を公表しました。

1.背景

流通業(卸売・小売)は、我が国経済において、GDPで14%・労働人口で16%を占める主要な産業であり、コロナ禍の混乱の中でも地域の生活インフラとして貢献してきました。
しかしながら、現在、仕入れコスト・エネルギーコスト・物流コスト等の上昇に加えて、消費者サイドに残る価格抑制圧力の存在、社会全体としての賃上げの要請により、三重のプレッシャーに直面し収益構造が圧迫されており、加えて中長期的な課題である人手不足が顕在化
しつつあります。

生活インフラとして不可欠な流通機能を維持していくため、マクロ経済、流通・物流等の関連する分野の専門家や、流通業界、消費者、マスコミ、行政等の様々な立場の代表者らによる「物価高における流通業のあり方検討会」を設置し、流通業に求められる取組の方向性について検討を行ってきました。
併せて、流通業の企業と、優れたデジタル技術を有するスタートアップ等とのパートナー関係構築によるDXの推進が重要と考えられることから、そうした流通テック企業を発掘し、マッチングを促進するために「SUPER-DXコンテスト」も開催し、検討会において最終審査を行い、業界イベント等で受賞企業の表彰・プレゼンテーションを実施しました。

2.本報告書の主な内容

現在のコスト・プッシュ型の物価高、国内の労働人口の減少は、いずれも供給サイドにおけるリソース制約の問題であり、これを乗り越えていくためは、流通業におけるリソースに対する考え方を根本的に問い直し、従来の延長線上にない業務革新を通じて、生産性の向上を図っていくことが不可欠です。

流通・物流は、高品質なサービス提供の裏側で、労働集約的かつ低賃金の構造の中、現場の労働力や対応力に結果的に依存してしまい、持っているリソースの価値を十分に発揮させるという意識が弱かった面が指摘されています。

そこで、「労働への安易な依存からリソースへの投資・最大限活用」を基本的な考え方とし、目指すべき方向性が次の3つに集約されました。

  • リソースを刷新:合理化・付加価値向上に向けたDX
  • リソースをシェア:サプライチェーンの効率化(垂直・水平方向の連携・統合)
  • リソースを価値創造に:消費者・地域のニーズを踏まえた多様化

売上高等のいわゆるPL(損益計算書)の目線に偏った経営から、リソースの観点を取り込み、バランスシートを意識して中長期的に“稼ぐ力”を向上していくため、参考になる経営指標としてROIC(投下資本収益率)を掲げています。

また、リソースの戦略を考えるにあたり、競争領域と協調領域の見極めが重要であり、特に、協調領域では、民間同士のより広い連携が可能となるよう、標準化やプラットフォームの構築に当たり、政府のサポートも重要だとまとめられました。

3.報告書について

物価高における流通業のあり方検討会については、こちらのページから御覧ください。

  1. 物価高における流通業のあり方検討会報告書
  2. 報告書付録 経済産業省による流通業界のDXを推進するスキーム

4.令和4年度SUPER-DXコンテスト

スーパーやコンビニなどのDX化を加速するコンテストを開催しました。スマートフォン位置情報ビッグデータを蓄積するデジタルプラットフォームや販売・廃棄データ分析をもとにした製造数調整と値引率の最適化システムなど流通業の課題解決となる22事業を紹介します。

※ 応募のあった事業の中から1次選考を通過した事業。

事例集はこちらをご覧ください。

関連資料

関連リンク

担当

商務・サービスグループ 消費・流通政策課長 中野
担当者:和仁、相原

電話:03-3501-1511(内線 4161)
03-3501-1708(直通)

メール:bzl-s-shosa-syohiryutsuseisaku★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。

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