外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日、ここ、ベルギーのブリュッセルにおいて、昨年4月に引き続きまして、日本の外務大臣としては2回目となるNATO外相会合のパートナーセッションに出席をいたしました。また、昨日の午前には、日EU・EPA合同委員会に、そして午後には、オンラインにてG7貿易大臣会合に出席しました。また、この機会に計12の国・機関との間で二国間会談等を行いました。
 まず、G7貿易大臣会合におきましては、私と西村経産大臣が共同議長を務めまして、自由で公正な貿易システムの維持・強化、そして経済安全保障につき議論を行って、閣僚声明を発出しました。私からは、自由で公正な貿易体制が現在直面する課題に対処するため、基本的価値を共有するメンバー間での率直な意見交換が重要であると、こういう旨を指摘しました。また、今回の会合の成果を踏まえまして、10月に大阪・堺で開催する第2回貿易大臣会合に向けて議論を継続するとともに、WTOに係るジュネーブでの議論に推進力を与えたいと述べまして、各国から賛同を得られたところでございます。
 そして、日EU・EPA合同委員会につきましては、ドムブロウスキス欧州委員会上級副委員長との間で日EU・EPAの適切かつ効果的な運用を確保すべく意見交換をいたしました。また、経済安全保障等の国際社会が直面する諸問題について議論をいたしまして、基本的価値を共有するEUと連携を確認したところでございます。また、私から、東日本大震災後に導入されましたEUの日本産食品輸入規制措置に関しまして、改めて早期撤廃を強く要請をしたところでございます。
 NATO外相会合・パートナーセッションにおきましては、ウクライナ侵略への対応やインド太平洋情勢などについて、議論が行われまして、私から、NATOの信託基金への3千万ドルの拠出などを通じたウクライナ支援を実施することを表明をいたしました。また、先般、地震後のトルコを支援すべくNATOが主導する災害救援物資の空輸オペレーションに初めて参加したことを表明いたしました。様々な分野で日NATO協力が着実に進展していることを説明いたしました。
 また、私から、改めてNATOのインド太平洋への関与拡大を歓迎するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた新たなプランを紹介いたしました。各国との間で法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために更に連携を強化したい旨述べました。各国からは欧州とインド太平洋の安全保障、これを切り離すことはできない、という私の指摘への賛同が相次ぎました。また、先般の岸田総理のウクライナ訪問について国際社会に強いメッセージを送ったとして賞賛が各国から表明をされたところでございます。さらに、ウクライナ支援のためのNATO信託基金への我が国の拠出につきましても多くの国から謝意が表明されました。
 さらに、今回のNATO外相会合の機会に、ストルテンベルグ事務総長とNATOのアジア太平洋パートナーである日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の代表者との会合、そしてストルテンベルグ事務総長とのバイ会談、また、ベルギー、EU、トルコ、ポルトガル、ポーランド、ウクライナ、ブルガリア、ルクセンブルク及びデンマークと会談を行いました。また、さらにスウェーデン及び英国との間で懇談を行い、ロシアによるウクライナ侵略への対応、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力などをそれぞれ会談や懇談で議論いたしまして、連携を確認したところでございます。さらに、米国、カナダ、チェコなどそれぞれの国と短時間言葉を交わしました。
 今回のブリュッセル訪問によりまして、日本とNATOの連携をまた一歩前に進めることができたというふうに感じています。日本として、引き続き、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分との認識の下で、国家安全保障戦略も踏まえながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために、NATO及びその加盟国・パートナー国を始めとする同志国と協力をしていく考えです。私からは以上です。

質疑応答

【記者】NATO外相会合への出席について伺います。大臣、先ほど言及されたように、昨年4月に続く2回目の出席となりましたが、この間の日NATO間の協力の深まりをどのように捉え、また今後、インド太平洋のパートナー国として、どういった形で貢献や協力を進めていきたいとお考えでしょうか。また、NATO側としては、日本に関して中国の情勢分析に関する期待が大きいかと考えていますが、大臣自身の訪中も踏まえ、今回、中国情勢に関して、どういった意見交換を行ったのかお聞かせください。

【林外務大臣】昨年のNATO外相会合におきまして私(大臣)から強調したこと、すなわち、欧州とインド太平洋の安全保障、これを切り離して論じることはできない、同志国の一層の連携が求められる、こういう認識を昨年示したところですが、この1年間でNATO加盟国やパートナー国の間で共有されていることを大変嬉しく思いました。
 この間も、日NATO協力は様々な分野で進展をしております。日本とNATOは「国別適合パートナーシップ計画」(ITPP)改訂に取り組んでおりまして、同文書を通じて、伝統的な協力分野に加えて、サイバー、宇宙、偽情報、重要新興技術等の新しい分野でもNATOとの連携を飛躍的に強化をしていく考えであります。
 また、会合においては、先般の私(大臣)の中国訪問についても触れました。さらに東シナ海・南シナ海において、力による一方的な現状変更の試みが継続・強化されていること等、インド太平洋を取り巻く現状について説明を行なったところでございます。
 今回のブリュッセル訪問によりまして、日本とNATOの連携、これをまた一歩前に進めることができたと感じております。国際社会が歴史の岐路に立つ中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けまして、日NATO間の協力を更なる高みに引き上げていく所存であります。

【記者】今回の外遊を終えますと、来週にはG7外相会合、来月にはG7広島サミットが控えていますけれども、議長国、アジア唯一のG7の国として、今回のパートナー会合でも議論のあったインド太平洋地域についての議論、これをサミットにどうつなげ、どのような成果を出したいと考えているでしょうか。

【林外務大臣】G7外相会合そしてG7広島サミットにおいては、インド太平洋の地域情勢も、重要な課題の1つとして議論する考えであります。今回のNATO外相会合パートナーセッションやストルテンベルグ事務総長とNATOのアジア太平洋パートナー(AP4)との会合におきましても、ウクライナ侵略への対応、そしてインド太平洋情勢などについて議論したところであります。また、私(大臣)から、改めてNATOのインド太平洋への関与拡大を歓迎するとともに、AP4を含む同志国・パートナー国との間で法の支配に基づく国際秩序の堅持のために更に連携を強化したい、こう述べまして、参加者からも賛同を得たところであります。今日のこうした議論もしっかりと踏まえた上で、今後のG7プロセスにおいて議長国として議論を主導していきたいと考えております。

【記者】日中関係についてお伺いします。4日にですね、北京の日本大使館員が、拘束中のアステラス製薬の男性社員と領事面会をしました。健康状態に問題がないことを確認しました。結果的に大臣の訪中直後に面会が実現することになりましたけれども、中国側の対応についてどう受け止めているのか、今後早期解放についてどのように結びつけていくのか大臣のお考えをお聞かせ下さい。

【林外務大臣】現地時間4日午後ですが、3月に北京市で中国当局に拘束をされました50代の邦人男性に対しまして、在中国日本国大使館員が領事面会を実施したところでございます。面会の詳細についてはですね、事柄の性質上お答えを差し控えたいと思いますが、本人に確認したところ、当該邦人の健康状態、これに特段問題は生じていないということでありました。
 本件については、先般、私(林大臣)が訪中をした際にも抗議をして、当該邦人の早期解放を求め我が国の厳正な立場、これを強く申し入れたところでありまして、政府としては、中国側に対して、様々なレベルや機会を通じてですね、当該邦人の早期解放、これを引き続き強く申し入れて参りたいと思っております。
 また、邦人保護の観点からですね、御家族など関係者との連絡等ですね、できる限りの支援をしてきておりまして、引き続き適切に対応して参りたいと思っております。

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