外務省・新着情報

令和5年4月10日
写真撮影する日中両団長

 4月10日、第15回日中高級事務レベル海洋協議が東京において開催されたところ、概要は以下のとおりです。

  1. 同協議には、日本側から、外務省のほか、内閣府、国家安全保障局、水産庁、資源エネルギー庁、海上保安庁、環境省、国土交通省及び防衛省が参加し、中国側から、外交部のほか、中央外事工作委員会弁公室、国防部、自然資源部、生態環境部、交通運輸部、農業農村部、国家エネルギー局及び中国海警局が参加しました。
  2. これは、昨年11月17日に実施された日中首脳会談で「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に向けて、安全保障分野においても意思疎通を強化していくことで一致したことを受けて、開催されたものです。
  3. 双方は、全体会議のほか、(1)海上法執行及び海上安全、(2)海上防衛、(3)海洋経済の3つのワーキンググループに分かれて会議を行い、東シナ海情勢等について個別の事案に関する懸念事項も含む様々な課題や、海洋分野における協力の在り方等について率直に議論しました。
  4. 我が方から、我が国の立場に基づき、中国海警船による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を直ちに止めるよう強く求めました。また、これを含む東シナ海情勢、南シナ海情勢に関する深刻な懸念を表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性についても改めて提起しました。さらに、昨年8月の中国による我が国排他的経済水域(EEZ)を含む我が国近海への弾道ミサイル発射を含む我が国周辺海域における中国の活発化する軍事活動に対し、深刻な懸念を改めて表明しました。
  5. 我が方から、東シナ海資源開発問題に関して、昨年新たに2基の構造物が設置されたこと等に対して我が国の立場と強い懸念を改めて申し入れました。双方は、本年4月2日の日中外相会談において、東シナ海の資源開発に関する「2008年合意」を推進・実施していくことで一致したことを受け、引き続き緊密に意思疎通を続けていくことを確認しました。
  6. 我が方から、日本海の大和堆周辺水域における中国漁船による違法操業について、中国側の対応を改めて強く要請するとともに、意思疎通を強化していくことを確認しました。
  7. 我が方から、「瀬取り」への対応を含め、対北朝鮮制裁に係る国連安保理決議の完全な履行の重要性を提起しました。
  8. 東電福島第一原発のALPS処理水(多核種除去設備等処理水)について、日本側から我が国の立場を改めて明確に述べるとともに、科学的見地に基づいた議論を行うよう求めました。
  9. 双方は、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットラインの設置が完了したことを歓迎し、早期の運用開始に向けて引き続き調整を進めていくこと、及びハイレベル交流を含む防衛当局間による意思疎通の強化についても具体的に調整を進めていくことで一致しました。
  10. 双方は、日中海上保安機関・教育機関間の相互理解、交流を進めることを確認し、二国間や多国間会合の枠組み等を利用して意思疎通を継続し、双方の信頼を引き続き醸成していくことで一致しました。
  11. 双方は、密輸、密航、麻薬取締り等の犯罪取締りの重要性を共有し、引き続き連携協力していくことで一致しました。
  12. 中国側から、1月下旬に発生した長崎県男女群島西方沖における香港籍貨物船沈没事案等に対する日本側の捜索・救助活動に対し、謝意が表明されました。さらに、双方は、2019年2月に発効した日中海上捜索救助(SAR)協定を踏まえた海上捜索救助協力強化に関する情報交換等を継続し、地方窓口間の通信訓練等の実施を含む円滑かつ効率的な海上捜索救助に引き続き協力して取り組むことで一致しました。
  13. 双方は、プラスチックを含む海洋ごみ問題について、日中の様々なレベルでの協力を引き続き推進するとともに、国際的な枠組みに日中両国が積極的に貢献していくことで一致しました。
  14. 双方は、今後とも海洋分野について意思疎通を継続・強化していくことで一致するとともに、第16回日中高級事務レベル海洋協議の開催に向けて、具体的な調整を始めることで一致しました。
(参考1)日中高級事務レベル海洋協議(実施レベル格上と両国団長)

 日中高級事務レベル海洋協議は、以前は局次長級で実施されていたが、第12回から局長級にて実施。

  • 日本側団長:船越健裕(ふなこし・たけひろ)外務省アジア大洋州局長
  • 中国側団長:洪亮(こう・りょう)外交部辺境海洋事務司長
(参考2)日中高級事務レベル海洋協議(開催実績)

第1回 2012年 5月15日~17日、於:中国(浙江省杭州市)
  第2回 2014年 9月23日~24日、於:中国(山東省青島市)
  第3回 2015年 1月21日~23日、於:日本(横浜市)
第4回 2015年 12月  7日~  9日、於:中国(福建省アモイ市)
第5回 2016年 9月14日~15日、於:日本(広島市)
第6回 2016年 12月  7日~  9日、於:中国(海南省海口市)
第7回 2017年 6月29日~30日、於:日本(福岡市)
第8回 2017年 12月  5日~  6日、於:中国(上海市)
第9回 2018年 4月19日~20日、於:日本(仙台市)
第10回 2018年 12月17日~18日、於:中国(浙江省烏鎮)
第11回 2019年 5月10日~11日、於:日本(北海道小樽市)
第12回 2021年 2月  3日(オンライン)
第13回 2021年 12月20日(オンライン)
第14回 2022年 11月22日(オンライン)

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