外務省・新着情報

冒頭発言 令和5年版外交青書(外交青書2023)

【林外務大臣】冒頭1件ございます。
 本日の閣議で、令和5年版外交青書を配布いたしました。
 今回の外交青書では、現在、世界が「歴史の転換期」にあるという認識に立ち、昨年1年間の国際情勢と、日本の外交活動を概観するとともに、本年3月までの日本外交のうち、特筆すべき事案についても記述しております。
 ウクライナ情勢、経済安全保障をなどの新たな課題、グローバルな課題など、様々な困難に直面する中で、国家間の対立を乗り越え、対話と協調によって共通の課題に取り組み、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、リーダーシップを発揮している日本外交の姿を、この外交青書を通じて、しっかりと国内外に発信できればと考えております。
 外交青書は、本日から外務省ホームページで閲覧できます。できるだけ多くの方々にお読みいただいて、日本外交への理解、これをより一層深めていただけますように、よろしくお願いいたします。
 私(林大臣)からは以上です。

令和5年版外交青書

【NHK 岩澤記者】冒頭の外交青書に関連して伺います。今回の外交青書には、中国とロシアが、軍事的な連携を強化する動きが見られ、「重大な懸念を持って注視する」と明記されましたが、国内外に発信するための青書に、こうした内容を盛り込んだ狙いは何でしょうか。また、こうした中露の軍事的連携について、今月のG7外相会合や、来月の広島サミットでも議論する方針でしょうか。

【林外務大臣】最近、中露両国の軍が、日本周辺において、頻度を上げて共同行動を継続しているところであります。政府として、日本の安全保障の観点から、重大な懸念を持って注視していく必要があると認識していることから、そうした政府の認識を、本年の外交青書に記載いたしました。
 G7長野県軽井沢外相会合において、具体的な議題、これはまだ調整中でありまして、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、いずれにいたしましても、この国際社会が直面する喫緊の外交課題について、G7外相間で、率直かつ踏み込んだ意見交換を行う機会にしたいと、そういうふうに考えております。

日中高級事務レベル海洋協議

【北海道新聞 荒谷記者】昨日行われた、日中の高級事務レベル海洋協議と、台湾海峡の平和と安定について伺います。昨日の海洋協議では、台湾海峡の平和と安定の重要性を提起したとのことですけれども、昨日まで、中国軍が、台湾周辺で行っていた軍事演習について、日本の立場は、どのように伝えたのでしょうか。この軍事演習が、台湾海峡の平和と安定について与える影響について、どのようにお考えかお聞きします。

【林外務大臣】御指摘のこの台湾周辺で行われた中国による軍事演習につきましては、政府として、一貫して大きな関心を持って注視しておりまして、今回の日中高級事務レベル海洋協議においても、本件も含めて、日本側から中国側に対し、我が国周辺海域における、中国の活発化する軍事活動に対しまして、深刻な懸念を改めて表明するとともに、台湾海峡の平和と安定の重要性について、改めて中国側に提起をしたところでございます。

日本のウクライナ支援

【共同通信 桂田記者】ウクライナ支援について伺います。ウクライナのエネルギー省は、先日、ロシアのインフラ攻撃の影響で停止していた電力輸出の再開を発表しました。日本政府も発電機の供与などで、ウクライナの越冬支援を積極的に行っていましたが、今回の動きへの受け止めと、また、今後必要とされるウクライナ支援の方向性について、大臣のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】ウクライナ政府は、ウクライナ全土における電力の回復及び電力輸出の再開を発表したと承知しております。日本としても、約1,500台の発電機供与に加えまして、エネルギー分野支援に関するG7+外相会合、これを2度共催するなど電力・エネルギー分野での支援を進めてきたわけですが、ロシアによるエネルギー施設に対する繰り返しの攻撃にもかかわらず、ウクライナが、国際社会と連携しながら、懸命の努力によって、厳しい冬を乗り越えたということに敬意を表したいと思います。
 日本は、人道、財政、そして復旧・復興の分野で、総額約76億ドルの支援を表明をいたしまして、順次実施してきております。引き続き、ウクライナのニーズを踏まえて、地雷対策、そしてがれき処理、また電力を含むインフラ整備を通じた生活再建、農業等の分野で、日本の有する知見を活用しながら、切れ目なく、きめの細かい支援を行ってまいりたいと考えております。

「グローバル・サウス」への関与の強化

【読売新聞 阿部記者】「グローバル・サウス」への対応についてお伺いします。今、冒頭で大臣、ご紹介ありました外交青書でも初めて「グローバル・サウス」、言及があったかと思うんですけれども、この「グローバル・サウス」との連携強化、どのように進めていくか、改めてお聞きしたいのと、今週末に控えた軽井沢の外相会合で、「グローバル・サウス」について、どのように議論したいとお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】近年、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国の存在感、これが、経済的、そして政治的にも増してきております。また、ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギーや食料をはじめとする様々な面で、「グローバル・サウス」を含む世界の人々の暮らしに、大きな影響を与えているわけでございます。
 こうした中で開催されるG7長野県軽井沢外相会合では、エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、そして気候変動、保健、開発といった、地球規模の課題へのG7による対応、これについても、議論を行う考えでございます。こうした諸課題への積極的な貢献、協力の呼びかけ、こうしたことを通じて、「グローバル・サウス」への関与の強化、これを進めるべく、G7で連携して対応してまいりたいと思っております。

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