外務省・新着情報

令和5年4月11日
正面を向き、笑顔で握手を交わす、両首脳の様子 握手を交わす両首脳(写真提供:内閣広報室)
テーブルにつき、会談を行う、両首脳の様子 日・ヨルダン首脳会談(写真提供:内閣広報室)
演台に立ち、共同記者発表を行う、両首脳の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 4月11日午後6時から約30分間、岸田文雄内閣総理大臣は、実務訪問賓客として訪日中のアブドッラー2世・イブン・アル・フセイン・ヨルダン国王陛下(His Majesty King Abdullah II Ibn Al Hussein, King of the Hashemite Kingdom of Jordan)と首脳会談を行い、引き続いて両首脳立ち会いの下、無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換を行い、共同記者発表を実施した後、午後6時55分から約65分間、岸田総理大臣主催のワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭

 岸田総理大臣から、アブドッラー2世国王及びラーニア王妃両陛下の訪日を歓迎する、ヨルダンの安定と発展を導いてきた同国王陛下のリーダーシップに敬意を表する、日本とヨルダンは2024年に外交関係樹立70周年を迎えるところ、このような機会も活用し両国間の戦略的パートナーシップを一層飛躍させたい旨述べました。
 これに対し、アブドッラー2世国王陛下は、日本を再訪でき喜ばしい、日本側の温かい歓待に感謝する、歴史と伝統に根ざした戦略的な関係を更に強化し、二国間関係を引き上げたい旨述べました。

2 二国間関係

 両首脳は、以下を含む二国間関係の幅広い事項について議論し、今後、戦略的パートナーシップの下、協力の裾野を更に広げつつ、二国間関係を深化させていくことで一致しました。

(1)経済協力等

 岸田総理大臣から、ヨルダンの経済、財政近代化の取組を評価しており、日本として経済の基盤となる電力・水分野等に対する開発政策借款、無償資金協力等を通じて、引き続きヨルダンを支えていく、また、ヨルダンの喫緊の課題である海外からの投資拡大や若年層を中心とする失業率改善にも貢献していきたい旨述べたほか、多くの難民を受け入れているヨルダンに対する日本の支援について説明しました。
 これに対し、アブドッラー2世国王陛下から、日本が一貫してヨルダンを支援してきていることに深く感謝する旨発言がありました。
 両者はさらに、デジタルを始めとする先端分野や、サプライチェーンなどの分野でも協力を推進していくことで一致しました。

(2)安全保障

 両首脳は、安全保障分野における二国間協力の進展について認識を共有しました。岸田総理大臣からは、昨年末に開催した第4回日本・ヨルダン外務・防衛当局間(PM)協議や部隊間の各種交流に触れた上で、昨年12月に策定した新たな国家安全保障戦略等を踏まえ、日本として国際社会の平和と安定に今後一層貢献していきたいと考えており、今後様々な枠組を活用しつつ、ヨルダンと協力を深めていきたい旨述べました。これに対し、アブドッラー2世国王陛下から、今後二国間の安全保障上の協力が更に深化することへの期待が述べられました。
 そのほか両者は、今般、サイバーセキュリティに係る両国の対話枠組を立ち上げることで一致したことを歓迎しました。

3 地域情勢

 ロシアによるウクライナ侵略について、岸田総理大臣から、本年3月のウクライナ訪問に言及しつつ、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められないことを国際社会が一致して訴えかけていく必要がある旨述べ、両首脳は国際秩序を擁護するパートナーとして引き続き連携していくことで一致しました。
 また、岸田総理大臣から、本年3月に公表された「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の新たなプランを紹介し、今後も、ヨルダンと連携しながらFOIPのビジョンの重要性を中東地域に浸透させていきたい旨述べました。
 これに対し、アブドッラー2世国王陛下から法の支配に基づく国際秩序並びにインド太平洋の平和、安定及び繁栄を確保するための努力を支持する旨発言がありました。両者は、地域及び国際社会の平和と安定に向け、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化のため、引き続き、緊密に連携していくことで一致しました。

 さらに両首脳は、中東和平を含む中東地域情勢についても議論しました。岸田総理大臣から、イスラエル・パレスチナ間で高い緊張状態にある現下の情勢を憂慮しており、5者会合(ヨルダン、エジプト、米国、イスラエル、パレスチナ)における緊張緩和の取組を高く評価するとともに、エルサレムの守護者たるハーシム王家及びヨルダンの役割は極めて重要であり、日本としても「平和と繁栄の回廊」構想等の独自の取組を推進して役割を果たしていく旨述べました。
 これに対して、アブドッラー2世国王陛下から、パレスチナにおける情勢悪化を防ぐとともに、二国家解決に基づく公正で永続的な和平の実現に向けた真剣な交渉の再開のための政治的地平を見出すためのヨルダンの努力について説明がありました。
 両首脳は、現在のイスラエル・パレスチナ間の緊張状態をこれ以上高めないようにするためにも、「二国家解決」の実現を妨げるようなあらゆる一方的な措置が自制されるべきであることが必要であることを確認しました。また、両首脳は、イラク、シリア等の地域情勢について意見交換を行い、地域の安定に向けて引き続き連携していくことを確認しました。
 そのほか、両首脳は、中国、北朝鮮を含む東アジア情勢について意見交換を行い、拉致問題を含む北朝鮮への対応等において引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

4 その他

 両首脳は、首脳会談後、日本からヨルダンに対する7.13億円の無償資金協力「経済社会開発計画」(アカバ・アンマン造水・送水プロジェクトで整備される施設に対する機材供与)の署名式に立ち会いました。


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