外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】先ほど、G7長野県軽井沢外相会合の2日目のセッションが終了しました。自然豊かなこの軽井沢の地で、昨晩から、こうしてG7外相間で胸襟を開いて議論を行うことができて、手応えを感じているところです。
 国際社会は歴史的な転換期を迎えています。こうした中、今回のG7外相会合においても、力による一方的な現状変更の試みやロシアによるウクライナ侵略、核兵器による威嚇をこれを断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというこういったG7の強い意志を、力強く世界に示したいと考えています。また、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国・途上国が様々な課題に直面する中で、G7としても彼らと共に課題に取り組みたいと思っています。

 こうした観点から、今回の外相会合では、昨晩のワーキング・ディナー、本日のワーキング・ランチを含めて、これまでに6つのセッションを開催し、インド太平洋地域、ウクライナ情勢、イラン・中東、アフガニスタン・中央アジア等に関する議論を行いました。
 ウクライナ情勢に関しては、G7として、引き続き一致して厳しい対露制裁及び強力なウクライナ支援を継続していくことを確認致しました。
 インド太平洋に関しては、中国、北朝鮮、ASEAN、太平洋島嶼国などについて、インド太平洋地域において開催するG7外相会合としてふさわしい、充実した意見交換を行いました。そして、G7として、東シナ海・南シナ海情勢について、引き続き深刻な懸念、これを表明するとともに、力を背景とした一方的な現状変更の試みには反対していくこと、国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認するとともに、両岸問題の平和的解決を求めること、そして北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題に引き続き連携して対応すること、そして、ASEANや太平洋島嶼国等との協力を強化していくことなどで一致しました。

 さらに、これまでにイタリア、英国、ドイツ、米国との間で外相会談を行いました。
 これらのカウンターパートとの間では、北朝鮮による核開発・弾道ミサイル発射、ロシアによるウクライナ侵略等、国際社会の喫緊の課題や二国間関係の強化について議論しました。

 明日は、アフリカそして核軍縮・不拡散に関して議論を行う予定です。私からは以上です。

質疑応答

【記者】力による一方的な現状変更に対するG7の取り組みについてお伺いします。フランスのマクロン大統領は先日、台湾情勢を巡り、欧州は米中いずれにも追従すべきではないとの考えを示しました。今回のG7外相会合では、中国の台湾に対する軍事的な威圧に断固として反対する考えで完全に一致できたのか教えて下さい。

【林外務大臣】今回のG7外相会合においては、私から、世界のどこであれですね、力による一方的な現状変更の試みには強く反対する旨述べ、G7外相からも同様の認識が示されたところであります。その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとっても不可欠な要素である、我が国の従来からの一貫した立場は、台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決されることを期待するというものであります。
 今回のG7外相会合においては、改めて、G7外相間で国際社会の安全と繁栄にとって不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認するとともに、両岸問題の平和的解決を求めることで完全に一致することができました。
 なお、コロンナ仏外相からは、フランスは現状の尊重及び台湾海峡の平和と安定の維持に深い思いを持っており、力による一方的な現状変更に反対し、両岸問題の平和的解決を求めている、そして、また、マクロン大統領も訪中時にも、このようなメッセージを習近平主席に伝えた旨の説明があったところでございます。

【記者】ウクライナ情勢についてお伺いします。中国が2月にロシアが侵攻するウクライナの和平案を発表した一方で、欧米諸国や日本は公正な和平を求めています。今回の会合では中国による和平案について議論したのかどうか、中国の和平案をG7としてどのようにお考えか教えて下さい。また、ウクライナ情勢を巡って動向が注目されるグローバル・サウスの国々にいかに連携を働きかけていくか教えて下さい。

【林外務大臣】ウクライナの人々が祖国を守るための懸命な努力を続ける中で、その将来を決める交渉にいかに臨むべきかは、ウクライナの人々が決めるべき問題と考えております。この点、中国が発表した12項目の立場については、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が、全てのロシア軍の撤退が規定されていないのであれば不適切であると述べたことに留意しております。
 今回のG7外相会合では、ウクライナ情勢についても率直に詳細な意見交換を行い、G7として、ロシアが全ての軍及び装備を即時かつ無条件に撤退すべきこと、G7が引き続き一致して、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していくこということを確認致しました。
 同時に、グロ-バル・サウスと呼ばれる国々を含む国際社会全体が、主権及び領土一体性の尊重といった国際秩序の根幹となる原則を守るべきという認識で一致することも重要です。そのためには、グローバル・サウスへの関与強化が不可欠であり、G7としても連携を強化していくことで一致を致しました。
 その際には、そうした国々の置かれた個別の状況に十分配慮した上で、価値観を押し付けるのではなく、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の意義を、これを訴えていくことが重要であり、丁寧に働きかけを行っていくことを確認したところでございます。

【記者】先ほどブリンケン長官と会談されましたが、中国を念頭にどのようなやりとりをされましたか、教えてください。

【林外務大臣】ブリンケン米国国務長官との外相会談ですが、G7外相会合での議論を踏まえ、国際社会が法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持する正念場に立たされる中で、引き続き日米で連携していくことを確認いたしました。
 また、日米安全保障協力、地域情勢、経済関係等についても意見交換を行いまして、日米同盟の抑止力・対処力の一層の向上、またIPEFの交渉進展に向けて協力することで一致したところでございます。さらに、ブリンケン長官と、G7広島サミットの成功に向けて、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致いたしました。


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