外務省・新着情報

令和5年4月18日

 4月17日(ジュネーブ現地時間)、我が国が世界貿易機関(WTO)紛争解決手続において申立てを行っていた紛争案件「インドによる情報通信技術(ICT)製品に対する関税引上げ措置」に関して、インドの措置はWTO協定に非整合的であるとし、同措置の是正を勧告するパネル(紛争処理小委員会)報告書が公表されました。

 我が国は、インドが今回の報告書を真摯に受けとめ、WTO協定に非整合的であると明白に認定された措置を速やかに是正することを求めます。

(参考1)本件の経緯と概要

  1. 2014年以降、インドは国産化政策(メイク・イン・インディア政策)促進のため、WTO協定上無税(0%)を約束している情報通信技術(ICT)製品の関税を引き上げ、10%~20%の関税を賦課。
  2. 我が国は、インドによる関税引上げ措置は、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第2条(他国からの輸入品に対して約束した税率をこえて関税を課してはならない)に違反しているとして、2019年5月10日、WTO紛争解決手続に基づく二国間協議を要請した。同年5月23日に協議を実施したが、問題の解決に至らなかったため、我が国の要請に基づき、2020年7月29日にパネルが設置された。
  3. パネル報告書は、スマートフォン、携帯電話用の基地局及び部品等を含む対象のICT産品に対するインドによる輸入関税引上げは、これらの産品につき関税率を無税とするというインドのWTO協定上の義務に違反すると判断し、インドに対して措置の是正を勧告した。
  4. パネル報告書は、WTOの紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)の規定により、報告書のWTO全加盟国送付(注:公表と同日)の後60日以内にWTO紛争解決機関において採択されることとされており、その段階で判断が確定する。なお、紛争当事国は、上級委員会への申立てを行うこともできるが、上級委員会は現在機能停止中であり、その場合は上級委員会に申し立てられたまま審理が行われない状態になることが想定される。
(参考2)パネルの主な対象品目及び関税率

主な対象品目(インドのHS番号。いずれもパネル設置時点のもの。):関税率

  1. フィーチャーフォン(HS85171219):0%から20%に引上げ
  2. スマートフォン(HS85171211):0%から20%に引上げ
  3. 携帯電話用基地局(HS85176100):0%から20%に引上げ
  4. デジタルマイクロ波通信装置(HS85176290):0%から20%に引上げ
  5. プリント回路基板アセンブリ(HS85177010):0%から10%に引上げ
  6. スマートフォン用LCDモジュール(HS85177090):0%から15%に引上げ

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