農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年4月25日(火曜日)9時18分~9時44分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)日本茶「出かけよう、味わおう!キャンペーン」について
  • G7農業大臣会合の成果及び印象について
  • 高病原性鳥インフルエンザにおける殺処分等について
  • シャインマスカットの未開花症の実態把握について
  • 特定技能制度における特定技能2号の対象分野追加の方針について
  • 令和5年のサンマ漁獲枠の決定について

冒頭発言

大臣

  本日、私からは一つ御報告させていただきます。目の前に(お茶の用意が)あると思うのですが、日本茶「出かけよう、味わおう!キャンペーン」について報告させていただきます。今、新茶の収穫で、お茶農家の皆様方は、毎日せっせと新茶を摘んでいますが、今年も新茶が美味しい季節となって、春先の天候に恵まれ、品質は大変良好だと(聞いています)。私の地元の鹿児島のお茶も大変美味しいと思いますので、是非御賞味いただきたいと思います。農林水産省では、茶業界と一体となって「出かけよう、味わおう!キャンペーン」を本日から新たに開始し、茶産地の団体や消費地の事業者などから、茶摘み体験や飲み比べなど新茶シーズンならではのイベント情報や、お茶の魅力をつづった記事などをお寄せいただき、これらを農林水産省のホームページやSNSで情報発信する取組を行うこととしています。こうした取組を通じて、より一層の日本茶の消費拡大を推進してまいります。詳細につきましては、この後、プレスリリースいたします。なお、本日、私の手元にあるこのお茶は、鹿児島県南九州市産の「さえみどり」という品種の新茶です。後ほど記者の皆さんにも御賞味いただければと思っています。(一口いただいて)うん。美味しい。後で皆さん方も是非飲んでください。ただ、(美味しい)お茶は農家が一生懸命作ったお茶葉そのものの品質だけではなく、お茶の入れ方というのがあって、私の会館の事務所、農林水産省の秘書さんたちにも、お茶の入れ方をきちんと教えて、せっかくの良いお茶ですから、飲むときにもそういう味が出るように入れてくれと(頼んでいます)。(お茶の入れ方のポイントは、お湯の)温度なのです。熱いのを入れたり、ぬるいのを入れたりすると、お茶の美味しさというのを引き出せないこともあります。ということを御報告申し上げて、あとは御質問にお答えをしたいと思います。

質疑応答

  • G7農業大臣会合の成果及び印象について(1)

記者

  G7の件でお話をお聞きしたいと思います。宮崎会合での成果と、今後、日本として力を入れていくことについて教えていただけますでしょうか。

大臣

  私も大臣になって初めてG7(農業大臣会合)に参加させていただきました。初日からハードスケジュールで、全体会議もさることながら、バイ会談で2国間協議を連日3日間行いました。全体会議の中では、食料安全保障をテーマに議論を行って、農業の生産性向上と、農業の持続可能性、この両立をどう図るかという方向性を閣僚声明で発出したわけですが、このことについては、事前に事務局の皆さん方が各国に打診をしながら、日本としてはこういうテーマでやりたいということを言っていたところ、(参加各国の)皆様方に御賛同いただいて、その議論に(会合では)早速入れたわけですが、やはりびっくりしたのは、どの国も言っていたのが、気候変動によって農家の皆さん方が大変被害を被ったり、作物の出来が良くなかったりということに今、遭遇しているということが1点でした。もう一つはやはりウクライナ情勢でした。特にウクライナは小麦やトウモロコシやヒマワリの産地ですから、そういったものが輸出できない、途上国の方に運び出そうにも港が閉鎖されて出すことができない。これはもう大変なことですということを、特にEUは近いだけに実感されていたと思うのです。気候変動やウクライナ戦争の影響が口々に各国から出されていました。そういう中で、私どもは食料安全保障に関する新たな方針をG7の農業大臣が足並みを揃えて示せたと(思います)。あるいは議論がそこに集中したと言った方がいいのかもしれませんが、そういう意味で今回の会合は大変意義深いものだったと考えています。特に今まではあまり国際会議の中で言えなかった農業の生産性向上というのが、(各国の)利害が対立していまして、(これまで)あまり議論というのはなかったと思うのですが、(近年は)気候変動や食料の過不足(の問題)が出てきて、やはりこれは生産性を向上させていかないといけないという議論になったと思っていまして、先ほど言ったような(農家の生産性向上と持続可能性の両立といった)ことを閣僚声明に盛り込んで、今後、各国が自分の国の農業政策で実施していくことが重要だと考えました。そういう意味でも大成功だったなと思います。皆さんが同じ方向を向いて議論ができたと思います。

  • 高病原性鳥インフルエンザにおける殺処分等について

記者

  鳥インフルエンザの殺処分についてお聞きします。今シーズンの発生が相次いだことを受けまして、農家や行政の方に取材をしたのですけれども、埋却処分の土地の確保が難航しているといったことも浮き彫りとなってきました。また、一方で方法としては焼却処分というのもあると思うのですけれども、今後こうした処分の方針について、国の方で変更とかを検討されていることがありましたら教えてください。

大臣

  鳥インフルエンザが発生した時には家きんを全て殺処分するということを、我々の方では特定家畜伝染病防疫指針の中で書かせていただいていますので、埋却地なり、焼却施設を家畜の所有者が自ら確保するように、特に埋却地についてはそのことをお願いしていました。しかしながら、(今シーズンは)処分の羽数が多かったものですから、(御意見として)いろいろなことが対象者の皆様から出てきました。もう一つの処分方法としては、焼却の方法もあるのですけれども、羽数が多いと焼却の施設が処理不可能というところもありましたし、埋却地が(十分に確保して)あるところはいいのですが、(十分な確保が)ないところはどうするのだと(いうこともありました)。我々は、家畜を飼う人は、最初から埋却地をちゃんと確保しておいてくださいということを申し上げていましたので、どこにも(そもそも埋却地が)ないということは言われなかったのですが、埋却地として目安は付けていたけれども、近くに飲み水の池があるので適さないというようなことが(一部の事例では)途中で出てきました。けれども、何とか(それも用地を)見つけていただいて、埋却をしていただいたところです。このように、(実際には)埋却なり焼却で処分を早くしたものですから、感染が広がらずにそのあとの防疫措置も迅速にやれたのではないかと思っています。

記者

  鳥インフルエンザの発生から再開をするためにも、土地の確保というのは、条件になっているかと思うのですが、逆に農家さんは確保が難しくて再開をあきらめられる農家さんもいるという話を聞いたのですけれども、引き続き土地の確保というのは、家きんの所有者がするということでしょうか。

大臣

  私が聞いているところでは、年齢も年齢だし、生き物を飼うのはやめようという方もいたと聞いていますが、私の地元・鹿児島では1か所も(発生農場で)経営継続しないという人はいなくて、今、(再開に向け)どんどん雛が入ってきている最中です。全国的にも、もうこれで鶏を飼うのはやめたというのは、酪農のような形でバタバタとやめていかれたというのは聞いていません。ある程度はそういう(やめられる)方もいらっしゃると思うのです。それは年齢的なものや、あるいは家族の皆さん方が、目の前で鶏が殺処分されたので「もう、二度と鳥は飼わない」(と言っている)とか、そういった気持ちの問題もあったところもあると聞いていますが、そんなに経営継続が難しいという話はあまり聞いていないのですけれども。これからも皆、頑張っていただいて乗り越えましょうと、皆で励まし合いながらやっていただいていると理解をしているのですが、何か聞いていますか、バタバタと(養鶏を)やめていくというようなことを。

記者

  一部その取材した中ではそういった声もありましたので、実際どうなっているのかなというのは。

大臣

  やめていかれる方もたまにはいると思うのですが、それは本当にたまにだと思います。せっかく施設を持っているわけですから、そこにヒヨコを入れれば、6か月後にはまた卵を産み出しますので、酪農などとは異なって、(発生前の水準に戻るまでに)3年もかかってということではないわけですから、6か月間我慢しておけば、また卵は出てくるという期待感もあるし、動物を飼育するという楽しみもありますから、毎日ヒヨコが大きくなってきて卵を産み出すと、農家というのはそれが一番の生きがいになっていくのですけれども。ですからあまり(バタバタやめていくという話は)聞いていません。

記者

  もう一点、分割管理についてもお聞きしたいのですけれども、一つの選択肢と国は示されていまして、マニュアルを策定するといったお話もあったかと思いますが、その後の進捗の方はいかがでしょうか。また、導入に向けて今後、国として支援など考えている予定はありますでしょうか。

大臣

  前の会見でも申し上げましたけれど、やはりしっかりマニュアルを作って、そして農家の皆さん方が間違いないように、今後、処分なり飼育管理をしてもらおうという意味で、分割しての飼育管理というのは、きちんとマニュアルを出さないと、農林水産省が(あいまいなまま)良いと言ったということになってしまい、今後、飼育管理が緩んでいきますので、家畜衛生管理の全国会議を20日に開いて、各都道府県に対して二つ指示をしました。まず衛生管理区域の境界を明確にするというのが一つです。それから二つ目は、衛生管理区域ごとに作業者を分けるということ。こういうことをきちんとマニュアル化してお示しをしたいと思っています。それができれば次々に感染していきませんので、そこの区分をはっきりして衛生管理をやっていけば、(全羽殺処分をしなくても)広がっていかないのではないかと思っています。そういう意味では、現場向けのマニュアルの策定については、専門家や現場の意見を聞きながら、次のシーズンに向けて対応していきたいと思っています。

  • G7農業大臣会合の成果及び印象について(2)

記者

  G7会合2日間で、大臣が一番印象に残ったことを教えていただけるとありがたいです。

大臣

  幾つもあります。一つだけというと大変難しいのですが、私を含め各国の大臣が非常に感銘を受けていたのは、若い高校生が流暢な英語で質問をしたり、挨拶をしていたことで、夜のディナーなどでそういう話が出ました。ですから、よかったなと(思います)。高校生は英語を相当練習したと思うのですが、スピーチはプロ級でした。そういう意味で素晴らしいと。そしてあの子たちが次の農業を担っていくのだということを皆さん口々に言っていました。二つ目は、県や市など、市長や知事が力を入れていただいて、そして至るところで子供たちや生産者の方に歓迎のお出迎えをしていただき、(各国の大臣も)皆、感動していました。それから夜の食事、これが宮崎の美味しい牛であったり、マンゴーであったり、その食べ物に対して大変感動していました。また、ホテルや宮崎神宮の食事の時に皆さんが口々に言うのは、食べ物だけではないと。日本の文化・芸術というか、お皿であったり、盛り付けにも感動されたと。私はイタリアのロッロブリージダ大臣と(席が)一緒だったのですが、「俺たちは来年(G7を)開かなきゃならないけれども、日本みたいなこんなことはなかなかできないと思う。困った、困った。」と言っておられましたけれども、そういう意味では、(今回の会合を)受け入れていただいた宮崎の皆さま方が、子供たちや生産者も含め、大変歓迎していただいたことが大きく印象に残っており、本当に心から御礼を申し上げたいと思っています。

  • シャインマスカットの未開花症の実態把握について

記者

  シャインマスカットの開花異常についてお聞きします。シャインマスカットが開花時期になっても花が咲かないという症状が全国で出ていますが、これから開花時期の5月、6月を迎えます。先日、大臣は、原因究明を急がなければならないとおっしゃっておりましたが、農林水産省として、今後どのように実態把握を進めていこうとお考えでしょうか。

大臣

  先般も御質問があって、原因究明を急がなければならないということを私は申し上げたと思いますが、今、マスコミで取り上げられているのは、被害が大きいというか、開花してないものの発生が多いところが取り上げられていますけども、(実際は)全国的にどうなのかということで、現在47都道府県を対象にアンケート調査を実施しています。そのアンケート調査で得られた情報をもとに、より詳細な発生園地の(調査をしようと思っており)、一つ目は実態調査、どんな状況なのかということ。二つ目は、状況調査。開花していない(かどうかを調べる)のは実態調査ですけれども、状況調査というのは、土壌の物理性、あるいはそこの地域の気温がどうだったかという(ことを調べるもので、この)状況調査をしてみたいと思っています。複合的な影響で開花しなかったのか、あるいは何か特定の原因があって開花しなかったのか、原因究明をしていきたいと思っていまして、できるだけ早く原因を究明したいと思います。そうでないと農家の皆さん方、大変不安に思っていると思うので、早くやりたいと思っています。

  • 特定技能制度における特定技能2号の対象分野追加の方針、令和5年のサンマ漁獲枠の決定について

記者

  先ほどG7のお話の中でもありましたけども、農業の担い手としての外国人の位置付けなのですが、熟練外国人の方の長期雇用拡充ということで、特定技能2号の対象分野の拡大が2分野から11分野に6月にもというところで農業も検討の対象に入っているかと存じます。これに対して期待感もしくは課題など思われることあったら教えてください。それが1点目です。続きまして2点目で、サンマなのですけれども、昨日の水産庁の会合でも(話が)出ましたが、2023年の漁獲枠、2022年比で24%減の11万8,131トンという方針を決定されました。こちらは漁獲枠の現行制度を導入して以降、最小ということで、現在日本として獲っている量というのはそれよりもはるかに及ばない数字ではありますが、こうやって枠が最小になったことについて受け止めをお願いします。

大臣

  まず1点目の外国人の労働者の問題ですが、色々な意見があるということは承知しています。こうした中で、出入国在留管理庁において熟練した技能を有する特定技能2号の対象分野追加の方針が示されて、農林水産省所管の4分野についても追加要望が示された分野として掲げられているところです。まだ完全にコンクリートされたものでありませんので、引き続き業界団体や、現場の意向を丁寧に聞き取りつつ、関係省と連携して対応してまいりたいと(思います)。今から議論が深まっていくのではないかと思っていますので、農林水産省としても、色々な視点から、これらについて(関係)省庁、各業界にも聞かなければなりませんし、また現場の農家の皆さん方の意向も聞かなければなりませんので、そういったことを踏まえて、他省庁と連携しながら対応してまいります。今のところはそれまでしか言えません。農林水産省として、こういう方針だというところはまだコンクリートされておりません。それから、2点目のサンマのお話ですが、今年3月に札幌で開催されたNPFC第7回年次会合で公海の漁獲枠が25%削減されたというのは御承知のとおりなのですが、これを受けて、我が国のTACもほぼ同様の率で削減し11万8,000トンということになったと、(このことについて水産政策審議会で)適当である旨の答申をいただいたと思っています。

記者

  それについて、過去最少のサンマ漁獲枠の受け止めをお願いできますでしょうか。

大臣

  私はサンマが大好きですから、たくさん獲れるものなら獲らせて頂きたいのですが、資源管理についてはいろいろな国の要望もあると思うので、日本も言いたいことはいっぱいあると思います。ですけれども、これについては国際枠の中で、NPFCで25%削減がなされたことを日本としてもきちんと守っていくと同意したわけです。それに基づく割り当てですから、それは管理しなければいけないと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

発信元サイトへ