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令和5年4月26日
首脳会談を前に、バングラデシュのハシナ首相と握手する岸田総理大臣 握手を交わす両首脳(写真提供:内閣広報室)
日・バングラデシュ首脳会談が行われている様子 日・バングラデシュ首脳会談(写真提供:内閣広報室)
日・バングラデシュ両首脳による共同記者発表の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 4月26日、午後6時40分から約45分間、岸田文雄内閣総理大臣は、公式実務訪問賓客として訪日中のシェイク・ハシナ・バングラデシュ人民共和国首相(H.E. Sheikh Hasina, Prime Minister of the People’s Republic of Bangladesh)と、首脳会談、文書交換式立ち会い及び共同記者発表を実施した後、午後8時00分から約60分間、ワーキング・ディナーを行ったところ、概要は以下のとおりです。
 また、両首脳は、日・バングラデシュ戦略的パートナーシップに関する共同声明を発出しました。

1 冒頭

 岸田総理大臣から、ハシナ首相の訪日を歓迎するとともに、昨年、外交関係樹立50周年を迎えた中で、戦略的要衝に位置するバングラデシュとの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げすることをうれしく思うと述べつつ、二国間関係を更に深化させ、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、ハシナ首相と一層協力していきたい旨述べました。
 これに対し、ハシナ首相から、両国関係の新たな50年の幕開けにあたる本年に訪日を実現することができ、うれしい旨述べるとともに、日本とバングラデシュは、長年、友好関係を築いてきており、今回、二国間関係を「包括的パートナーシップ」から「戦略的パートナーシップ」へと格上げし、日本との関係を更に強化させたい旨述べました。

2 二国間関係

  • (1)「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」
     岸田総理大臣から、今年3月にFOIPの新たなプランを発表したことを説明した上で、その際に発表された「産業バリューチェーン構想」はベンガル湾地域全体の連結性向上を目指すものであり、「ベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)」構想の下での協力をインド北東部の開発と有機的に連結させていくことで、相乗効果を生み出していきたい旨述べました。また、岸田総理大臣から、国家安全保障戦略等について説明し、ハシナ首相からは、自由で開かれたルールに基づく国際秩序への日本のコミットメントを歓迎しつつ、バングラデシュとしても自国のインド太平洋アウトルックを発表するなど、自由で開かれた包摂的なインド太平洋を重視している旨説明がありました。
  • (2)安全保障
     両首脳は、寄港や部隊間交流、ハイレベル交流が活発化していることを確認しつつ、防衛装備品・技術移転協定の交渉開始を歓迎し、「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の活用を含め、安全保障協力を引き続き促進することで一致しました。
  • (3)経済・経済協力
     岸田総理大臣は、バングラデシュの2026年後発開発途上国(LDC)卒業決定に祝意を述べつつ、引き続きバングラデシュの発展を後押ししていく旨述べました。また、ロシアによるウクライナ侵略等の影響を受けたバングラデシュ経済を支えていくため、財政支援(円借款(注))の実施に向け検討していく旨述べました。さらに、岸田総理大臣から、バングラデシュが更なる投資を呼び込むために投資環境改善や産業高度化に向けた取組をハシナ首相に要請しました。ハシナ首相からは、長年にわたる日本の支援に謝意を示しつつ、デジタル化等の分野で両国の協力を深めていきたいとの期待を述べました。両首脳は、今月、第1回会合が開催された「あり得べき日・バングラデシュ経済連携協定(EPA)に関する共同研究」の進捗を歓迎し、二国間経済関係を強化していくことで一致しました。

     (注)円借款:開発途上国に対して必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展につながることが期待される。

  • (4)人的・文化交流
     両首脳は、昨年の日バングラデシュ外交関係樹立50周年に、多くの文化交流事業が行われたことを歓迎しました。また、二国間初となる徳島県鳴門市とナラヤンガンジ市の友好都市提携、成田・ダッカ間の直行便の再開、特定技能制度のための現地試験の開始等、新たな取組が進展していることを歓迎し、幅広い人的・文化交流を進めていくことで一致しました。

3 地域・国際情勢

  • (1)岸田総理大臣より、G7議長国として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持と、G7を超えた国際社会のパートナーとの関係強化という2つの視点を重視している旨述べ、ハシナ首相からは日本のG7議長国就任をお祝いすると述べるとともに、国際社会にとっての重要課題についての考えの説明がありました。
  • (2)両首脳は、東シナ海や南シナ海、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応など、地域情勢について議論しました。
  • (3)岸田総理大臣から、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であるロシアによるウクライナ侵略について、ロシアによる侵略を1日も早く終わらせるべく、国際社会が一致して声を上げて訴えていく必要がある旨述べました。
  • (4)両首脳は、ミャンマー・ラカイン州からの避難民問題についても意見交換し、岸田総理大臣から、避難民を受け入れるバングラデシュに敬意を表するとともに、その取組を引き続き後押ししていく旨を述べ、ハシナ首相から日本の支援への謝意が示されつつ、早期帰還の重要性につき説明がありました。
  • (5)両首脳は、安保理改革を含む国連の機能強化に向けて引き続き連携することを確認しました。ハシナ首相は日本の国連安保理常任理事国入りへの希望に対するバングラデシュの支持を改めて確認し、岸田総理大臣から謝意を述べました。また、核軍縮・不拡散について、両首脳は、引き続き連携していくことを再確認しました。
(参考)別添

 戦略的パートナーシップに関する日・バングラデシュ共同声明(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く


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