農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年4月28日(金曜日)9時05分~9時26分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)2027年国際園芸博覧会関係閣僚会議について
  • 食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会について
  • 第1回畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議について
  • 鶏卵価格の状況について
  • 改正構造改革特別区域法の成立について
  • 牛乳乳製品のインバウンド等消費拡大緊急対策について

冒頭発言

大臣

  私の方から、1点だけ御報告があります。2027年横浜市で開催される国際園芸博覧会に関して、本日の閣議後、官房長官を議長とする関係閣僚会議が開催されました。会議には総理も出席され、園芸博覧会の公式ロゴマークが発表されたほか、博覧会の成功に向けて、オールジャパンで連携して準備・運営に必要となる対策を講ずるよう指示があったところです。農林水産省としては国土交通省をはじめとする関係府省、博覧会協会や横浜市、神奈川県などの関係者と密接に連携して準備に万全を期すとともに、我が国の花きや花き園芸文化の素晴らしさに加え、最新のスマート技術や、日本食の魅力なども世界にアピールしたいと考えています。詳細はこの後プレスリリースいたします。私の方から以上です。

質疑応答

  • 食料・農業・農村政策審議会基本法検証部会について

記者

  農業基本法の見直しについて質問させていただきます。検証部会の方で、6月の中間取りまとめに向けて議論が進んでおりますが、これまでの議論の内容と進捗状況、それから受け止めをお願いいたします。

大臣

  基本法の見直しについては、食料・農業・農村政策審議会に私の方から諮問をしたのですが、具体的にはその下に検証部会ができていて、本日も開催されますが、(本日を含め)既に14回、これまで議論を重ねてまいりました。我々三役も可能な限り出席をしながら、議論に参加しておりますが、検証部会では具体的には、四つ(のテーマでの議論が)あり、一つ目は、緊急時だけでなく、平時から国民一人一人の食料安全保障を確立する観点から、食品アクセスの改善や、適切な価格形成、国内市場が縮小する中で、海外市場も視野に入れたものへ転換することなどが議論されました。二つ目は、将来我が国の農業者が減少するというのは明らかであるため、そのためにどうするかということで、農地の集積や集約化を加速的に進めていかなければならないということ。また、スマート農業、今、あちこちで実証実験をやっていますが、イノベーションが進んできており、あるいは農研機構を中心に新品種の導入の研究も進んできていますので、このような新しい取組を行っていくこと(などが議論されました)。三つ目は、人口の減少、高齢化によって、村としての集落機能が低下していくのではないかということから、(末端の用排水路等の)保全管理の継続のための施策をどうすればよいのか(という御意見)。(更に)これからは(農作業の)人手も足りなくなるということや、農村におけるビジネスの創出(が必要なことから)、農村に移住してもらおうという御意見もありました。(そうして)農村関係人口の増加ということをやっていかないと、農村のコミュニティーの維持ができなくなるのではないかといった議論(でした)。四つめが、より環境負荷の低減に貢献する農業・食品産業への転換を進めるべきではないかというような(議論で)、こうした議論を積み重ねていただいていまして、検証部会では今後取りまとめに向けた議論に進んでいくものと承知しています。5月19日にとりまとめに向けた議論を開始し、6月中には中間取りまとめをやるようなスケジュール感で、今進めてきているところです。

  • 第1回畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議について

記者

  酪農について伺います。今日、酪農や畜産に関するコストを適正に反映できるような環境を作るための会議が開かれると聞いています。この会議の狙いと期待することを教えてください。ウクライナ侵攻以降、特に昨年8月以降の統計を見ても、生乳の生産量は前年比を割っていることも多く、離農が進みつつある中で、生産量にも少し影響が出てきつつあります。こういう酪農が今抱えている状況を鑑みて、この会議でどんなことを期待して、どんなふうな仕組みに繋げたいのか教えてください。

大臣

  酪農問題はこれまでも皆さんからも御質問をいただき、また、総理の指示等を踏まえながら、我々は餌対策、あるいはその他の対策を今まで重ねてきました。また、酪農家や団体の方もメーカーとの交渉を精力的にやってこられて、できるだけ生乳の引取価格を上げる努力をされてきました。このように(国としては)財政による補填で、消費者負担の軽減等も考えながら、畜産業の下支えを行ってきましたが、(将来的にも)生産コストの上昇というものは適切に取引価格に反映していくことが必要だということで、今回、環境整備推進会議を立ち上げ、その中で生産コストを価格に適正に反映できる仕組みについての議論をしていただこうと思っていますが、これはまた非常に難しい問題でもあります。ただ、農産物の中で唯一、メーカーと生産者の交渉で価格が決定できるのは生乳だけです。他のものはほとんど市場なり、相対取引の中で価格が決まっていきますが、この酪農問題につきましては、生乳価格が今回も10円上がりますけれども、これらは初めて全ブロックで、各ブロックの指定団体が直接メーカーと話をした結果、10円上がりました。酪農だけが実質的に生産者とメーカーの方で話ができて、価格が決まっていくということですが、(では)他のものはどうなのかということで、今後、(畜産・酪農について)生産コストを適正に(取引)価格へ反映することが可能な仕組みについて検討をしたいと思っています。ただ、これは消費者の理解がないとできない話ですから、非常に難しい問題を抱えていることは、実際そのとおりなのです。G7の会議の中でも、フランスはエガリム法が出来上がって、ようやく緒に就いたばかりなのですが、フランスもまだ問題を抱えているような話ぶりでした。ですから、こうしてコストを価格転嫁していけるという仕組みができていけば、農家の皆さんも安心して生産に従事できると思います。町の話とか、私の地元の話を聞くと、卵の価格が相当上がっていますが、「今までが安かったのよね」という声も聞かれまして、農家の方も苦労していたということについて、(最近は)消費者の皆さん方の理解があるなと思いました。ですから、そのように消費者の皆さんにも、卵1個作るのにこれだけのお金がかかるよとか、あるいはこういった形で農家が今大変苦労していますといったことを発信する必要があるのではないかと思いました。今回、鳥インフルエンザをきっかけにこのような問題が惹起されましたので、毎日皆さんにも紙面に書いていただいたり、テレビ等で映していただいたので、消費者の皆さんも、「卵農家というのは(これまでも)大変だったんだね」ということを理解していただいたのではないかと思います。これは(記者の)皆さんの大きな功績だと私は思います。

  • 鶏卵価格の状況について

記者

  今しがたお話が出ました卵の価格の件で、本日4月28日で4月分のJA全農たまごの卸売価格が公表されまして、月平均で350円と、前の月よりもまた上がりまして1993年の公表以来、3か月連続で高値を更新しております。前の月よりも上がり幅は若干緩やかになっておりますが、引き続き高い状況が続いております。これに対する受け止めと、分割管理に対するマニュアルの整備も進められているということでしたが、農林水産省として対応していくことについてお願いします。

大臣

  卵の値段が(卸売価格で平年比)174%程度に上がっていると思います。前から見れば高い水準だと思いますが、「卵というのは(元々が)安かったんだよね」という消費者の声も一部にはあるところです。今回(の卵の値段の推移)は、鳥インフルエンザで殺処分を非常に(沢山)行ったということで、供給量が不足したということです。今日調べたところ、雛が63万羽、殺処分した(農場の経営再開のため)鶏舎に入ったということで、(これらの採卵鶏)11経営体が雛を導入したという情報があります。半年すればこの雛が卵を産み出し始めますから、徐々に回復基調にはあると思いますが、一挙に価格が戻るということにはなりません。ただ、ブラジルからの卵が輸入で来ました。今後もブラジルからの輸入があるのではないかと思います。生鮮品としては、スーパーなどでは、朝、卸していきますが、夕方には(棚が)空っぽになっているのを皆さん実感されていると思いますけれども、(鶏は卵を)毎日産んで、(家庭向けに)生産されていますから、翌日には(店頭に)補充されていますので、何日も卵を手に入れられないということにはなっていないと思うのですが、ただ加工用のものが不足していることは事実ですから、外食産業なり、食品メーカーの方が大変お困りのことは我々も重々承知しています。今、ブラジルからの輸入卵も入って来たということで、少しずつ、供給不足は緩和されるのではないかと思っています。今のところはブラジル(産)の殻付き(卵)や、液卵の輸入でリカバリーしたりしていますので、完全に供給がストップということにはなってこないと思っています。ただ、メーカーによっては完全に商品をストップしているところもあるようです。

  • 改正構造改革特別区域法の成立について

記者

  企業の農地所有の特例について伺います。26日に構造改革特区法などの改正案が成立しまして、これまで兵庫県養父市に限られていた特例が条件を満たす他の自治体でも使えるようになります。まずはこの法改正についての受け止め、それから、計画を認定する際に、大臣が同意するプロセスがありますが、農地の適正な利用の観点からどう望まれるお考えかお聞きします。

大臣

  なかなかこれは難しい問題だったのですが、色々知恵を出しまして、(法人農地取得事業を)今までの(国家戦略)特区法から、今度は構造改革特区(法)に移したということで、どのような変化が出てくるのかというと、今までは(国家戦略)特区に指定された地域であれば、企業が農地所有することは認められていました。構造改革特区で農地を取得しようとすると、市町村が関与します。市町村が買ったものをその企業が買う。あるいは(企業が)もうやめたと農地を手放すことになれば、市町村が買い戻す。そのような形で、市町村は、(承認にあたり)議会を通さなければなりませんから、首長さん方も慎重にならざるを得ないと思います。更に、最終的な認定は農林水産大臣にありますので、国の関与もあるので簡単に農地を取得することができない。今回この構造改革特区に(このような形で)移したというのは大きな意味があると思っています。農家の方や、あるいは行政の方が、簡単に企業が農地を取得し、そこで農業がされずに他のことに利用されて、優良農地がなくなってしまうという危惧の念を持っていましたので、この(ような形で)構造改革特区法に移したというのはそういう狙いがあります。つまり企業は簡単に農地を取得することは出来ないということです。

  • 牛乳乳製品のインバウンド等消費拡大緊急対策について

記者

  生乳の消費拡大についてお伺いします。子供食堂などを対象とした、新たな消費拡大の取組は4月26日までに事業者を選定ということだったと思うのですけれども、どのぐらい事業者が集まったのか等を含めてその進捗状況と受け止めについて教えて下さい。

大臣

  消費拡大のために、訪日外国人や、子供食堂等に対する消費拡大の対策をやっていくということで、4月26日を(応募の)締め切りとして事業者の選定を行ったところですが、応募は2者ということでした。今後、追加の募集は行わず、この2者のうちから選定を行っていきます。ただ、応募するのに、誰でも手を挙げられるわけではないと思うのは、(いろいろ)事業内容(があって、そ)の一つは、(訪日外国人への)牛乳等の割引クーポン券の配布。二つ目は(訪日外国人に)空港観光地等で牛乳を直接配ること。三つ目が、(訪日)外国人への観光地等での料理・デザート等の試食販売。四つ目が輸出国での牛乳乳製品PRイベントを出すこと。五つ目が子供食堂等で牛乳等の割引クーポン券を配布すること、というような5項目の事業内容ですから、誰でもやれるというものではなかったのではないかと思いました。ただし、選定された事業者がきちんと実施していただければ、牛乳の消費は拡大していくと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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