外務省・新着情報

冒頭発言

(1)林外務大臣の中南米訪問

【林外務大臣】冒頭私(林大臣)から2件ほどございます。
 まず、4月29日から5月7日まで、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ペルー、チリ及びパラグアイの5か国を訪問いたします。なお、トリニダード・トバゴとバルバドスは、我が国外務大臣として初の訪問になります。
 本年1月に、中南米4か国を訪問いたしましたが、今回、これに続いて、価値や原則を共有する重要なパートナーである中南米諸国との友好関係を更に深めるために訪問するものであります。
 また、本年G7議長国として、国際社会の幅広い声を聞き、それをG7での議論に活かすことを重視しており、今回の訪問は、その観点からも重要と考えております。
 今回の訪問先の国々とは、ロシアによるウクライナ侵略を始めとする現下の厳しい国際情勢を踏まえまして、国際社会の諸課題について率直に意見交換をし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために、更なる連携を図る予定にしております。
 また、鉱物・食糧・エネルギー資源の宝庫でもある中南米諸国は、現下の国際情勢において、その重要性が増しております。そうした観点から、ポテンシャルの高いこれらの国々との一層の二国間の経済関係強化、各国の直面する課題への対応における協力の方策についても、意見交換を行いたいと思っております。
 それから、来年2024年は「日・カリブ交流年」であり、トリニダード・トバゴ及びバルバドスとは、これに向けて緊密な協力を確認したいと考えております。
 また、この機会を捉え、日本と各国の大事な絆となっていただいている、日系人との交流も深めたいと思っております。

(2)ジブチからの退避邦人

【林外務大臣】2件目ですが、今般、情勢が急速に悪化したスーダンから、ジブチに退避した在留邦人とそのご家族のうち、日本への帰国を希望している方について、政府の手配したチャーター機にて、ご帰国をいただく方向となりました。チャーター機は、明日29日、日本に到着する予定であります。スーダンから退避した大使館員の一部も搭乗予定であります。
 昨27日に、ジブチに退避した5名を含め、退避を希望していた在留邦人及びその御家族65名が、スーダンから退避をされました。危険かつ困難な状況の中、邦人退避を遂行した大使館や自衛隊、安全な退避に貢献したJICAを始めとする関係者の皆様の努力に改めて敬意を表したいと思います。また、邦人退避にご協力いただいた、韓国、フランス、ドイツ、米国、英国、サウジアラビア、UAE、カナダ、ヨルダンをはじめとする関係各国及び国連など関係機関に、改めて感謝を申し上げます。
 政府としては、引き続き、ジブチ臨時事務所での対応を含めて、スーダン国内に残留する邦人の安全確保及び必要な支援に、全力を挙げて対応してまいります。
 以上です。

香港国家安全維持法

【産経新聞 岡田記者】香港情勢について伺います。3月上旬に、日本国内の大学に留学経験のある香港出身の女子学生が、日本で行った言動を理由に、香港の国家安全維持法違反の疑いで、香港の治安当局に逮捕されました。この学生は、2年半ほど前、日本にいた頃に、Facebookで香港の学生デモを支援するスローガンを転載したということですが、香港当局は、この内容を問題視したと見られています。香港の法律が、香港域外で行われた行動に対して適用された形となりますが、これに対する日本政府の受け止めと、中国政府に対して、何らかの懸念を伝えるとかの対応をとられているのかどうか、教えてください。

【林外務大臣】御指摘の件は承知しておるところでございます。
 日本としては、国際社会における普遍的価値や原則である自由、基本的人権の尊重、法の支配、これが中国において保障されることが重要であると考えておりまして、こうした日本の立場については、中国政府に対して、直接伝達してきております。
 香港をめぐる情勢については、2020年の6月に国家安全維持法が制定をされ、それ以降、民主派の関係者の逮捕など、様々な動きがあったところでございます。また、2021年の3月、香港における選挙制度に関する香港基本法の規定の変更もあるなど、「一国二制度」への信頼を損なわせ、重大な懸念を強めざるを得ない事態が続いております。
 日本としては、中国香港当局に対し、香港基本法に規定されている言論及び報道の自由が保護されるように求めるとともに国際社会と緊密に連携して、中国側に強く働きかけてまいりたいと考えております。

米韓首脳会談(核共有)

【中国新聞 樋口記者】さっきの米韓首脳会談に関連して伺います、この中で、核戦力を含む拡大抑止の強化ということが合意されまして、米韓国に、更に、日本も含めた3か国での連携強化ということもあわせて確認をされています。今のところ、その米国は韓国に核兵器を再配備するという考えはないということなんですけれども、この3か国ということになると、北朝鮮の脅威をにらみということなので、将来的に、日本に核共有ということが、米国の核を共有するということがなされるんじゃないかという懸念が、被爆地などから上がっていますけれども、改めて、その核共有ということに対しての政府の、大臣の見解を伺います。

【林外務大臣】核共有につきましては、非核三原則との関係から認められないものであり、政府として議論するということは考えておりません。

林外務大臣の中南米訪問(パラグアイ)

【読売新聞 阿部記者】冒頭ご紹介のありました中南米の訪問の関係で、質問なんですけれども、パラグアイも訪問されると思います。パラグアイは、南米で唯一の台湾を承認している国だと思うんですけれども、パラグアイで、近く大統領選も行われて、有力候補は、その台湾との見直すことも示唆しています。今回のパラグアイ訪問では、政府要人と、台湾について、どのような議論を期待していますでしょうか、お聞かせください。

【林外務大臣】パラグアイは、1万人の日系社会を有する伝統的な親日国でありまして、価値や原則を共有する重要なパートナーであります。
 パラグアイの大統領選挙が、4月30日に実施をされる予定と承知しております。どのような結果になろうとも、このような重要なパートナーであるパラグアイとの間で、二国間及び多国間での協力、そして、東アジアを含む国際情勢等につき、意見交換をし、一層の連携を確認したいと考えております。

長井健司氏のカメラ返還

【テレビ朝日 土田記者】ミャンマーで、取材中に銃撃されて亡くなった長井健司さんに関して伺います。2007年に、長井さんが銃撃される直前まで取材活動に使っていたカメラが、26日に遺族の元に返却されました。このことに対する外務省の受け止めと、今回、ミャンマー政府を介してではないルートでの返却という形でもあったわけですけれども、今回の件を踏まえて、日・ミャンマー関係に、何らかの影響があるのかどうか教えてください。また、長井さんの事件については、日本政府は、近距離からの意図的な銃撃による殺害だったと認識されていると思いますけれども、ミャンマー側は、長距離からの流れ弾による事故だと主張を続けてきていまして、改めてミャンマー側に働きかける考えはあるかどうか、併せて教えてください。

【林外務大臣】2007年の9月に、長井健司さんが、ミャンマーで取材中に銃撃されお亡くなりになるという、痛ましい事件の発生から、15年以上が経過したわけですが、改めて哀悼の意を表するとともに、ご遺族に対して、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
 政府として、事件発生以降、ミャンマー側に対して、事件の真相究明とともに、ビデオカメラを含む遺留品の返還を要求してきたところでございます。
 今回、長井氏のものとされるビデオカメラ返還されたことは、ご遺族の意向に沿ったものと受けとめておりますが、長い年月を要したことは遺憾だと考えております。
 事件の真相究明につきましては、いまだ両国間で事実認識に相違がありまして、政府としては、ミャンマー側に対して真相究明を、引き続き求めてまいりたいと考えております。

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