外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】4月29日から今日5月5日まで、トリニダード・トバゴ、バルバドス、ペルー、チリ、パラグアイの中南米5か国を訪問いたしました。本年1月に中南米4か国を訪問いたしましたが、これに続いて、価値や原則を共有する重要なパートナーである中南米諸国との友好関係を深めることができました。
 各国とは、ロシアによるウクライナ侵略、中国、北朝鮮を含む東アジア情勢等の国際社会の諸課題について率直に意見交換をするとともに、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するために更なる連携を図ることを確認いたしました。
 また、鉱物・食料・エネルギー資源の宝庫でもある中南米諸国は、現下の国際情勢において、その重要性が増しております。ポテンシャルの高いこれらの国々と二国間経済関係強化の方策について有意義な意見交換ができました。さらに、各地で我が国と中南米の大事な架け橋となっておられる日系人の方々との交流を深めるとともに、ビジネスの最前線で日々奮闘されている日系企業関係者などと懇談し、各国との関係の活性化の方策について議論をいたしました。
 トリニダード・トバゴでは、ブラウン外務大臣とそれからヤング・エネルギー大臣と会談し、来年外交関係樹立60周年を迎えますこの両国の関係を、幅広い分野で一層発展させまして、国際場裡における連携を深めていくことで一致をしました。また、来年の「日・カリブ交流年」に向けたタスクフォースでの協議等を通じて、二国間関係を更に促進していくことで一致をいたしました。
 バルバドスでは、モトリー首相を表敬するとともに、シモンズ外務大臣と会談をし、価値や原則を共有する両国の二国間関係を一層強化していくこと、また、気候変動問題を含めて広く国際社会の諸課題について協力していくことを確認いたしました。
 ペルーでは、ボルアルテ大統領を表敬するとともに、ヘルバシ外務大臣と会談を行いまして、本年、外交関係樹立150周年を迎えた両国の関係を様々な分野で一層強化していくことで一致をいたしました。また、国際社会における諸課題に協力して取り組んでいくことも確認いたしました。また、南米のスペイン語圏では初となります国際交流基金のリマ事務所の開所式に立ち会いをいたしました。今後の文化交流の拠点になることを期待しております。
 チリでは、ボリッチ大統領を表敬するとともに、バン・クラベレン外務大臣との会談を行いまして、チリのCPTPP発効も踏まえて、鉱物資源やクリーンエネルギーにおける協力を始め、二国間関係の更なる深化や国際場裡での協力を進めていくことを確認をいたしました。また、バン・クラベレン外務大臣との間で日チリ科学技術協力協定に署名をいたしました。
 パラグアイでは、アリオラ外務大臣との会談を行いまして、二国間関係や国際場裏における協力など幅広いテーマで意見交換を行いました。また、当選直後のペニャ次期大統領を表敬をいたしまして、ペニャ次期大統領率いる新政権と、日・パラグアイ関係を引き続き強化させていくことを確認いたしました。
 日本として、こうした外相同士の胸襟を開いた対話なども通じまして、国際社会の幅広い声を聞き、これをG7を含む今後の日本外交に活かしていきたいと考えております。

 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今回の中南米歴訪を通じまして、政府が掲げるグローバルサウスへの関与強化の点ではどのような成果があったでしょうか。また、先ほど大臣から今回の外遊をG7などに繋げたいとの意見がありましたけれども、今回の外相会談などで得た意見をどのようにG7広島サミットの議論につなげたいでしょうか。

【林外務大臣】今回の各国との一連の会談で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性につき各国と認識を共有し、連携を確認できたことは極めて有意義であったと考えております。我が国は、本年のG7議長国として、国際社会の幅広い声を聞き、それをG7での議論に活かすことを重視をしております。今回の各国との一連の会談でお伺いをしました各国の考えもしっかり踏まえながら、2週間後に迫りましたG7広島サミットを始めとする機会に、G7各国としっかり議論し、更に連携していきたいと考えています。

【記者】パラグアイでの外相会談について伺います。中南米では中国による巨額の財政援助も背景に、国交を台湾から中国に切り替えるケースが相次いでいると思うんですけれども、パラグアイとの外相会談若しくは表敬においては、インフラ支援や開発金融のあり方について大臣からどういったお話をされたのか教えてください。

【林外務大臣】アリオラ外務大臣と外相会談を行いまして、私からは、我が国は中国に、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力するという建設的かつ安定的な関係の構築を日中双方の努力で進めていく方針であり、中国とは率直な意思疎通を行っていくことが重要であること等を説明いたしました。その上で、この東アジア情勢につき、率直な意見交換を行い、認識を深めることができたと考えています。我が国は、これまでもパラグアイの経済社会インフラの整備や脆弱性の克服に資する協力を行ってきています。今回の会談でも、我が国として、今後もパラグアイの開発努力を後押ししていく考えであることを説明をいたしました。

【記者】今回の外遊の件と直接関係がなく申し訳ないんですけれどもウクライナ情勢についてお伺いします。先日のロシアのクレムリンへの無人機による攻撃について、誰がどのように攻撃したかなど国際社会ではさまざまな見方がありますが、日本政府として現状どのように分析されているでしょうか。また、G7議長国として今後この件についてどのように対応していくかも合わせてお願いします。

【林外務大臣】5月3日、ロシア大統領府が、同日未明に大統領の官邸であるクレムリンへの無人機による攻撃の試みが行われたと発表し、この発表の中で、この攻撃をウクライナ政府によるものとした上で、対抗的な措置をとる可能性について言及していることは承知しております。一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領はこの攻撃へのウクライナの関与を否定したと承知しております。ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう求めてきているところであります。こうした中で、我が国としては、本件が今後の情勢に与え得る影響等の観点から、高い関心を持って注視してまいりたいと考えております。

【記者】先ほどの説明の中でパラグアイでペニャ次期大統領を表敬訪問されたということだったのですけども、その中でペニャ次期大統領は台湾との関係を重視する立場で当選されたと思うのですけれども、台湾情勢についてですね、どのような意見交換をなされたのか教えてください。

【林外務大臣】まずはですね、ペニャ氏が次期大統領に選出されたことに心からお祝いを申し上げたところであります。外交上のやりとりについては、詳細を明らかにすることは差し控えなければなりませんけれども、ペニャ次期大統領とは、東アジア情勢を含む国際情勢について率直な意見交換を行ったところでございます。今後、ペニャ次期大統領が率いる新政権の下で、日本とパラグアイとの間で、二国間や多国間での協力を一層強化していきたいと考えております。

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