外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】昨日、ここ、スウェーデンのストックホルムにおきまして、初めて対面でインド太平洋閣僚会合に出席をいたしました。
 インド太平洋閣僚会合におきましては、開会セッションにおきまして基調講演を行うとともに、その後、インド太平洋の安全保障に関する分科会に出席をいたしました。一連の会合におきまして、私からは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた同志国間での一層の連携が重要であり、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更の試み、これは認められず、欧州とインド太平洋の安全保障を分けて議論することはできないという旨を強調いたしました。また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けましては、欧州の同志国とも結束して対応することが重要であるという旨を述べまして、日本の新たなFOIPプランの考え方についても説明をいたしました。
 その上で、私(大臣)から、日EU関係について触れる中で、EUとの安全保障・防衛協力を更に発展させるべく、EUとの新たな協力の方向性を、来るべき日EU定期首脳協議の機会に示したいと考えている旨述べたところでございます。
 さらに、今回の閣僚会合の機会に、フィンランド、オーストリア、ラトビア、キプロス及びスウェーデンの外相と個別に会談を行うとともに、EU、フランス、米国との間で懇談を行いまして、ロシアによるウクライナ侵略への対応、また「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力などについて議論を行いまして、一層の連携強化を確認したところであります。
 今回のストックホルム訪問によりまして、各国との間で、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更は許されないという認識を共有し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた同志国間での連携の一層の強化を確認することができました。いよいよ目前に迫りましたG7広島サミットに向けても、有意義な訪問になったと考えております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】大臣冒頭でも触れられましたが、開会セッションのスピーチの中で、EUとの安全保障・防衛協力を発展させるべく、新たな方向性を示す方針を表明されましたけれども、今後具体的にどういった方向性を示したいと考えていますでしょうか。

【林外務大臣】昨日、スピーチで申し上げましたとおり、インド太平洋の厳しい安全保障環境を前にしまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていくためには、インド太平洋の国々のみならず、欧州の同志国とも結束して対応していくことが死活的に重要になります。EUがインド太平洋地域の関与を高める中で、EUとの安全保障・防衛協力を更に発展させていくことが重要であります。
 新たな協力の具体的な方向性についてでございますが、EU側とまさに議論しているところでありまして、現時点で詳細に立ち入ることはさし控えたいと思いますが、例えばですね、これまで共同訓練を積み重ねてきた海洋安全保障分野での協力強化や、またサイバーや宇宙といった新たな安全保障課題における協力などがあげられるかと思います。

【記者】広島サミットの関連でうかがいます。開幕が5日後に迫っていますが、今回のインド太平洋閣僚会合やEU各国とのバイ会談の中身をどのようにサミットの議論につなげたいでしょうか。また、広島サミットでは東シナ海や南シナ海で海洋進出を続ける中国について安全保障上の協力など、どこまで突っ込んだ議論を行いたいとお考えでしょうか。

【林外務大臣】今回の訪問では、参加各国との間で、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更は許されないとの認識を共有しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた同志国間での連携の一層の強化を確認することができました。G7広島サミットでは、インド太平洋の地域情勢についても首脳レベルでしっかりと議論することが重要と考えておりまして、今回のインド太平洋閣僚会合における議論も踏まえつつ、G7議長国として議論を主導していきたいと考えております。

【記者】中国政府がですね、15日から李輝ユーラシア特別代表をウクライナやロシアなど5カ国に派遣すると発表しました。ロシアによるウクライナ侵攻の対話解決を促すためとしておりますけれども、G7サミット前にしたこのような動きがあることをどのように評価されますでしょうか。

【林外務大臣】中国政府がウクライナ、ロシアなどに代表団を送るとしたという発表については承知しております。ウクライナの和平に向けた動きについては、2月の国連総会決議にもありますように、公正で永続的な平和、これを実現するためには、ウクライナからロシアが完全に撤退するということが不可欠であるというふうに考えております。
 この点、ゼレンスキー大統領も、中国が発表した12項目の「立場」について、ウクライナ領土からの全てのロシア軍の撤退、これを規定していないのであれば不適切であると述べていると承知をしております。
 私自身の先般の訪中の機会を含め、我が国はこれまでも中国との間で、ウクライナ情勢について意見交換を行い、責任ある対応を強く求めてきております。引き続き今後の動きを注視していきたいと考えております。

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