外務省・新着情報

令和5年5月17日

 5月16日(現地時間同日)、オーストリア共和国ウィーンにおいて、引原毅駐ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使とガーダ・ワーリー国連薬物・犯罪事務所(UNODC)事務局長(Ms. Ghada WALY, Executive Director, United Nations Office on Drugs and Crime)との間で、供与額8.17億円の無償資金協力「太平洋島嶼国における効果的な海上犯罪対策のための海上法執行機関能力強化計画(UN連携/UNODC実施)」に関する書簡の交換が行われました。

  1. 太平洋島嶼国各国及びその周辺水域では、海上犯罪(違法操業船の航行、麻薬取引、人身取引、移民の密航、強制労働等)が大きな課題となっているのに対し、海上法執行機関の体制・能力が脆弱で、海洋監視能力や海上法執行基盤、執行能力等の強化が喫緊の課題となっています。
  2. 今回の協力では、太平洋島嶼国9か国(キリバス、ソロモン諸島、ツバル、ナウル、バヌアツ、パラオ、フィジー、マーシャル諸島及びミクロネシア)の海上法執行機関等に対し、UNODCとの連携により機材供与等を通じた体制整備、研修実施等を通じた人材能力強化を図り、もって対象国の海洋安全保障の確保と社会経済活動の活性化に寄与することが期待されます。
  3. 海洋国家である我が国は、法の支配に基づく「自由で開かれ安定した海洋」が、日本及び国際社会全体の平和と繁栄に不可欠であるとの考えのもと、海洋秩序の強化のための国際協力を推進しています。2021年7月に開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、我が国は、「法の支配に基づく持続可能な海洋」を含む支援の重点分野を表明しており、今般の協力は同表明を具現化するものでもあります。
  4. また、我が国は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のビジョンを共有する国々と連携しつつ、海洋秩序強化のための国際協力を進めています。今般の協力は、日米豪印及び地域のパートナーが協働して進めている「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」と協調して実施される予定です。
(参考1)第9回太平洋・島サミット

 2021年7月2日、テレビ会議方式により、菅義偉総理大臣(当時)とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナウイルスへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。

(参考2) 「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」

 2022年5月24日、東京で開催された日米豪印首脳会合における共同声明にて、下記のとおり記載された取組。
 「我々は、地域のパートナーと協働し、人道及び自然災害に対応し、違法漁業と戦うために設計された、新しい海洋状況把握イニシアティブである「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を歓迎する。IPMDAは、技術と訓練を提供することで、我々の海や海洋の安定及び繁栄を促進すべく強化・共有化された海洋状況把握を支援するため、インド太平洋諸国及びインド洋、東南アジア、及び太平洋諸島の地域情報融合センターを支援し、これらと協議しながら取り組んでいく。IPMDAは、日米豪印が掲げる「地域をより安定させ繁栄させるために役立つ具体的な成果に向けた我々の共同の努力の促進」を体現している。」


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