経産省・新着情報

2023年5月9日(火曜日)
9時39分~9時53分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

ALPS処理水

Q:福島第一原発の処理水についてお伺いいたします。先日、岸田首相と韓国のユン大統領が韓国の専門家の視察団を現地派遣することで合意されました。これまで韓国の専門家も参加するIAEAのレビューを受けて情報発信してこられたと思いますが、このタイミングでその韓国の視察団を受け入れることでどのようなことを期待したいとお考えかというのが一点と、また、その韓国の大統領が「汚染水」という言葉を使われ、日本とその見解や立場の違いがあるように思います。視察を受け入れた後に海洋放出に対する韓国側の理解が深まるようどのように意思疎通されるお考えかと、その辺りもお聞かせください。よろしくお願いします。

A:おはようございます。よろしくお願いします。
福島第一原発のALPS処理水の御質問であります。日本として、これまでも関係国に対しまして、まず廃炉を進める上でタンクがもういっぱいになっている状況など含めて、ALPS処理水の海洋放出が必要である旨、丁寧に説明してきております。
また、それに当たっては、IAEAのレビューを受けながら、安全確保して放出設備の工事を進めているということも説明してきております。まさに放出するALPS処理水の安全性、これをしっかりと確保するということ、こういった点について各国に対して丁寧に説明してきているところであります。
韓国に対しても、まさにこれまでも繰り返し放出するALPS処理水でありますので汚染水ではもうないわけでありますが、トリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで浄化していくということ、そしてそれを更に、そのALPS処理水を更に海水で希釈すると、そうした水であるということを科学的根拠に基づいて説明してきたところであります。
今回視察団派遣を、福島に派遣するということで合意がなされました。今申し上げたような状況、タンクの状況であるとか、工事の進捗であるとか、あるいは処理水の放出の方法であるとか、処理水の今申し上げた規制基準以下まで浄化したものであるとか、更にそれを海水で希釈するであるとか、こういった状況について、丁寧に現場において見ていただきながら説明をしたいと考えております。
そして、この視察を通じて、韓国内におけるALPS処理水の海洋放出について安全性、その安全性について理解が深まることを期待したいと思っております。
念のためですけれども、既にIAEAのレビューを受けております。今回の視察は、日韓双方がIAEAの取組を共通の前提として調整しているものであるということです。したがって、あくまで韓国側の理解を深めてもらうための対応ということでありまして、IAEAのレビューのように、何かALPS処理水の安全性について評価、確認を行うものではないということであります。
ちなみに、こういった外国政府の視察は、これまでも積極的に受け入れております。アメリカや台湾、あるいは太平洋島嶼国の関係者が、福島第一原発の視察を行っております。今回、韓国からもこの視察を受け入れることで、理解が深まることを期待したいと思います。
いずれにしても、引き続きIAEAのレビューの結果、今年の前半には包括的報告書が出る予定でありますので、そうしたものを踏まえながら、透明性高く情報発信を行っていきたいと思いますし、韓国を含めて国際社会の理解醸成に取り組んでいきたいと考えております。

半導体

Q:私も日韓の首脳会談の関連で伺いたいんですけれども、両国首脳、韓国の半導体メーカーと日本の素材部品メーカーが連携して、強靱な半導体のサプライチェーンの構築を目指すということで一致しましたけれども、この場合、経産省として具体的にどのような取組を進めるのか伺えないでしょうか。

A:まず、半導体の分野において日韓の関係ですけれども、御案内のとおり、日本国内半導体製造メーカー、製造装置のメーカー、それから部素材メーカーなど非常に競争力の強い企業がたくさん日本にはあります。そしてその装置や部素材を活用して、韓国の企業はメモリー、ロジック双方で、国際的に非常に高いシェアを持つ大規模な強い企業が韓国にあると。そしてその韓国の企業が製造したメモリー、ロジックを、日本の自動車産業をはじめとしてユーザーが数多く使っているという、いわゆる互恵的なサプライチェーンがもう既にあるということでありますが、これを更にこの半導体のサプライチェーンを強靱なものにしていこうという上で、まさに世界有数のそれぞれの強みを持つ日韓の企業、これが連携することが非常に重要であると認識しております。
その上で、大事なことは、双方向で投資が行われるなど、両国に互いにメリットがあるということが重要だと思っております。日本としても今後、自動運転とかIoT端末の多様化、あるいはAIはじめとして様々な今後の新しい技術開発、革新が進む上で必要な物資である半導体、この安定的な供給につなげていくと。その安定供給の確保にできるように是非取り組んでいきたいと考えております。

経産省として具体的に何ができるかについては今後韓国側とも連携しながら、また民間企業のニーズをしっかり踏まえて対応を考えていきたいと思います。

Q:追加ですみません。

大臣、双方向で投資が行われることが必要だとおっしゃいました。ロジックについてはサムスンが強い分野ですけれども、例えばサムスンの製造拠点を日本に誘致するとか、そういったことも念頭にあるんでしょうか。

A:何か具体的な話があるわけではありませんけれども、今回の日韓首脳会談の合意を踏まえて、より強固な半導体のサプライチェーンを作っていくという中で様々なことが起こり得ると思いますので、今後韓国政府とも議論していきたいと思いますし、また特に民間企業のニーズですね、半導体を安定的に供給確保すると、こうしたことを踏まえながら対応を考えていきたいと思います。

電力会社不正閲覧

Q:電力会社の不祥事について伺いたいと思います。顧客情報の不正閲覧など電力大手で不祥事の発生が相次ぐ中、今週末の業務改善報告の報告期限に合わせて関西電力などが関係者の処分や再発防止策の発表を検討しております。経産大臣としては不祥事が相次ぐ大手電力会社に対し、どのような処分内容や再発防止策の打ち出しがあるべきだとお考えでしょうか。

A:御指摘の一連の電気事業者による情報漏洩、不正閲覧事案を受けまして、関係各社には4月17日付で電気事業法に基づく業務改善命令を発出したところであります。御案内のとおり、具体的には託送情報に関わる情報システムの共用状態の速やかな解消、物理的に分割をするということですね。そして2番目に、行為規制の遵守に係る内部統制の抜本的強化策、そして3点目に、事案の発生原因の調査・公表、そして関係者の厳正な処分の実施ということを命じたところであります。そして御指摘のように5月12日までにこれらに関する改善計画が提出される予定となっております。
今般の事案はまさに中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾ということを繰り返し申し上げてきております。今後提出される業務改善計画の内容を精査していきたいと思いますけれども、各社には計画の提出を言わば新たなスタート地点として自律的に改善を重ねていく内部統制の仕組みの構築してもらって、そして再発防止策、信頼回復に全力で取り組んでもらいたいと考えているところであります。

原発政策

Q:GX炭素電源法案が衆院で可決されました。ウクライナ紛争においては、戦時に原発が攻撃の対象になり得るということが明らかになりました。狭い国土に原発を54基も抱えている日本は、それだけたくさんのミサイルの標的を抱えていることになります。

政府は、台湾有事及び中国を意識して、敵領土内に届くミサイルを増税してまで準備していますが、なぜ原発の防御はおろそかなまま防御のための予算が組まれないのでしょうか。複数の原発を、例えば飽和攻撃で破壊され、日本が放射能まみれになり敗北する戦争を準備しているというのは正気の沙汰とは思われません。西村大臣は、日本の安全保障における原発のリスクをどのように評価されているのでしょうか、御教示ください。

A:まず、ウクライナの原子力発電所に対する武力攻撃についてでありますが、ジュネーブ条約がございます。原子力発電所を攻撃対象としてはならないとする内容のジュネーブ条約であります。この観点から、原発に対する武力攻撃、これは断じて容認できるものではありません。
こうした立場から、ウクライナにおける原子力関連施設の安全確保に向けた取組を進めるIAEAを支援するため、私自身先月オンラインで会談をいたしましたけれども、グロッシー事務局長に対しまして、経産省として新たに200万ユーロの拠出を実施するということを申し上げたところであります。
また、私が議長として取りまとめましたG7の札幌会合のコミュニケにおきましても、原子力安全及び核セキュリティーの重要性を強調するとともに、ロシア依存を減少させるために信頼できるパートナーと協力するということとしております。G7でもアメリカ、イギリス、カナダ、フランスとこのことを確認したところであります。
さらに、この連休中に訪問いたしました中東欧、チェコ、ポーランド、ルーマニア、こういった関係国の閣僚に対しても、価値観を共有する同志国とのサプライチェーン強化などの働きかけあるいは合意などを行ったところであります。
また、IAEAは現在、ロシア及びウクライナの両国に対して、原子力安全セキュリティー保護エリアを設定することを提案するなど、国際法に基づく働きかけを行っているものと承知しております。日本としても、今後ともこうした取組を積極的にサポートしていきたいと考えております。
その上で、原子力発電所に対しては、武力攻撃も含めてあらゆるリスクを想定して対応を行うことが極めて重要であります。こうした観点から、原子力発電所などに関する各種事態発生時における関係機関相互の連携確保についても、政府全体で必要な備えを行っているところであります。
原子力施設の規制の問題ではなくて、むしろ我が国自身の防衛の問題でもあるということであります。原子力施設へのミサイルによる武力攻撃に対して、イージス艦やPAC3により対応するほか、事態対処法あるいは国民保護法の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令あるいは住民避難などの措置を準備しているところであります。
昨年の11月28日には、福井県のおおい町においてPAC3の機動展開訓練も行われたと承知しておりますし、これまでも自衛隊と警察による共同訓練なども積み重ねてきております。
いずれにしても、あらゆる事態への対応に万全を期すため、平素から関係機関相互の連携強化にも不断に取り組んでいきたいと考えております。

 

以上

最終更新日:2023年5月9日

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