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2023年6月1日

5月31日、IAEAは、2021年に開始した東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性に関するレビューに関連して、「ALPS処理水の放射性核種分析における第1回目の分析機関間比較結果」に関する報告書を公表しました。
本技術報告書では、分析機関間比較の結果が記載されるとともに、東京電力をはじめとした参加分析機関の能力に関する詳細な評価が含まれています。

1.概要

5月31日、IAEAは、「ALPS処理水の放射性核種分析における第1回目の分析機関間比較結果」に関する報告書を公表しました。本技術報告書は、IAEAが行うレビュー活動における①ALPS処理水の安全性(東京電力、経済産業省)、②規制活動とプロセス(原子力規制委員会)、③独立したサンプリング・データの裏付け・分析(IAEAによるモニタリング検証活動)のうち、③に関する結果を報告するものです。

IAEA立ち会いの下で採取されたALPS処理水のサンプルについて、IAEAの研究所及びIAEAにより選定された第三国の分析機関がデータ分析を実施し、各分析機関の分析結果の比較及びデータが示されています。

2.報告書のポイント

以下の結果から、IAEAは、東京電力は正確で精密なALPS処理水の分析能力を有していることを留意する、さらに、IAEAは、東京電力が、ALPS処理水の放出中における福島第一原発で継続中の技術ニーズを支援するための持続可能で堅固な分析体制を構築していることを実証したと結論づけられています。
  1. 東京電力は高水準の測定の正確性と技術的能力を持つことが証明されている。
  2. 東京電力のサンプル採取手続は、代表的なサンプルを得るために必要な適切な基準に従っている。
  3. 東京電力が使用している核種分析のために選定された分析方法は、適切で目的にかなったものであること。
  4. IAEA及び参加した第三者分析機関のいずれも、有意に存在する追加の放射性核種(すなわち、ソース・タームに含まれている放射性核種を超えるもの)を検出しなかった。

参加した分析機関

IAEA

  • 海洋環境研究所(モナコ所在)
  • 陸域環境放射化学研究所(オーストリア サイバーズドルフ所在)
  • アイソトープ・ハイドロジー研究所(オーストリア ウィーン所在)

第三者分析機関

  • シュピーツ研究所(スイス)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(フランス)
  • ロスアラモス国立研究所(米国)
  • 韓国原子力安全技術院(韓国)

3.報告書を踏まえた対応

日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に照らした確認を継続し、安全確保に万全を期していく予定です。
経済産業省は、IAEAによるレビュー結果を踏まえながら安全を大前提に処理水の海洋放出に向けた取組を進めます。
(参考)IAEAレビューについて
東電福島第一原発のALPS処理水の処分については、2021年4月、日本政府が海洋放出とする基本方針を公表。日本政府よりIAEAに対してALPS処理水の安全性に関するレビューミッションの派遣等の協力を正式に要請し、同年7月、日本政府とIAEAの間で付託事項(ToR)を署名し、IAEAは①ALPS処理水の安全性に関するレビュー、②規制に関するレビュー、③独立したサンプリング・データの裏付け・分析、を実施。

関連リンク

担当

資源エネルギー庁 
原子力発電所事故収束対応室調整官 田辺
担当者:泉井、飯塚、村上
電話:03-3501-1511(内線 4441)
メール:bzl-hairo-syorisuitaisaku★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください。

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