外務省・新着情報

冒頭発言

ミャンマー及びバングラデシュに対する緊急無償資金協力

【林外務大臣】私(林大臣)から1件ご報告がございます。
 ミャンマー西部及び避難民キャンプがある隣国バングラデシュのコックスバザール県等では、5月中旬のサイクロン「モカ」と、それに続く洪水の影響によりまして、甚大な被害が発生しております。
 こうした状況を踏まえまして、本日、ミャンマー及びバングラデシュにおけるサイクロンの影響を受けた人々に対する支援といたしまして、国連世界食糧計画などの国際機関を通じまして、合計200万ドルの緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。
 日本政府として、ミャンマーにおいては、引き続き、ミャンマーの人々に寄り添った人道支援を行ってまいります。また、バングラデシュにおいても、ミャンマー・ラカイン州から流入した避難民及びそのホストコミュニティも含めて、この支援を継続してまいります。
 私(林大臣)からは以上です。

対イスラエル制裁

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 二日前の6月5日は、1967年の第三次中東戦が終結してから56周年の記念日でした。この戦争で、イスラエルは、軍事力でパレスチナの領土を占領し、ゴラン高原に近接するシリアとパレスチナ間の国境の現状を変更しました。
 G7はロシアのウクライナ侵略による力による現状の一方的変更を非難する一方で、日本・イスラエル二国間関係は良好に見受けられます。日本やG7は、ロシアに対して行っているとおり、イスラエルに対しても制裁を行うべきではないでしょうか。

【林外務大臣】一般に、国際法上、武力により占領した領土を一方的に併合する行為は認められていないということでございます。この観点から我が国は、イスラエルによるゴラン高原併合を認めないという立場、これを一貫して維持してきておりまして、イスラエル・パレスチナ紛争につきましては、「二国家解決」の下で、当事者間の交渉によって解決されるべきという立場から、イスラエル政府に対しては、現状を変更するような一方的行為を控えるよう強く求めてきておるところでございます。
 ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と、多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがすものでありまして、我が国として、G7を始めとする国際社会と連携して、断固たる決意で対応してきております。
 我が国として、それぞれの国との関係については、個別具体的な状況を踏まえた上で、総合的に検討しておるところでございます。

米中高官協議

【NHK 岩澤記者】米中対立について伺います。台湾海峡では、米国軍の艦艇の前方を中国海軍の駆逐艦が横切るなど、この米中の衝突につながりかねない事案が相次いでいますが、米国のクリテンブリンク国務次官補が、中国外務省の馬朝旭(ま・ちょうきょく)次官などと、昨日、北京で会談を行いました。米中の緊張が高まる中でのこうした動きをどのように見ているか、大臣のご認識を伺います。

【林外務大臣】昨5日ですが、北京において、米国政府高官と中国政府高官との間で会談が行われたと承知しております。
 米国側の発表によりますと、会談では、米中関係、それから両岸問題、米中間の意思疎通のチャンネルなどについて、意見交換を行ったと承知しております。
 第三国間の会談についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、米中両国の関係の安定、これは国際社会にとっても、極めて重要であると考えております。
 日本としては、引き続き、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下で、様々な協力を進めつつ、中国に対して、大国としての責任を果たしていくように働きかけていきたいと考えております。

同志国の定義、同志国の具体例

【共同通信 桂田記者】いわゆる同志国について伺います。国家安全保障戦略では、国際秩序を強化するため、同盟国に加えて「同志国」との連携を明記しました。4月には、同志国の軍を直接支援するOSAの創設も決めました。政府として、具体的に、どのような国を「同志国」と定義づけているのでしょうか。自由や民主主義といった価値観の共有は、同志国の必要条件になるのでしょうか、お聞かせください。

【林外務大臣】同志国については、必ずしも定義が確立しているわけではございませんが、一般に、ある外交課題において、目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しております。
 どのような国が同志国に当たるかについてですが、これは、それぞれの外交課題について、日本と目的を共にするかという観点から、個別に判断する必要がありまして、一概に申し上げることは困難であると考えております。

【共同通信 桂田記者】今の質問に関連して伺います。オースティン米国防長官は、6月1日の日米防衛相会談で、同志国の具体名として、韓国、オーストラリア、フィリピンを列挙しましたが、日本としても、この3か国を同志国と位置づけているのでしょうか。また、ASEANの有力国であるベトナムは同志国に入るでしょうか。

【林外務大臣】先ほどと繰り返しになるかもしれませんが、どのような国が同志国に当たるかについては、それぞれの外交課題について、日本と目的を共にするかという観点から個別に判断する必要がありまして、一概に申し上げることは困難であると考えております。

北朝鮮関連(北朝鮮のWHO執行理事国選出)

【産経新聞 廣池記者】北朝鮮のWHO世界保健機関の理事国入りについて伺います。先月末のWHO総会で、北朝鮮が新たに理事国に選出されました。北朝鮮は、ミサイル発射を繰り返すなど、その適性について懸念の声も出ておりますけれども、日本政府の受け止めをお願いします。

【林外務大臣】本件につきましては、WHO南東アジア地域委員会が推薦いたしました北朝鮮を含め、各地域委員会から推薦された10か国・地域が記載された候補国・地域のリストを、WHO総会において、全体として承認したものと承知しております。
 結果として、北朝鮮を含む10か国・地域が、新たに執行理事「国」として、選出されたところでありますが、いずれにせよ、新たな執行理事が、WHOの理念に従った運営をすることを求めてまいりたいと考えております。

北朝鮮関連(北朝鮮に対する独自制裁の強化)

【NHK 岩澤記者】北朝鮮への制裁について伺います。北朝鮮が、軍事偵察衛星を打ち上げたことを受けて、2日に開かれた国連安保理の緊急会合は、中国やロシアの反発により、今回も一致した対応を取ることができませんでした。北朝鮮は、2回目の打ち上げを速やかに行うとしていますが、こうした中で、日本が独自に課している制裁措置について、強化するお考えはあるでしょうか。

【林外務大臣】先月31日の、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射を含め、これまでの一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えております。
 このような発射は、「衛星」と称したとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射も禁止している、関連する国連安保理決議に違反するものであります。
 日本時間6月3日の未明に、国連安保理の公開会合が開催されましたが、安保理が、一部の国々の消極的な姿勢によって、北朝鮮による深刻な挑発行為と、度重なる安保理決議違反に対して行動できていないということは大変遺憾であります。
 その上で、今回の発射を受けた今後の対応につきましては、我が国独自の措置を含め、米国や韓国とも連携しつつ、検討してまいりたいと考えております。
 また、今後、北朝鮮が、「衛星」と称するものの発射を含めて、更なる挑発行為に出る可能性があるものと考えております。
 我が国としては、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対して、関連する国連安保理決議、これを遵守し、更なる発射を行わないように、求めてまいりたいと考えております。

NATO東京事務所開設

【ロイター通信 村上記者】NATOは、NATOの連絡事務所を東京に開設することについて、日本政府と協議中であることは明らかにしていますが、フランスが、事務所開設に反対しているとの報道が出ています。NATOの東京連絡事務所開設について、NATOやフランスとは、どのようなやり取りをされていますでしょうか。また、フランスは、NATO東京事務所開設で、NATOと中国の関係が緊迫することを懸念しているようですが、この点、日本政府としては懸念していますでしょうか。

【林外務大臣】御指摘の報道は承知しておりますが、NATOによる日本への連絡事務所の設置につきましては、NATO内において種々の検討が進められておるところでございまして、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思っております。

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