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令和5年6月8日
OECD閣僚理事会参加者の全体写真 OECD閣僚理事会(写真提供:OECD)

 6月7日及び8日、フランス・パリでOECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level:MCM)が開催され、我が国から、山田外務副大臣、中谷経済産業副大臣ほかが対面で出席したところ、結果概要は以下のとおりです。

【ポイント】

  • 今回の閣僚理事会は、議長国である英国(クレバリー外相他複数の閣僚が出席)、副議長国のコスタリカ及びニュージーランドの下、「強じんな未来の確保:共通の価値とグローバル・パートナーシップ」をテーマに開催され、ウクライナ支援や経済の強じん性等について議論が行われました。
  • 山田外務副大臣は、5月のG7広島サミットでの議論を紹介し、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに日本の官民を挙げてウクライナの復旧・復興を力強く後押ししていく決意を述べた他、OECDの東南アジアへのアウトリーチや強じんなサプライチェーンの構築に関する日本の立場や取組を紹介するとともに、環境・デジタル化・人権などの今日的課題に一層適合したものとなったOECD多国籍企業行動指針の普及・促進の重要性を指摘しました。
  • 閉会セッションでは、ウクライナ支援、東南アジアへのアウトリーチ、気候変動やデジタル等の諸課題について各国の立場や見解を踏まえた閣僚声明が採択された他、「OECDインド太平洋戦略枠組み」、「多国籍企業行動指針」の改訂版などの成果文書も併せて採択されました。
  • 会合の最後に山田外務副大臣から、閣僚理事会を成功に導いた議長国他関係者の尽力に敬意を表した上で、日本のOECD加盟60周年にあたる来年のOECD閣僚理事会の議長国に日本が立候補することを発表しました。

1 参加国・機関

  • OECD加盟国:38か国(議長国:英、副議長国:コスタリカ、ニュージーランド)、EU
  • キーパートナー国:ブラジル、中国、インド、インドネシア、南アフリカ
  • 招待国:アルゼンチン、ブルガリア、香港、コモロ、クロアチア、エジプト、モロッコ、ペルー、ルーマニア、シンガポール、タイ、ウクライナ、ベトナム
  • その他:ASEAN、AU、BIAC、TUAC、IEA他。

2 主な議題と概要

 今回の閣僚理事会は、「強じんな未来の確保:共通の価値とグローバル・パートナーシップ(Securing a Resilient Future: Shared Values and Global Partnerships)」をテーマに開催され、関係閣僚等による議論が行われました。成果文書として閣僚声明等が採択されました。

(1)「開会」

 冒頭、コーマン事務総長から、共通の価値に基づく強じんな経済の構築という今次MCMの中心テーマに触れつつ、ウクライナ国別プログラムをはじめとするウクライナ支援、エネルギー移行、インド太平洋地域へのアウトリーチ、新規加盟プロセス、ウェルビーイング、ジェンダー平等の推進等における最近のOECDの取組について発言がありました。
 次いで、本会合の議長を務めたクレバリー英外相から、国際社会の抱える様々な重要課題に立ち向かう上でOECDは礎であり、今次MCMを更なる連携に向けた新たな一歩を踏み出す機会としたい旨述べました。
 また、オンラインで参加したシュミハリ・ウクライナ首相から、OECDによるウクライナへの支援に感謝を述べた上で、OECDとウクライナとの協力関係は深化し続けており、今般の国別プログラムがウクライナの復興・改革にさらに寄与していくことを期待している旨述べました。

(2)「ウクライナ」

  1. シュミハリ・ウクライナ首相のオンライン出席の下、戦時下にあるウクライナの自国再建の取組や、OECDと国際社会がウクライナの国内改革を支援する上で果たすべき役割、及び今般のMCMで採択されたOECD「ウクライナ国別プログラム」等について議論が行われました。
  2. 山田外務副大臣から、ロシアによるウクライナ侵略を改めて強く非難するとともに、G7広島サミットにおいて、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示すとともに、G7として法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の重要性を確認し、これを守り抜く決意を新たにした旨を述べました。また、これまでに表明した総額約76億ドルの支援を着実に実施し、日本の官民を挙げてウクライナの復旧・復興を力強く後押ししていく決意を述べるとともに、同志の国々の集まりであるOECDがウクライナの復興において果たし得る役割の重要性を指摘しました。

(3)「経済の強じん性:より強力で包摂的な成長のための政策」

  1. 強じんで重要なサプライチェーンに関する分科会では、山田外務副大臣から、G7広島サミットにおいてG7サミットの議題としては初めて「経済的強じん性・経済安全保障」を議題として取り上げたことを紹介した上で、サプライチェーンの強じん化において環境への配慮や人権の尊重などの国際基準を満たすことの重要性を強調し、その観点から、気候変動を始めとする環境、デジタル化、人権などの今日的課題に一層適合するよう改訂された多国籍企業行動指針の、今次閣僚理事会での採択を歓迎する旨述べました。
  2. 経済の強じん性と成長のための貿易政策に関する分科会では、中谷経済産業副大臣から、経済的威圧の抑止と強じんなサプライチェーンの構築に加え、公平な競争条件の確保に向けて、産業補助金や国有企業の市場歪曲的な慣行に対抗するツールの開発やルールの強化、多国間での議論の重要性を強調するとともに、OECD加盟国をはじめとした同志国との協力を推進する重要性を指摘しました。

(4)「閣僚級朝食会(OECDのアウトリーチ)」

  1. OECD非加盟国をOECDのルールやスタンダードに近づける方途や、新規加盟プロセスの進展等について議論が行われました。
  2. 山田外務副大臣からは、OECDの共通の価値を維持・促進することは、OECD自体の有用性、影響力、正当性を向上させるために重要であり、非加盟国をOECDのルールやスタンダードに近づけていく努力が引き続き必要である旨指摘した上で、そうした観点から、今次閣僚理事会における「インド太平洋戦略枠組み」の採択を歓迎しました。また、来年10周年を迎えるOECD東南アジア地域プログラム(SEARP)を通じ、OECDの東南アジアへのアウトリーチを積極的に支えていく旨述べました。

(5)「将来のフロンティア・ネット・ゼロ経済のための革新的技術」

  1. 包摂的で持続可能な経済の構築や気候変動への対処における革新的技術の活用、及びデジタル・トランスフォーメーションやグリーン経済の分野におけるOECDの取組について議論が行われました。
  2. 中谷経済産業副大臣からは、G7での成果を報告し、AIを始めとする新興技術のリスクと機会についてマルチステークホルダーで議論することの重要性や、DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)の具体化に向けた国際枠組みの立ち上げについてもOECDと連携して進めていく旨述べました。

(6)「エネルギーの未来」

  1. クリーンエネルギーへの移行を加速させる方法とその上でのボトルネックや、エネルギーシステムを変革する中でのエネルギー安全保障、低廉性、持続可能性というトリレンマへの対処等について議論が行われました。
  2. 中谷経済産業副大臣からは、気候変動対策とエネルギー安全保障の確保を両立するために、G7で共有された「多様な道筋の下でネットゼロという共通のゴールを目指すこと」、「グローバルサウスと連携していくこと」、「地政学リスクをマネージしていくこと」の重要性を指摘しました。

(7)「閉会」

  1. コーマン事務総長及び議長であるクレバリー英外相が今回の閣僚理事会を総括した上で、成果文書として、ウクライナ支援、東南アジアへのアウトリーチ、気候変動やデジタル等の諸課題について各国の立場や見解を踏まえた閣僚声明が採択されました。また、「OECDインド太平洋戦略枠組み」、「多国籍企業行動指針」の改訂版などの成果文書も併せて採択されました。
  2. 山田外務副大臣から、閣僚理事会を成功に導いた議長国の英国、副議長国のコスタリカ及びニュージーランド並びにOECD事務局の尽力に感謝と敬意を表するとともに、日本のOECD加盟60周年にあたる来年のOECD閣僚理事会の議長国に日本が立候補する旨を表明しました。

3 バイ会談等

 山田外務副大臣は、会合の合間に、コーマン事務総長、トレビリアン英外務・英連邦・開発省閣外相、エアーズ豪貿易補佐大臣兼製造業補佐大臣とのバイ会談を行いました。


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