外務省・新着情報

冒頭発言

開発協力大綱の改定

【林外務大臣】私(林大臣)から、冒頭発言がございます。
 本9日、開発協力大綱が閣議決定をされました。新たな大綱は、昨年9月以降、有識者懇談会による提言書、各地での意見交換会、そして、パブリック・コメントなど、幅広く国民の皆様のご意見を頂きながら検討してきたものでございます。
 今日(こんにち)、国際社会は歴史的な転換期にあり、複合的危機に直面しております。こうした中で、価値観の相違を乗り越えて国際社会が協力することの重要性、これが増していると同時に、自由で開かれた国際秩序に基づく、平和で安定し、繁栄した国際社会の構築、これは、我が国の国益にも直結するものであります。そのためにも、今日(こんにち)、開発協力が果たす役割は、益々重要になっております。
 また、透明かつ公正なルールに基づいた開発協力が一層求められているほか、民間企業を始めとする多様なアクターとの連携や、新たな資金動員に向けた取組の重要性も増しております。
 こうした状況に対応するため、昨年12月の「国家安全保障戦略」も踏まえ、これからの開発協力の方向性を、新たな開発協力大綱において示しました。
 新たな大綱の下で、開発協力を一層効果的・戦略的に活用するとともに、様々な形でODAを拡充し、外交的取組の強化に努めてまいります。
 私(林大臣)からは以上です。

開発協力大綱の改定(軍事利用の回避)

【朝日新聞 上地記者】今、お話のありました開発協力大綱についてお伺いします。
 大綱の見直しの過程では、ODAが軍事利用につながるのではないかという懸念も上がっていました。実際に、ミャンマーでは、供与した旅客船が軍事目的に使われていたことも明らかになりました。政府では、今後このようなことが起きないよう、どのような再発防止策をとられたのでしょうか。また、大綱の見直しに当たって、新たな具体的な策が設けられないのであれば、その理由も含めてお伺いします。

【林外務大臣】開発協力の実施に当たりまして、軍事的用途及び国際紛争助長への使用、これを回避するとの、いわゆる非軍事原則については、新たな開発協力大綱においても、堅持しております。引き続き、案件の実施前においては、相手国との間で非軍事原則の遵守を確認するとともに、事後のモニタリングや相手国の状況確認等を徹底することによって、適正利用の一層の確保に努めてまいりたいと考えております。

ウクライナのダム決壊

【共同通信 桂田記者】ウクライナ南部ヘルソン州のダムの決壊による洪水について、現時点で、日本政府として把握されている被害状況と、今後の具体的な人道支援の検討状況をお伺いします。

【林外務大臣】ドニプロ川のカホフカ水力発電所のダム決壊によりまして、下流域に位置する街の多くの住民が、避難を強いられていると承知しております。被害状況を確認中でありますが、国連によれば、少なくとも1万6,000人が家を失い、更に、数千人への飲料水の供給が脅かされていると承知しております。本件ダム決壊が与える影響について、懸念を表明するとともに、ウクライナ国民に対するお見舞いと連帯を改めて表明いたします。
 我が国として、ロシアの侵略により、ウクライナ各地において、多くの市民が犠牲になっておりまして、また、発電所を含む民間施設に被害が生じていることは、断じて正当化できないものであり、強く非難いたします。
 また、7日に開催されました安保理会合においては、我が国や欧米諸国は、ロシアによる侵略がなければ、今回の事態が起こることはなかった旨等を指摘しつつ、ロシアによる侵略の停止とウクライナからの撤退、これは改めて強く求めたところでございまして、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携してまいりたいと考えております。
 我が国として、洪水の被害を受けた住民に対する緊急の人道支援を早急に実施すべく、鋭意調整を行っておるところでございます。

東アジアにおける外交イニシアチブ

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 ありがとうございます。パン・オリエントニュース日本支局のアズハリです。
先日前例のない中露による空海軍事演習が日本付近で行われたのに加え、米韓の核兵器についての協力に関する新たな合意、昨今の北朝鮮によるミサイル発射、そしてウクライナにおける戦争の激化と、さきほど言及されていましたダム決壊という惨事が発生しています。
 これら全ては、軍事的エスカレーションが深刻化する中、東アジアにおいて軍拡競争が激化していることを示しており、これは潜在的な核戦争やそれと類似した状況が迫っていることを示唆しています。
 日本がこうした緊張を緩和するため、また、切迫しているように見受けられる戦争を避けるために、東アジアにおいて外交的なアプローチを開始する可能性はありますか。以上です。

【林外務大臣】我が国としては、同盟国・同志国とも連携いたしまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に推進していくことで、地域の平和と繁栄に貢献していきたいと考えております。
 また、国家安全保障戦略では、我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築をするとともに、それを拡大し、抑止力を強化していく方針、これも明記しております。
 その上で、アジアでは、ASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っておりまして、東アジア首脳会議、ASEAN地域フォーラム、拡大ASEAN国防相会議など、多層的な地域協力の枠組みがあります。
 引き続き、こういった枠組みとの連携を図りつつ、FOIPを実現するための協力を一層強化をし、インド太平洋地域においても、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜いてまいりたいと考えております。

北朝鮮による「衛星」打ち上げ

【NHK 岩澤記者】北朝鮮の軍事偵察衛星の打ち上げについて伺います。北朝鮮は、人工衛星を打ち上げるとする通報期間を、明後日の11日までとしていて、その上で、2回目の打ち上げを可及的速やかに行うとしていますが、北朝鮮の最新の動向をどのように見ているか伺います。また、北朝鮮への独自制裁の強化や、制裁の抜け穴対策についての、現在の検討状況もあわせてお願いします。

【林外務大臣】先月31日の、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射を含めて、これまでの一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと考えております。
 このような発射は、「衛星」と称したとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射を禁止している、関連する国連安保理決議に違反するものであります。
 今後、北朝鮮が、「衛星」と称するものの発射を含め、更なる挑発行為に出る可能性があると考えております。
 その上で、我が国独自の措置も含めて、今後の対応については、予断を持ってお答えをすることは差し控えたいと思いますが、米国や韓国とも連携しつつ、検討してまいります。また、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国としてとっている措置の実施、これを徹底してまいりたいと考えております。

ALPS処理水(韓国の反応)

【産経新聞 岡田記者】東京電力の福島第一原発の処理水の放出について伺います。5月下旬に、韓国の視察団が来日し、現地を視察しました。韓国の韓(ハン)首相は、視察結果について、「得たかった資料のほとんどを受け取った」「かなり満足した」と一定の評価を示す発言しています。韓国は、これまで、海洋放出について反発を繰り返してきましたが、今回の視察を受けて、日本への理解が進むとお考えでしょうか。また、夏の放出に向けて、中国や島嶼国の状況をどのようにご覧になっているでしょうか、大臣の受け止め、御所感をお願いします。

【林外務大臣】韓国については、これまで、局長級の説明会等の機会を通じて、ALPS処理水の安全性について、科学的根拠に基づき、丁寧に情報提供や説明を行ってきている中、5月7日の日韓首脳会談を踏まえて、今般、韓国専門家現地視察団による視察が行われました。
 視察団は、5月22日に日本側と会合を行っておりまして、23日から24日まで東電福島第一原発訪問し、ALPS処理水の海洋放出関連施設を視察しました。そうした施設の中でも、韓国側に対して、日本側から丁寧な説明や情報提供を行っております。その上で、25日には、総括的な会合を東京で行い、韓国側からの質問等に対して、日本側から科学的根拠に基づく丁寧な説明を行っております。今回の視察を通じ、韓国側の理解促進につながることを期待しております。
 政府としては、今回の韓国専門家現地視察団の受入れ等を通じて、引き続き、高い透明性をもって科学的根拠に基づく誠実な説明を行い、ALPS処理水の海洋放出の安全性について、韓国側の理解が一層深まるように、引き続き取り組んでおるところでございます。
 そして、この高い透明性を持って、科学的根拠に基づく誠実な説明、これは韓国のみならず、今ご指摘のあった各国にも、同様にしっかりと対応してまいりたいと思います。

習近平中国国家主席による沖縄をめぐる発言

【読売新聞 依田記者】中国と沖縄の関係でお伺いしますが、6月4日付の中国共産党機関紙の人民日報の1面の記事によると、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が沖縄について、「私が福州で勤めていたとき、福州には琉球館と琉球人の墓、琉球墓があり、福州と琉球の縁が深いことを知った」などと言及しました。この報道についての受け止めをお願いいたします。

【林外務大臣】御指摘の報道は承知しておりますが、中国国内の個別の報道の一つ一つにお答えをすることは、差し控えさせていただきたいと思います。

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