経産省・新着情報

2023年6月6日(火曜日)
9時40分~9時53分
於:参議院分館・3Fロビー

冒頭発言

水素基本戦略

おはようございます。私から2点申し上げます。
1点目、先ほど再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議を開催いたしました。水素基本戦略の改定を行いました。
今回改定しました水素基本戦略におきましては、2040年の水素の導入目標として1,200万トン、2030年までの国内外の水電解装置の導入目標として15ギガワットという水素の普及に関する2つの高い目標を掲げました。
また、我が国が強みを持ちます水素産業の中核となる水素のコア技術、電解装置膜とか触媒とかですね、こうした技術が国内外の水素ビジネスで活用される社会の実現を目指す水素産業戦略、それから水素市場を創出するための規制支援一体型の制度といった柱を盛り込んだ、これまでにない総合的な戦略となっております。関係省庁と連携しながら、この具体化を図っていきたいと考えております。
詳細につきましては、後ほど事務方から説明させます。

半導体・デジタル産業戦略

2点目、先月から有識者会議で議論を行ってまいりました半導体・デジタル産業戦略の改定版を本日公表いたします。一昨年6月に戦略を策定して以降、官民でスピード感をもって取り組んでまいりました。まさに経済安全保障、そしてDX、GXの重要性が一層高まっていることに加えまして、足元では生成AIの開発、実装、この機運が急激に強まっているところであります。こうした世界の大きな潮流に対応していくために、生成AIに関してコンピューティング基盤の拡充、そしてAI基盤モデルの開発を進めていくということとともに、これを支える最先端の半導体の開発、製造体制の確立が不可欠となっております。
先月、総理と半導体メーカーの意見交換会も行いました。日本の半導体の素材、装置メーカーの技術力、そしてラピダスに対する世界からの大きな期待を感じたところであります。今後、必要な予算をしっかりと確保し、生成AI、そして半導体に関する取組を抜本的に強化すべく今般、半導体・デジタル産業戦略を改定したわけであります。
日本の半導体産業の再興、飛躍に向けて既に大きな一歩を踏み出しておりますけれども、これを更に加速させていきたい。そして半導体市場において世界で大きな存在感を示す、そうしたことになるように取り組んでいきたいと考えております。
私から以上です。

質疑応答

水素基本戦略

Q: 大臣からも言及ありました、再エネ水素と関係閣僚会議についてですけれども、改めてですけれども、大臣の受け止めをお願いします。また、特に値差支援について、いつまでに制度決定されて、導入される御予定か、今後のスケジュール感がありましたら教えてください。

A: はい。我が国は、2017年に世界に先駆けてこの水素戦略というものを作りました。まさに燃料電池車を世界に先駆けて商用化するなど、この水素の世界をリードしてきたと思います。
そうした中で、まさにロシアのウクライナ侵略など、エネルギー危機という状況の中で、世界中で水素が注目をされ、今や世界の国々がこの水素をめぐって激しく競争してきているという状況だと思います。
そうした中で、G7の会議でも水素の炭素集約度の概念を日本から打ち出して、主導をして盛り込んでおりますし、またIPEFでもシンガポールと一緒に水素イニシアチブをリード、立ち上げをしたところであります。
今週行っております日ASEANビジネスウィークでも、各国の閣僚とも改めてお話ししたり、ビジネスマンと意見交換しておりますけれども、全ての国々がやはり水素に非常に高い関心を持っているという状況であります。
そうした中で、この技術で先行してきている日本が更にこれを伸ばし、アジア、インド、太平洋のこのエリアで水素のサプライチェーンをしっかりと構築していきたい、こういう思いであります。そのための基本戦略を今回改めて策定したということであります。
値差支援についてはですね、昨年から審議会で議論を行ってきております。まさに昨今の脱炭素に向けたこの水素への関心の高まり、需要の高まりを受けてですね、検討を急いでいきたいと、加速していきたいと考えているところであります。

再生可能エネルギー

Q: 出力制御について質問です。関西電力子会社の関西電力送配電が4日、一部の太陽光などの再生エネルギー発電事業者の稼働を一時的に停止する出力制御を初めて実施いたしました。再生可能エネルギーの普及が進む中での出力制御する地域が増えていると思いますけども、今回の事態の受け止めと、政府としての対応の方向性についてお聞かせください。

A: 再エネの出力制御でありますけれども、供給が需要を上回ったときにですね、全体で上回ったときに需給のバランスを保つために行うものであります。この再エネの導入拡大ということを進めておりますので、そのためにはですね、できる限りこの再エネの出力制御量をできる限り減らすということが大事だと思っております。
そのためですね、まずは地域間の連系線を活用して市場取引を通じて余剰の、地域で余剰の再エネを広域的に他の地域に送ることで最大限活用しております。更に地域内で蓄電池を活用したり、揚水で余剰電力をできる限り有効活用してきております。さらには、地域内の火力の出力を最大限制御するということも行っています。そして、その上で地域間連系線を通じて、更に余剰電力を他地域に送電し、それでもどうしても供給が需要を上回る場合に、再エネの出力制御を行うということにしております。
こうした中で、関西電力で出力制限ということで、できる限り低減をしていきたいと思う中で、こうしたことになっておりますけれども、今後、再エネの出力制御をする際に、火力の最低出力を50%以下に引き下げるルールとしている火力について、30%まで引下げを求めていくこととしております。
火力を50%維持するというのを、30%維持というところにするということで、できる限り再エネを利用していくということにしております。さらに、今後とも蓄電池や水電解装置の導入、そして今回、法律も成立しましたので、地域間の連系線の整備など、加速して取り組んでいきたいと考えております。

ALPS処理水

Q: 福島第一原発の処理水を放出するトンネルに海水を入れる作業が昨日から始まりまして、今日昼頃には終わられる予定ということなんですけれども、放出をめぐっては漁業関係者の反対がある中、大臣の所感と、今後の見通しについてお聞かせください。

A: 東京電力の処理水の海洋放出設備の工事についてでありますけれども、御指摘のように、放水トンネルの掘削が完了し、トンネル内の片付けなどの準備が整ってきたと聞いております。そして放水トンネル内に海水の注水を開始したと承知しております。
この海水注水後は放水、このトンネル内のシールドマシンの撤去などの工事を行った上で、第1四半期中の設備の設置の完了を目指していると認識をしております。
政府としては、まずはこの工事をしっかり行ってもらうということでありますが、本年1月の関係閣僚会議においてお示ししているとおり、まずこの海洋放出設備工事の完了、そして工事後の原子力規制委員会による使用前検査、それからIAEAの本年前半に出されると言われております包括報告書の発出などを経て、本年春から夏頃に海洋放出を開始すると見込むということをお示ししているところであります。
引き続き、この安全対策、そして風評対策に万全を期していきたいと思いますし、地元の方々皆さんに対して、繰り返し丁寧に説明を重ねていきたいと考えております。

半導体・デジタル戦略

Q: 今日発表されることになる改定版の半導体のところの戦略なんですけど、改めまして、これまでラピダスに投資、政府としてもバックアップしてきたんですけど、これまで以上に政府の方で予算措置という意味でも、これまで以上に抜本的ということは評価してお金を出していくという解釈でよろしいんでしょうか。

A: まさに一作年来、法律を作り予算を確保し、そして、これだけ多くの投資、これは国内外、海外からもTSMC、マイクロン、キオクシア、ウエスタンデジタルを含めて多くの投資が行われておりますし、先般もインテルやサムスンをはじめとして、アイメックもIBMを含めていろいろな取組、日本での投資も含めた取組の方向性が示されているところでありますし、と同時に、日本国内の様々な半導体関連メーカー、企業、これは中堅・中小企業も含めて九州でもそうですし、各地で積極的な投資が行われております。是非そうした投資を後押ししていきたいと思いますし、あわせて、先ほどの生成AIのコンピューティング基盤の拡充であるとか、あるいはモデルの開発であるとか、あるいはそれを支えるGPUを含めた半導体、特に省エネ型のものが必要となってくると思いますので、そういった最先端の半導体も含めて支援を行っていきたい。そして、最先端の半導体という意味では、ラピダスの今後の投資も広がってくると思いますので、そういう意味で、様々な支援を行っていく上で必要な予算を確保してしっかりと支援を行っていく、まさに大きく一歩踏み込んだ我が国の半導体産業を、更に世界で大きな存在感を示せるように、日本の半導体産業再興に向けて取り組んでいきたいと思います。

以上

※ 実際の発言は「燃料電池車を初めて世界で出す」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
 

最終更新日:2023年6月12日

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