農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年6月13日(火曜日)10時16分~10時38分 於: 本省講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)インド出張(G20農業大臣会合)について
  • 「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」取りまとめについて
  • G20農業大臣会合について
  • ウクライナでのダム決壊及び復興支援について
  • ALPS処理水の海洋放出による輸入規制への影響について
  • 農林水産省における輸出促進への取組等について

冒頭発言

大臣

  私の方から1点、御報告がございます。6月15日(木)から18日(日)まで、G20農業大臣会合がインドで開かれます。これに出席するということで、今朝、閣議の中で総理から御指示をいただきました。同会合においては、G7宮崎農業大臣会合での成果を踏まえ、世界の食料安全保障確保のために、農業の生産性向上と持続可能性の両立を実現すべきと参加国に呼びかけてまいるつもりです。出張の詳細は、この後、プレスリリースいたします。私からは以上です。

質疑応答

  • 「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」取りまとめについて

記者

  先週の話で恐縮なのですけれど、先般、水産庁が「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」で、サンマの不漁が深刻になる一方、マイワシのように、漁獲量が増えている魚種もあるという結果を取りまとめられました。漁業者に対して魚種や漁法の転換を推奨する方針とのことですが、政府としてどう支援、またはどう後押しをしていくのかお聞かせください。

大臣

  本年3月から5月末まで開催した「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」において、(水産関係の)専門家を入れて議論をしました。この中で海洋環境の変化に対応した適切な漁業経営や操業の在り方、当面の対応策について検討していただきました。その中で、漁法や魚種の転換の推進については、本取りまとめでは、三つ(御指摘が)ありまして、一つ目は、海洋変化による資源変動に対応した漁法の追加等。二つ目は、養殖業との兼業・転換。三つ目は、大臣許可漁業のIQの運用方法など複合化等に向けた制度面の対応が指摘されたところですが、具体的にどのように進めていくかについては、今後、予算や制度対応を含め、検討していく予定にしています。今のところ、漁業者に魚種や漁法を転換することを勧めるといった方向は打ち出されましたが、具体的にどの魚種をやるか、どの漁法をやるかということは決まっておりません。例えば、サンマが獲れないので、それに代えてイカを獲ろうなどというような話は出ているようですが、まだサンマからイカに切り替えるということまでは決まっていませんが、そういう話が出ているのは事実です。そういったことを踏まえて、海洋の環境変化にどのように対応していくかということについて(具体的に)決めていきたいと思います。

  • G20農業大臣会合について(1)

記者

  G20農相会合の関連でお伺いします。先ほどの話の中でも食料安保の関連で伝えていかれるというお話を伺いましたけれども、改めて具体的に、日本として、どのようなところを強く主張されるのか、そのような部分について、お気持ちをお聞かせください。また、バイ会談などの予定がありましたらスケジュールも教えていただけますか。

大臣

  バイ会談については、今、事務局の方で、各国と調整中なので、現段階ではお答えできません。どの国と行うかについてはまだ決めておりませんが、二国間会談を行った際には、事務方の方から結果をお知らせいたします。私が事務方にお願いしているのは、宮崎でG7をやった時の国々が、例えばEU、フランス、イタリア、それにカナダ(は大臣)が来ますので、アメリカは農業大臣が来ないものですから、これらの国々とはお礼を兼ねてバイ会談をやりたいと思っています。

記者

  食料安保の関連で主張されるとお話がありましたけれども、そのあたりもう少し具体的にどういうところを強く主張されるのか教えてください。

大臣

  我が国としては、食料安全保障と栄養のための持続可能な農業をテーマに議論をしていきたいと思っています。G7宮崎農業大臣会合での成果を踏まえまして、ずっと言ってきていますが、農業の生産性向上と持続可能性を両立することの重要性等を主張し、G20各国の理解を求めていきたいと思っています。

記者

  その関連なのですけれども、G20にはロシアも含まれていて、なかなか合意が難しいという見方もありますけれども、そのようなあたりどのような成果を期待されるのかお聞かせいただけますでしょうか。

大臣

  今回ロシアがメンバーに含まれる中で、閣僚宣言が出されるかどうかという趣旨の御質問かと思いますが、これにつきましては、そうですともそうではありませんとも言えません。会議の終了後、改めて、事務方から結果をお知らせしたいと思います。宣言を出したいということは、議長国であるインドの方には言っておりますけれども、可能かどうかということは、各国との調整がインドにもありますので、どのような感触か私はまだ聞いておりませんので、後で事務方に確認してください。

  • G20農業大臣会合について(2)

記者

  インドに御出張されるのは初めてかと思いますが、御所感と意気込みをお伺いできればと思います。

大臣

  G7でいろいろ議論をしましたが、これは先進国7か国(での議論)です。今回のG20にはいろいろな開発途上国もございますので、(その中でも)農業の持続的な発展、環境に配慮した農業生産の在り方、こういったものを議論していただきたいと思います。

記者

  その部分はやはり世界各国共通した認識が持てるのではないかという思いでしょうか。

大臣

  そうですね。共通している部分もあれば、共通していない部分もあるのだろうと思います。それぞれの国の事情によって、変わってくるのではないかなと思います。そのような意味で、議長国であるインドは取りまとめが大変なのではないかなと思います。先進国もあれば、開発途上国もあるので、そういう中でいろいろな議論が出るのだろうと思います。今朝、打合せの中で言ったのですが、G7では栄養という視点というのは会合の最後(の取りまとめ)では入っているのですが、今回の会合では(議題自体に)「食料安全保障と栄養のための持続可能な農業」と、この「栄養」という枕詞がついています。G7ではあまり栄養という視点については、(具体的に)議論にはならなかったのですが、コミュニケには入っているのです。(他方、今回は)そのような意味で、開発途上国にとっては、栄養というのも大きなテーマになってくるのだろうと思うのですが、ただ先進国7か国では、コミュニケには入っているのですが、これが議論になったということは記憶になかったものですから、今朝、事務方に(今回は)この栄養というのが何で入ってきたのだろうかと思っ(て確認し)たら、やはり途上国にとっては、この栄養というのが一つの大きなテーマになり得るということで、議論をしていくのだろうと思いますが、やはり構成メンバーが違ってくると、議論の中身もやはり変わってくる場面があると思っています。

  • ウクライナでのダム決壊及び復興支援について

記者

  ウクライナのダムの決壊についてお伺いしたいのですけれども、ウクライナで、先週、ダムが決壊して、農地や農作物に甚大な被害が出ているかと思うのですけども、世界の食料需給への影響について、どうお考えかということと、先般、岸田総理が日本でウクライナの復興に関する会議を開催するという旨を伝えたというふうに報じられておりますけれども、農林水産省としての復興支援でお考えのところがあればお願いいたします。

大臣

  大変残念なことに、ウクライナのダムの決壊は、(ロシアとウクライナの)どちらが(破壊を)やったとかやらないとかの話にもなっているようですが、これで1万ヘクタールの農地が洪水で水に浸かったということで推計値が公表されましたが、ウクライナの小麦の収穫面積は2022年では全体で530万ヘクタールですから、その中の1万ヘクタールが水に浸かったということで、これで小麦の生産がストップしたかというと、530分の1の影響しかなかったということになりますから、世界の小麦(生産)状況にはそう大きな影響はないのではないかと、限定的だという判断をしています。他方で世界全体の小麦及びとうもろこしの生産状況は、対前年度比で4%増の約20億トンとなっていますので、これらの国際価格は、供給量及び価格は落ち着いていくことが予見されているものの、予断は許さない状況だと思います。こうした情勢の中で農林水産省としては、国際貿易や穀物相場の動きを注視しつつ、緊張感を持って対応していきたいと思っています。

記者

  復興支援に関する会議が日本でも開催されると伝えられているのですが、ウクライナの復興支援に関して農林水産省としてできることは何でしょうか。

大臣

  そういった報道があるということは承知していますが、電話首脳会談での議論の詳細については答えを差し控えたいと思います。ただ、4月の宮崎のG7農業大臣会合でも、ウクライナの大臣とは直接ではなかったのですが(オンラインで対話し)、閣僚声明の中にも(対応を)盛り込んでいます。ウクライナの大臣からも「是非色々な支援をして欲しい。」というお話がありまして、ウクライナの穀物の輸出や、かんがい施設等の再建に向けてG7の各国が各機関とともに支援をしていこうということは、ウクライナの大臣にもはっきり申し上げました。特に我が国としては、技術を生かしていろいろな形で、今回ダムも決壊しましたが、かんがい施設等の再建に向けて、日本として御協力を申し上げたいということを直接、大臣に申し上げたところです。今後もそういったことがG7やG20の中で議論になってくるのではないかと思いますので、日本ができることは日本の方でも今後検討をしながら、ウクライナの農業分野の復興に向けた取組に支援をしていきたいと思っています。(具体的に)何をということは今のところは決まっていません。

  • ALPS処理水の海洋放出による輸入規制への影響について

記者

  10日に香港政府の高官が、福島の処理水に関して、もし処理水を流せば、福島の沿岸一帯とそのリスクの考える地域の水産物を禁輸するようなことを話しまして、宮城の牡蠣とか、香港経由で出ているのですが、ちょっと影響も少なくないかなと思うのですが、どのように受け止めて対応をお考えでしょうか。

大臣

  非常に残念なことですが、今ちょうどIAEAも、これは韓国や中国も入って調査に入ったわけですから、その中に中国も入っていたということもあって、香港がこういう独自の発表をするというのは何だろうなとも思いますが、ただ、報道があったことは事実であり、承知をしています。ALPS処理水は、IAEAで調査をして、その結果が今月中には出るのではないかと言われていますが、やはりそういった科学的な知見に基づいて「日本産の食品への安全性の影響はありません。」と、今現在も言っていますので、その(IAEAの)結果も待ちながら、世界に発信をしたいと思います。また、香港政府には引き続き科学的な根拠に基づき対応するようにお願いをしたいと思っています。いずれにしてもG7や今度のG20の場でもその話が出るかもしれませんが、我々としては科学的な知見やそういう具体的な影響がないということを、IAEAという国際機関のお墨付きで申し上げていきたいと思います。

  • 農林水産省における輸出促進への取組等について

記者

  輸出のことについてお伺いします。現状の前年比での、日本の農林水産物食品の輸出額について、現状の認識と、今後25年に2兆円達成に向けた大臣の意気込みを改めて、よろしくお願いします。

大臣

  輸出については、国内の農業生産基盤の維持を図るためには、輸出(の促進)は、国内で消費できない分は輸出をする(ことが不可欠)ということでやっていますが、農林水産省では輸出拡大実行戦略に基づいて、マーケットインの発想で政府一丸となって輸出拡大を進めているところです。今後の展開方向としては三つあり、一つは輸出産地の形成、これは国内の話ですが、二つ目は関係者が一体となった戦略的な輸出(体制)の整備・強化、三つ目は知的財産等の保護・活用の強化(であり、これ)等について、内容の具体化を進めていきます。2025年には2兆円目標(の前倒し達成)、それから2030年には5兆円目標の達成に向けて、これまでの取組を着実に進めていきたいと思っています。少し数字を申し上げると、一番新しい数字ですと、1月から4月までで(輸出実績は)4,315億円です。これは前年同期比でみると9.8%増ということで、ありがたいことにずっと輸出が伸びています。加えて、各国への輸出力の強化の取組として、地域のプラットフォームの立ち上げを各国と交渉していましたが、6月14日には台湾でプラットフォームの立ち上げが予定されていまして、5月までに7か国・地域、この(度の)台湾も含めると、8か国・地域にプラットフォームの立ち上げができるということになっています。日本の体制もそうですが、各国においてもこのようなプラットフォームの立ち上げが出来つつありますので、これらを通じながら、輸出の拡大を目指していきたいと思っております。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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