外務省・新着情報

北方領土問題(北海道知事と千島連盟による総理への要請)

【北海道新聞 荒谷記者】北方領土の関係で伺います。先ほど、北海道知事と千島連盟の理事長らが、首相官邸を訪れて、領土の早期返還や、北方領土墓参の早期再開などを求めました。林大臣も同席されたと思いますが、その要望についての受け止めと、元島民らからは、墓参の早期再開、洋上慰霊も含めて、国の支援を求めています。国として、どのように取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。

【林外務大臣】本日、岸田総理と北海道知事及び千島連盟の代表者等が面会をされまして、総理に対して、北方領土問題解決等の要請が行われたところでございます。
 総理から、主に、
 「ロシアによるウクライナ侵略により、日露関係は厳しい状況にあるが、四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えに何ら変わりがない」こと、
 そして、「北方墓参を始めとした事業の再開、これは、今後の日露関係の中でも、最優先事項の一つであり、引き続き、ロシア側に対して、特に北方墓参に重点を置いて、事業の再開を求めていく」こと、
 そして、「北方領土問題は、国民全体の問題であり、政府と国民が一丸となって取り組むことが不可欠だと考えている」こと、
 これをお伝えしたところであります。
 私(林大臣)も、総理と全く同じ思いでありまして、引き続き、全力で取り組んで参りたいと思っております。

核軍縮(中国の核弾頭保有数増加)

【共同通信 桂田記者】核軍縮についてお伺いします。ストックホルム国際平和研究所は、12日、今年1月時点の、中国が保有する核弾頭が、昨年同月から60発増え、推計410発になったと発表しました。G7メンバー国も含む核保有国で、「核戦力の近代化が続いている」とも指摘しています。広島サミットで確認した核軍縮への決意と逆行する現状が明らかになりましたが、核軍縮の今後の課題をどうお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】民間シンクタンクの発表内容の逐一についてお答えすることは、差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で申し上げますと、御指摘の中国は、急速かつ不透明な形で、保有する核弾頭数を増加させるとともに、多様な運搬手段の開発配備を行って、核戦力の能力向上を継続しているとみられております。
 国際安全保障環境が一層厳しくなる中、「核兵器のない世界」に向けた道のり、これは一層厳しさを増しております。しかし、そうした厳しい状況だからこそ、「核兵器のない世界」の実現の重要性、これを再確認するとともに、核軍縮に向けた国際社会の機運を改めて高めて、現実的で実践的な取組を着実に進めていく必要があると考えております。
 こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組をリードしていく考えでございまして、G7広島サミットの成果も踏まえて、「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組を継続・強化してまいりたいと考えております。

日本の対中東外交

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 岸田首相は、来月、中東を訪問する予定であると報道されています。正式には発表されていませんが、これはG7後の最初の総理による外国訪問となります。日本の原油のほぼ100%を供給している中東地域に対して、日本はどのような政治的アプローチを取るのでしょうか。
 また、中国は最近、サウジアラビアとイランとの間の仲介役を果たしました。日本も中東地域において同様の突破口を開いていくつもりなのでしょうか? ありがとうございました。

【林外務大臣】岸田総理の今後の外国訪問の日程については、何ら決まっておらないところでございます。
 その上で、中東産油国と我が国は、これまで長年にわたり、友好関係を築いてきておりまして、近年では、伝統的なエネルギー分野での協力のみならず、水素・アンモニアなどのクリーンエネルギーや、産業多角化といった幅広い分野を多く含みます包括的な関係構築に努めておるところでございます。昨日のアブダッラーUAE外相との会談でも、こうした点を議論しました。
 また、先般発表されたイランとサウジアラビアの外交関係正常化については、様々な国による外交努力の積み重ねの結果、合意が実現したということを評価しております。
 日本としては、引き続き、エネルギー安全保障の観点からも重要な、中東諸国との関係の一層の強化に努めてまいりたいと思っております。

米国のユネスコ復帰

【読売新聞 依田記者】米国が既に脱退しているユネスコの関係でお伺いします。先般米国が、ユネスコに再加入する意向を、ユネスコ側に伝えていたことが明らかになりました。これについて、日本政府としての受け止めをお願いしますお願いします。

【林外務大臣】我が国は、昨12日に米国がユネスコに復帰する意図、これを表明したことを歓迎いたします。
 国際秩序を揺るがす問題が山積する中で、ユネスコは教育、科学、文化等の面で一層重要な役割を担っております。
 こうした中、米国の復帰は、ユネスコがこれらの問題に、より活発に効果的に対処する上で、極めて重要な意義を有するものであります。
 我が国は、米国がユネスコに早期に復帰できるように、これまで積極的に外交努力を行ってきたところでありますが、今後も主導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

トランプ米国前大統領による機密文書持ち出し

【時事通信 田中記者】米国のトランプ大統領の機密文書持ち出しによる起訴についてお伺いします。起訴状によると、トランプ大統領の持ち出した文書の中には、同盟国の潜在的な脆弱性とか、諸外国の防衛力とか、兵器の能力についての情報が含まれていたということなんですけれども、これに、日本に関係する情報があったかどうか、ということを把握しているかどうか教えてください。あと、同盟国の杜撰な情報管理というのは、日本の安全保障にとっても、リスクになり得ると思うんですけれども、それについての大臣の所感をお願いします。

【林外務大臣】他国の国内裁判に関わる個別の事項の一つ一つについてコメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で一般論として申し上げますと、日米間の外交上のやり取りに係る情報管理、これは日米双方において適切に行われておるところでございます。

日米比の安全保障協力

【ロイター通信 村上記者】日本、米国、フィリピンの3か国は、安全保障分野の連携を強化するため、政府高官による協議の枠組みを今後新たに設ける、との報道がありますが、日本にとって、米国とフィリピンとの連携は、なぜ重要なのか、改めてお伺いします。また、日本政府としては、安全保障面で日米比の3か国関係をどのように深めていきたいか考えているのか、御見解をお願いいたします。

【林外務大臣】地域の平和と安定のためには、価値や原則を共有する国々との様々な協力が重要であります。御指摘の協議の枠組みについて、決まっているものではございませんが、2月の日・フィリピン首脳会談におきましても、両首脳は、安全保障協力について、日米比の協力強化に向けた検討も進めていく、ということで一致したところでございます。
 我が国としては、国際社会が歴史的な転換期を迎える中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けまして、米国とも意思疎通を行いながら、フィリピンとの連携を強化していく考えでございます。

ウクライナ情勢(ノルドストリーム・パイプラインの破壊)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ問題について、6月6日ワシントンポストが、「米国は、ノルドストリーム・パイプラインを破壊するウクライナ軍の計画について事前に情報を持っていた」「CIAは、昨年6月、この情報を、欧州諸国と共有した」とするスクープを出しました。これが事実であれば、ウクライナ軍がテロ行為を行ったことになり、それを事前に知りつつ、止めることもなく、爆破後には、ロシアの自作自演犯行説を唱えていた欧米諸国の政治的、道徳的責任が問われます。日本のウクライナ支援の正当性にも疑義が生じます。この件についての林大臣の御見解と、この情報について、日本でも事前に共有されていたのかどうか御教授願います。

【林外務大臣】天然ガス・パイプラインという重要インフラについて生じた本件事案については、エネルギー供給や周辺海域への環境面であり得べき影響を含め、懸念を持って受け止めております。
 いずれにしても、当該事案の原因等については、引き続き、関係国が調査を続けているものと承知しておりまして、報道の一つ一つにコメントすることは差し控えたいと考えております。

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