外務省・新着情報

令和5年6月15日
ジャイシャンカル・インド外相と握手をする武井副大臣
G20開発大臣会合に出席している様子
シン外務・教育担当閣外大臣と武井副大臣との記念写真

 6月10日から15日(現地時間同日)まで、G20開発大臣会合に出席するために武井俊輔外務副大臣がインド共和国を訪問したところ、概要は以下のとおりです。

1 G20開発大臣会合

 6月11日から13日、武井副大臣は、G20開発大臣会合に出席しました。
 今回の会合では、ロシアによるウクライナ侵略を始めとする現下の国際情勢が途上国にもたらす影響とSDGs達成のための共同行動や、地球環境を守るためのライフスタイルの変革・行動変容等について議論を行いました。
 日本を始めとする多くの国が、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難するとともに、ロシアの侵略行為が特に途上国の危機を悪化させ、SDGsの達成を遅らせていることを指摘しました。

(1)セッション1:「多国間主義 SDGs達成への進展を加速するための共同行動」

 本セッションでは、SDGs達成への進展を加速化するための支援のあり方等について議論が行われました。
 武井副大臣からは、包摂的で持続可能な成長のためには、「平和と安定」が不可欠であり、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、改めて非難するとともに、直ちに侵略を止めるよう強く求めました。
 また、本年のG7の議長国として、先月の広島サミットにおいてG7を超えた国際的なパートナーと協力し、食料、開発、保健、気候変動・エネルギー、環境といった国際社会が直面する諸課題に対応していくことで一致したことなどを紹介しました。
その上で、日本は、新たな開発協力大綱を閣議決定し、国際社会が直面する複合的危機に対し、民間部門や市民社会を積極的に動員しながら、解決策をパートナーと共に作り出す「共創」のコンセプトのもと、開発協力を一層効果的・戦略的に実施していく考えである旨述べました。
 このほか、SDGs達成に向けた資金ギャップが拡大する中、G20がSDGs達成に向けた力強いコミットメントを再確認すべきである旨をG20各国に呼びかけ、そのためには国際開発金融機関(MDBs)改革や全ての債権国・債務国が国際ルール・スタンダードを遵守する透明で公正な開発金融を促進することが重要である旨訴えました。

(2)セッション2:「グリーン開発の力 LiFEアプローチ」

 本セッションでは、地球環境を守るためのライフスタイルの変革・行動変容等について議論を行いました。
 武井副大臣からは、議長国インドが推進している、地球環境を守るため個人のライフスタイルの変革に賛同するとともに、我が国も、昨年、脱炭素につながる新しい国民運動を開始し、企業・自治体・NGO等と連携してライフスタイルのイノベーションを推進していることを紹介し、G7議長国としても、世界のライフスタイル変革・行動変容に取り組んでいくことを呼びかけました。
 その上で、日本がグリーン分野で取り組んでいる「アジア・ゼロエミッション共同体」構想を紹介し、G7広島サミットでは、エネルギー安全保障、気候危機、地政学的リスクを一体的に捉え、各国の事情に応じた多様な道筋のもとで、ネット・ゼロという共通のゴールを目指す考え方を共有した旨述べました。また、今後も、省エネ・再エネ技術や、日本が培ってきた水素・アンモニアなどの技術や経験を活かしながら、具体的なプロジェクトを積み上げ、この構想を実現し、地域のパートナー国のエネルギー移行を支援していく旨述べました。
 さらに、気候変動・エネルギー、海洋保護や、持続的なエコシステムの実現に不可欠なデジタル技術の活用において重要な「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の推進等、様々な分野において我が国が行っている支援について紹介し、今後もグリーン開発に関する途上国の努力を支援し続けていく旨述べました。

(3)二国間会談等

 本会合の機会を捉え、武井副大臣は、スブラマニヤム・ジャイシャンカル・インド外務大臣と、G7とG20との間の連携、地域情勢等について意見交換を行いました。
 また、武井副大臣は、ハージット・サージャン・カナダ国際開発大臣、アンドリュー・ミッチェル英外務・英連邦・開発省担当大臣(開発・アフリカ担当)、スベニャ・シュルツェ独経済協力・開発大臣等と会談を行い、G7広島サミットの成果やG20ニューデリー・サミットに向けた連携、開発金融等について意見交換を行ったほか、今後とも、開発分野において連携していくことを確認しました。
 このほか、武井副大臣は、米国、フランス共和国、イタリア共和国、豪州、韓国、ブラジル連邦共和国、EU等、各国からの出席者と開発分野における協力について意見交換を行いました。

2 インド政府要人との会談・視察等

(1)インド政府要人との会談

 14日、武井副大臣は、ラージクマール・ランジャン・シン外務・教育担当閣外大臣と会談を行い、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性、インド北東部開発、人的交流を含めた二国間関係の促進等について意見交換を行いました。また、G7広島サミットの成果を紹介し、9月のG20ニューデリーサミットに向けて連携して行きたい旨述べました。

(2)経済協力案件視察

 11日、武井副大臣は、ヴァラナシ市内において、日本の無償資金協力によって建設された「ヴァラナシ国際協力・コンベンションセンター」を視察し、緊密な日印協力のシンボルとして、維持管理・活用されている旨説明を受けました。また、有償資金協力「ガンジス川流域都市衛生環境改善事業」の一環として建設されたポンプ場を視察しました。
 また、13日、デリー市内において、日本の有償資金協力により整備されデリー首都圏において交通混雑の緩和と交通公害減少に大きく貢献しているデリーメトロの視察を行いました。

(参考1)G20開発大臣会合の参加国・機関

  1. G20
     日本、インド(議長国)、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU
  2. 招待国
     スペイン、オランダ、シンガポール、バングラデシュ、コモロ(アフリカ連合(AU)議長国)、エジプト、モーリシャス、ナイジェリア、オマーン、アラブ首長国連邦
  3. 国際機関
     国連、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、災害に強靱なインフラのためのコアリション(CDRI)、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、世界貿易機関(WTO)等
(参考3)会議参加者氏名

  1. 二国間会談
    • スブラマニヤム・ジャイシャンカル・インド外務大臣
      H.E. Dr. Subrahmanyam Jaishankar, Minister of External Affairs of India)
    • ハージット・サージャン・カナダ国際開発大臣
      Hon. Mr. Harjit Sajjan, Minister of International Development
    • アンドリュー・ミッチェル英外務・英連邦・開発省担当大臣(開発・アフリカ担当)
      The Rt. Hon. Andrew Mitchell MP, Minister of State (Minister for Development and Africa), Foreign, Commonwealth & Development Office
    • スベニャ・シュルツェ独経済協力・開発大臣
      H.E. Ms. Svenja Schulze, Federal Minister for Economic Cooperation and Development
  2. インド政府要人との会談
    • ラージクマール・ランジャン・シン外務・教育担当閣外大臣
      H.E. Dr. Rajkumar Ranjan Singh, Minister of State for External Affairs and Education

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