経産省・新着情報

2023年6月16日

同時発表:金融庁、環境省

経済産業省は、金融庁、環境省とともに、「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(座長:伊藤邦雄一橋大学CFO教育センター長)を継続して開催し、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性を向上することを目的として、特に資金供給後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献を担保するための手引きとして、「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス ~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました。

1.経緯・背景

2015年の「パリ協定」採択以降、カーボンニュートラル(以下CNと記載。)目標を表明する国や地域が増加し、世界的に脱炭素の機運が高まる中、日本においても、2030年度の温室効果ガス(GHG)46%削減、2050年CNの実現という野心的な国際公約を掲げています。

世界でCNを実現するためには、すでにクリーンな技術として確立されている取組のみならず、イノベーションが必要となります。このため、一足飛びに脱炭素が困難な排出削減困難(hard-to-abate)なセクターの移行にかかる取組に対する資金供給、すなわち「トランジション・ファイナンス」が不可欠です。

国内市場では世界に先んじて、トランジション・ファイナンスの活用に向けた環境整備 を実施してきたところであり、2022年度末時点で累計約1兆円規模となっています。こうしたトランジション・ファイナンスを通じて金融機関が実経済の脱炭素化に資する取組を促進するためには、企業による信頼性が高いトランジション戦略の構築・開示とともに、金融機関が企業との対話を通じてその着実な実行を支援・促進することが鍵となります。

このため、トランジション・ファイナンス環境整備検討会において、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性を向上することを目的として、特に、ファイナンス実行後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献のため、金融機関(特に債券投資家)向けに、「トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス~資金調達者とのより良い対話に向けて~」を策定しました。

2.ガイダンスの概要

本ガイダンスは、トランジション・ファイナンスの実行後に焦点を当てており、資金供給者によるファイナンス実行後のフォローアップを通じて、資金調達者の脱炭素化に向けたトランジション戦略に沿った取組が促進されることを目指し、フォローアップの基本的な考え方やポイントについて、実務担当者が実践的に活用できるようにまとめています。具体的には、トランジション・ファイナンスに係る戦略・目標・対象事業の進捗を確認する際に考慮すべきポイントについて、記載をしています。

本書は2部構成となっており、第1章にてフォローアップの定義と目的および基本的な考え方を示し、第2章では、フォローアップの際の実施事項やポイントをフォローアップの流れに沿って整理し、具体的なフォローアップのイメージができるよう、いくつかのケーススタディを掲載しました。また、巻末にAppendixを3つ補完しました。Appendix1には第2章2節以降の抑えておくべきポイントや確認事項については参照しやすいように一覧にまとめました。Appendix2にはローンとボンドにおいて資金調達者と資金供給者の関係性が異なることを踏まえ、ボンドに限定したフォローアップの実践方法をまとめました。Appendix3には、資金供給者が留意すべき業界特性について分野別技術ロードマップから抽出する形でポイントをまとめました。

なお、経済産業省では、トランジション・ファイナンスを普及させるため、基本指針に整合したファイナンス事例について、情報発信、第三者評価費用の負担軽減を行う事業を実施しております。今回策定したガイダンスは、こうした事業を通じて実施された各種ファイナンス案件において、まずは先行的に活用されることが期待されます。

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担当

産業技術環境局 環境経済室長 梶川
担当者:関根、小林、根本 
電話:03-3501-1511(内線 3453~3455)
メール:bzl-kankyo-kinyu★meti.go.jp
※ [★]を[@]に置き換えてください。

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