外務省・新着情報

冒頭発言

(1)林外務大臣の英国及びフランス訪問

【林外務大臣】冒頭3件ご報告がございます。
 まず、一件目ですが、私(林大臣)は、20日から24日まで、英国ロンドン及びフランス・パリへ出張する予定です。
 ロンドンでは、英国政府とウクライナ政府が共催をする「ウクライナ復興会議」に出席する予定であります。同会議では、ウクライナ復興に不可欠な民間企業の参画の促進、そして、これを実現するために必要な施策等に主な焦点が当てられる見込みでございまして、我が国として「日本ならでは」の復興支援を実施していくべく、積極的に議論に貢献したいと考えております。
 また、この機会にチャタムハウスからの御招待を受けまして、同シンクタンクにおいて「歴史の岐路に立つ日本外交と日英関係の今後」とのタイトルの下で、日英がグローバルなパートナーとして共に取り組むべき課題や、その連携の方向性等について、講演を行う予定でございます。
 パリでは、フランス政府が主催いたします「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」に出席する予定です。多くの途上国が、複合的危機に直面する中で、この持続可能な開発目標、SDGsですが、これの達成が危機に瀕しておりまして、この達成に向けた資金ギャップは、むしろ拡大しております。こうした問題意識の下で、日本はG7議長国として、同会議でも、国際社会全体でのSDGs達成に向けて、議論を主導していく考えでございます。

(2)林外務大臣の秋田県訪問(「地方を世界へ」プロジェクト)

【林外務大臣】次に二件目ですが、この6月17日、地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクトの第4弾として、駐日外交団と共に秋田県を訪問いたします。訪問には、武井俊輔外務副大臣が同行いたします。
 今回の訪問では、秋田市におきまして、駐日外交団と共に、地元の酒蔵や民俗芸能伝承施設、洋上風力発電施設などを視察するとともに、地方自治体や地元経済界の方々と意見交換を行う予定にしております。
 特に、洋上風力発電を含むクリーンエネルギーの推進につきましては、G7広島サミットでも議論されておりまして、今回この機会に、各国の駐日大使の皆様に、脱炭素化に向けた我が国の取組をご理解いただける良い機会になることを期待しております。
 また、若者を含めて秋田を拠点に、様々な分野で活躍される皆様と、我が国の外交政策、秋田の魅力の発信などについて、車座対話を実施する予定にしております。

(3)スーダンにおける人道支援のための緊急無償資金協力

【林外務大臣】それから三件目でございますが、本日、スーダンにおける人道支援のための緊急無償資金協力として、500万ドルの支援を行うことを決定いたしました。
 本年4月のスーダン国軍と即応支援部隊との衝突を受けまして、日本としては、難民等の流入に直面するスーダン周辺国に対しまして、国際機関を通じた支援を直ちに決定し、実施しております。現在も、戦況の改善が見通せない中で、スーダン国内の人道状況も更に悪化していることも受けまして、今般、新たに国際機関を通じまして、食料、生活必需品、保健・医療等の分野で、支援を行うものであります。
 スーダン及び周辺国のチャドにおいても、ジャパン・プラットフォームを通じて、日本のNGOによる約146万ドルの支援が決定されております。
 スーダン情勢については、今年5月のG7広島サミットでも、G7として一刻も早い停戦の実現に向けて取り組んでいくということで一致をしました。日本政府として、引き続き、必要な支援を実施してまいりたいと考えております。
 私(林大臣)からは以上です。

林外務大臣のロンドンでのウクライナ復興会議出席

【朝日新聞 上地記者】今、冒頭発言にありました、ロンドンでのウクライナ復興会議についてお伺いします。民間企業の参画も今回の大きな議題になると思いますが、日本からは、今回どのような企業の規模や業種の方が参加されるのか、大臣、ご存じでしたらお伺いします。また、ウクライナ全土は、「レベル4」の退避勧告が出ています。復興支援に携わる企業の安全確保や、人的・物的被害などが生じた場合の補償などについて、政府としては、どのような対応を検討されているかお伺いします。

【林外務大臣】今次会議には、日本企業も参加する予定と承知しておりますが、我が国は主催国ではなく、その招待は、主催国である英国・ウクライナが判断しておるため、個別の企業名についてお答えするのは差し控えたいと思います。
 危険情報は、渡航・滞在に当たって、特に注意が必要と考えられる国・地域について、特に、邦人の生命・身体に対する脅威、これを考慮して、治安情勢を総合的に判断した上で発出されるものであります。現在、ウクライナについては、引き続き、全土に「レベル4」、すなわち「退避してください。渡航はやめてください。退避勧告」との危険情報が発出をされております。
 戦時下のウクライナとの貿易・投資、これは民間企業にとってリスクが高いということは事実でありますが、ウクライナの復旧・復興を推進していく必要性、これは、G7を始め、国際社会において広く共有されております。
 政府として、そうしたリスクを十分認識しておりまして、邦人の安全を第一に考えつつ、ITの活用や戦争保険の付与などを通じて、困難な状況下でも、必要な企業活動を進める方途について、ウクライナ側とも協力しながら、検討していく考えでございます。

外務大臣の秋田県訪問(洋上風力発電の視察)

【NHK 岩澤記者】冒頭の秋田訪問の関連で伺います。今回の訪問を通じまして、グローバル・サウスと呼ばれる新興国や途上国の大使に、この気候変動対策の一つとされる洋上風力発電を視察してもらうことの狙いについて、どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】地元の要望等を踏まえて、調整を行った結果、今回の秋田訪問には、パラグアイ、メキシコ、南アフリカ、リベリア、ノルウェー、ブルガリア、ラオス、スリランカ及びインドの駐日大使が同行する予定となっております。
 先般のG7サミットで、G7は、2030年までに洋上風力の容量を増加させ、再生可能エネルギーの世界的な導入拡大、及びコスト引き下げに貢献するということを確認しております。また、低・中所得国を念頭に、世界中のパートナーとの協力や支援を深めていく、これも明記をした、独立首脳声明「クリーン・エネルギー経済行動計画」、これも発出しております。
 今回予定しております洋上風力発電施設の視察ですが、これら広島サミットの成果を踏まえた日本の具体的な取組を、いわゆるグローバル・サウスを含む参加駐日大使の国々に積極的に発信をし、もって、各国がこうした分野における取組を進める上で、参考にしてもらう良い機会になるとともに、人類共通の待ったなしの課題である世界の気候変動の取組に資するものになることを期待をするところでございます。

ALPS処理水

【東亜日報 李記者】福島処理水に関する質問なんですけれども、IAEA事務総長が来月訪日し、岸田総理と会うという報道がありましたけれども、日程とスケジュールは、どのように調整中ですか。これとともに、最近、韓国の視察団が現地に訪れましたけれども、今後、処理水の放流について、韓国を含めて、隣国とのコミュニケーションをどのように調整するということですか。

【林外務大臣】今、御指摘のあった報道については承知しております。
 グロッシーIAEA事務局長との間では、4月にテレビ会談を実施しまして、私(林大臣)から、ALPS処理水の安全性規制面のレビュー等のIAEAの諸活動に謝意を表明した上で、ALPS処理水に関する誠実かつ透明性のある対応を継続していく旨伝達をしたところでありますが、同事務局長の訪日については、現時点で何ら決まっていないということでございます。
 韓国の視察団につきましては、これまで局長級の説明会等の機会を通じて、ALPS処理水の安全性について、科学的根拠に基づき、丁寧に情報提供や説明を行ってきている中、先般の日韓首脳会談も踏まえ、5月、韓国専門家現地視察団による、ALPS処理水の海洋放出に関連する各種設備の視察が行われたところでございます。今回の視察を通じて、韓国側の理解促進につながることを期待しております。
 政府としては、この同視察団の受入れ等を通じて、引き続き、高い透明性をもって、科学的根拠に基づく誠実な説明、これを行って、ALPS処理水の海洋放出の安全性について、韓国側の理解が一層深まるように、引き続き、取り組んでいきたいと考えております。

香港当局による香港人留学生の起訴

【共同通信 桂田記者】香港での言論統制について伺います。香港当局は、昨15日、SNSに香港独立を含む内容の投稿をしたなどとして、日本に留学中で一時帰国した香港人女性を起訴しました。日本での投稿が起訴内容に含まれているとみられ、日本を含む海外での言論も厳しく取り締まるとの香港当局の姿勢が反映されている可能性がありますが、日本政府としての受け止めを伺います。

【林外務大臣】御指摘の報道は承知しております。
 香港をめぐる情勢につきましては、2020年6月に国家安全維持法が制定されまして、それ以降、民主派関係者の逮捕など、様々な動きがあります。また、2021年3月に、香港における選挙制度に関する香港基本法の規定の変更もあるなど、「一国二制度」への信頼を損なわせ、重大な懸念を強めざるを得ない事態が続いています。
 日本としては、国際社会と緊密に連携して、中国、香港当局に対して、香港基本法に規定されている言論及び報道の自由が保護されるように、これまでも、私(林大臣)を含めた様々なレベルで働きかけしてきておりまして、引き続き、このような取組を続けてまいりたいと考えております。

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