外務省・新着情報

令和5年6月20日

 6月20日(現地時間同日)、カンボジア王国の首都プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本国特命全権大使と、プラック・ソコン・カンボジア王国副首相兼外務国際協力大臣(H.E. Mr. PRAK Sokhonn, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation of the Kingdom of Cambodia)との間で、総額257億7,300万円を限度とする円借款(注1)2件に関する書簡の署名・交換が行われました。

(注1)円借款:開発途上国に対してインフラ等の建設資金として必要な資金を緩やかな条件(低い金利や長い返済期間)で貸し付ける協力。開発途上国にとっては、日本への返済を前提とした資金なので、効果的な活用や自立的発展に繋がることが期待されます。

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対象案件の概要

  1. 地方道路連結性向上計画(供与限度額:236億9,200万円)
    カンボジアでは、国道五号線は、カンボジアの基幹道路かつ南部経済回廊(注2)の一部であり、円借款により改良を実施してきていますが、その沿線地域においては地方道路が十分に舗装されていない状況になっています。本案件は、首都プノンペンとタイ国境を結ぶ国道五号線の沿線地域において、橋や道路排水施設を含む地方道路の改良及び拡幅により、当該地域における道路ネットワークの連結性強化、人々の社会経済活動へのアクセスの改善を図るほか、洪水被害に脆弱な地域において通行止めの軽減の対策を取るなど気候変動への対応を図り、もって当該地域の安定的な社会経済開発に寄与するものです。

     (注2)タイ~カンボジア~ベトナムを結ぶ、道路や橋梁等の運輸インフラのことであり、この経済回廊の整備により国境を越えて人とモノが活発に移動できるようになり、メコン地域全体の経済成長を促すことが期待されます。
     

  2. シェムリアップ上水道拡張計画(第三期)(供与限度額:20億8,100万円)
    カンボジア最大の観光都市であるシェムリアップ市は、急速な水需要の増大が見込まれていましたが、給水率は同国の主要都市の中で最も低い水準となっています。本案件は、急速な都市化及び観光客の増加により水不足が深刻となっているシェムリアップ市において、上水道設備を拡張することにより、安全かつ安定的な上水道サービスの普及を図り、もってシェムリアップ市の生活環境の改善及び当該地域の観光産業振興の環境改善に寄与するものです。なお、本案件は2012年に第一期、その後2021年に第二期の署名を行っておりますが、今般急激な為替変動等により総事業費が増加したことを受け、追加的な円借款で対応するものです。
     
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供与条件(上記1(1)及び(2))
金利:TORF+0.4%
(下限金利は0.1%。またコンサルタント部分は年0.1%。)
償還期間:30年(10年の据置期間を含む。)
調達条件:アンタイド

(参考1)TORF(Tokyo Term Risk Free Rate)

 東京ターム物リスク・フリー・レートと呼ばれ、円借款の変動金利を表す際に用いられる金利指標である。

(参考2)カンボジア王国基礎データ

 カンボジア王国は、面積約18万平方キロメートル(日本の約0.48倍)、人口約1,695万人(2021年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は1,550米ドル(2021年、世界銀行)。


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