経産省・新着情報

2023年6月16日(金曜日)
10時40分~11時04分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

私から冒頭4点申し上げます。

経済安全保障推進法に基づく計画認定

まず、1点目、本日経済安全保障推進法に基づきまして技術開発、設備投資などの計画を認定し、支援を行うことを決定いたしました。

まず、蓄電池につきましてトヨタなどへの最大1,178億円の助成、支援をはじめとする計7件、最大約1,276億円の助成を行う予定であります。蓄電池の国際競争が激化している中、設備投資についても競争は激化してきております。トヨタグループによる大規模な投資などによって、我が国の蓄電池のサプライチェーンの大幅な強化につながることを期待したいと思っております。

後ほど事務方から説明させますけれども、トヨタグループで25ギガワットアワー生産規模を支援していきたいと思っておりますが、先般ホンダグループに20ギガワットアワー支援を決定しておりますので、これで45ギガワットアワーの生産規模になります。2030年に150ギガワットアワーを目指しておりますが、着実に強化をしていきたいと思っております。

特にLFPと言われる液系のLFP系電池の車載用では初めての量産に向けての取組、それから全固体電池について研究開発を加速していくということでありますので、蓄電池の分野でしっかりと競争力、そして機微となる技術を日本で保有したいと思っております。

2つ目のグループがクラウドであります。クラウドのプログラムにつきまして、さくらインターネットに対して最大約68億円の支援を行います。今話題の生成AIの基盤的な開発能力の醸成に向けて不可欠なインフラであります国内の計算能力、計算資源、これを拡充するものであります。

既に産総研のABCIがあるわけですけれども、これの2.5倍ぐらいの能力を持つ計算資源であります。我が国のAI開発、生成AIの分野で研究開発、そして実装を加速していきたいと思っております。これがさくらインターネットのものであります。後ほどまた説明をしてもらいます。

3点目、半導体でありますが、サプライチェーンの強化という観点から半導体のデバイスに加えて製造装置、部素材、原料、製造基盤の強化も重要であります。今回、パッケージ基盤の製造メーカーである新光電気工業への最大178億円の助成をはじめとする計8件、約550億円の助成を行います。

ここにありますとおり、日本の強みであります製造装置、部素材、これを更に強化していくということで、これが日本の強み、魅力であって、海外企業もこうした企業との連携を含めて日本への投資を考えてくれておりますので、引き続き強化していきます。

そして、4点目、工作機械、産業用ロボットにつきまして、今回初めて経済安保法で認定を行います。計3件で最大約300億円の助成を行います。

日本を代表するメーカーでありますけれども、今回初めてでありますが、この支援によって今後需要拡大が見込まれます工作機械、産業用ロボットの性能を大きく左右します制御関連機器、ここが言わば機微な技術、競争力の源泉となっていくわけですが、安保上も非常に重要な制御関連機器の国内生産能力の強化を図りたいと考えております。

以上、今回の安保法に基づく支援でありますが、後ほど事務方から説明させたいと思います。

福島芸術文化推進室

大きな2点目でありますが、昨日15日に大臣官房福島復興推進グループに福島芸術文化推進室を新たに設置いたしました。

経済産業省ではこれまで様々な形で福島の復興に取り組んできたところであります。特に立地補助金などの施策を通じまして、被災地に400件以上の企業立地を行い4,500人以上の新規雇用を生み出してきておりますし、約2,700の事業者の再開を支援してきました。

今回このような企業立地、なりわい再建への支援に加えて、新たに芸術文化の力を活用し、魅力あるまちづくりに向けた取組、これを加速していくことにいたしました。既に昨年も双葉町でありましたけれども、地元の学生が映画を作ったり、若い人たちが福島の将来を作っていくというそうした思いを応援していくものであります。

この活動の中核を担うのが私ども省内の有志職員、特に若手の職員であります。ふだんはそれぞれ省内の部署で別の業務、本来の業務を担当しておりますけれども、福島の復興が重要であるという思いの中で、言わば省内の副業的に自ら手を挙げて考え取り組んでいくと、そういう姿勢を示してくれた職員の皆さんであります。

この中には震災以降に入省した職員も数多くいますけれども、是非新しい発想で今後福島の浜通りから心を潤してくれる映像、芸術文化、こうしたことを創造し、また発信することを通じて新たな魅力をつくり出してもらいたいと思いますし、そのことで多くの人が福島を訪れたい、また戻りたい、そんな気持ちを是非持っていただけるように取組を行っていきたいと思います。世代を超えて福島の復興、総力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

大阪出張

それから、3点目、明日6月17日、大阪府に出張いたします。

まず、豊中市の社会福祉協議会が運営する都市型農園、豊中あぐりなどを訪問し、地域福祉の担い手づくり、社会参加を促進する取組を視察したいと思っております。コロナ担当大臣の折に豊中の社会福祉協議会、いろいろお話を伺って非常に厳しい状況にある皆さん方への緊急小口資金の在り方とか、いろいろな御意見もいただいてまいりました。その後コロナ禍からの需要回復、また5類になってくるという中で高齢者の皆さんの取組、あるいは格差というものも課題になってくる中で現状について視察したいと思っております。

続いて産総研の関西センターにおきまして、電極にレアメタルを使用しない電池の研究開発の現場を視察したいと思っております。関西は電池の関連産業が多いということもあって、電池の研究開発の現場を見たいと思っています。

それから、積水化学の水無瀬イノベーションセンターにおきまして、次世代太陽電池でありますペロブスカイトの製造、実証の現場を視察する予定にしております。

北海道出張

それから、4点目、あさって18日、日曜日に北海道に出張いたします。

まず、千歳で2020年代後半に次世代半導体製造拠点の構築を目指しておりますラピダスの建設予定地を訪問いたします。

それから、先ほど発表させていただいた経済安全保障法に基づく計算基盤の強化を行うさくらインターネットのデータセンターを訪れます。

さらに産総研の北海道センターでバイオものづくり、微生物を活用した医薬品生産などに取り組んでいる研究開発を視察する予定であります。

その後、北海道の経済界の皆さんと意見交換も行う予定にしております。

冒頭以上であります。

質疑応答

商工中金

Q: 14日に成立した改正商工中金法の関係でお伺いさせてください。

業務制限を緩和する一方で危機対応業務が残ることで、長年先送りされてきた完全民営化に向けた大きな一歩になるとは思うのですが、一方でこうした政府系金融機関が民営化するという過程で、通常の他の民間金融機関の民業圧迫にならないようにするなど措置を取りながら、一方で収益を稼げるビジネスモデルを確立する必要性もあると思います。そういった今後の過程の中で経済産業省としてどのように商工中金に関わっていって、そのサポートというか、そういった形で関わりを持っていくかの考えについて大臣のお考えをお聞かせください。

以上です。

A: まず、商工中金をめぐっては過去に様々な不祥事がありました。これは政府系金融機関ということを背景として、政府職員の意識の問題も含めて、そのような不祥事があったということを踏まえて、政府としては大きな方向性として民営化をしていこうということをこれまでの法律に明記されておりますので、考えてきたところでありますが、コロナ禍などもあり、そのタイミングなど、あるいは在り方を検討を進めて行ってきたところであります。

そうした中で、民間金融機関からは民業圧迫にならないようにという声もいただいてきております。ある意味政府の出資をなくす、政府保有株式を早く売却するということで、イコールフッティングで進めていくと、そうしたことの要望、要請も金融機関からはこの間ずっと寄せられたところであります。他方、今回のコロナ禍におきます危機対応業務も含めて、中小企業の皆さん方からはいざというときに商工中金を頼りにしたいという声もありました。

そうした中で私ども検討を進めてきて、どういう形で、どういうタイミングで民営化に踏み出していくのか、このことについて検討を重ねてきた結果、今回の法案を提出し、成立をさせていただいたということでありますが、まず商工中金は全国にネットワークがあります。そして、再生の支援に取り組んできたノウハウ、人材がいます。

一方で、支店にたくさんに人数がいるかというとそうではなく、支店の数も多いわけではなくて、地域の金融機関が言わば歩いて自転車に乗って営業したり、中小企業の細かな声を吸い上げて、それに対して支援をするというビジネスモデルとは違うビジネスモデルで、むしろ全国のネットワークがあって地域を越えた支援ができるということ、連携であったり場合によってはM&A的なそうした再生支援ができるというノウハウも持ってきているわけであります。

したがって、今回政府保有株を2年で手放して、民間とイコールフッティングの立場でこれを確実にしながら職員の意識も民間金融機関としての自覚を持ってもらって、さらに中小企業の皆さんに支援を一段と踏み込んでもらうということを確保し、一方でそれぞれの地域にある金融機関とは違うビジネスモデル、繰り返しになりますけれども、職員の数が多いわけでも支店の数が多いわけでもない中で、地域の金融機関がそういう吸い上げてきたものと連携して、地域の金融機関と連携して中小企業の支援に取り組むというビジネスモデルを是非確立していただきたいと思っております。

そうした大きな方向性の中で更に2点申し上げれば、いざというときの危機対応業務は残すということ、そしてもう一点は民業圧迫回避規定を入れたということ、この下で地域の金融機関と連携をして中小企業の支援に取り組むと、そうしたビジネスモデルの確立を是非経済産業省としても応援していきたいと思いますし、商工中金としてできるだけ早く確立していただきたいと考えております。

LNG

Q: 豪州についてお伺いします。

日本のLNG最大供給国である豪州で、7月1日に温室効果ガス排出削減制度のセーフガードメカニズムが改正されます。改正後にガス田を新設する場合、排出量のネットゼロが求められる内容となっておりますが、日本からの豪州でのガス田、LNG投資への影響についてお伺いさせてください。また、政府として対応策があったらお伺いできますでしょうか。

A: このたびの御指摘の豪州政府のセーフガードメカニズムの改正は、我が国が豪州で行ってきているLNG事業に与える影響は極めて大きいものがあると承知しております。

もちろん環境対策の重要性、これについては日豪で完全に共有しておりますけれども、しかし、既に投資決定されたプロジェクトにまで事業の初日にネットゼロを求めるということは、まさに想定をしていなかった追加コストが発生します。後から規制が加わるということで遡って適用されることになってしまいますので、まさに海外投資家の保護に反していると考えております。

私はTPPの交渉も行ってきましたし、オーストラリアとは連携して、このCPTTPの成立にも取り組んできた一人であります。まさにTPPの求める投資の保護というところからも大きな懸念があるということであります。そして、制度に不明瞭な点があるという事業者からの声もあります。

私自身、今申し上げたような点について、直接、ボーエン気候変動エネルギー大臣に対して会談も行って柔軟な対応を求めてきているところであります。岸田総理からも、アルバニージー首相に同様の申入れも行っていると承知しております。

引き続き、環境対策、これは最大限行っていくものでありますが、日本の投資家の保護とLNGの安定供給につながる対策について、豪州側と引き続き協議を行って、双方が納得いく解決策を見いだしたいと思っております。

事務的に、引き続き緊密にやり取りを行っておりますけれども、必要に応じて、私自身も、また閣僚間でもこうした協議を行っていきたいと考えております。

電力政策

Q: 政府の規制改革実施計画の案に大手電力の送配電部門の所有権分離について検討する内容が盛り込まれましたが、経産省としての受止めと、今後の対応について教えてください。

A: 本日閣議決定をされました規制改革実施計画ですね、ここにおきまして、送配電部門の所有権分離について、その必要性や妥当性、長所、短所を含めて検討するということにされたものであります。

今般、生じました情報漏えい、不正閲覧事案につきましては、これはもう何度も申し上げていますけれども、電気事業の中立性、信頼性に大きな疑念を抱かせるものであります。極めて遺憾であると考えていますし、このことは電力会社にも伝えているところであります。そして4月には業務改善命令を各社に出しまして、再発防止の取組を進めているところであります。

また、電力システム改革の趣旨に沿った小売電気事業の健全な競争環境の実現に向けて、いろいろな点から検討を進めておりまして、一つには、一般送配電事業者が保有する非公開情報へのアクセス遮断、これを徹底する制度、仕組みの構築でありますし、いわゆる物理的な分割というやつですね。

それから、内外無差別で安定的な電力取引を実現する仕組みの構築、それから魅力的で安定的な料金、サービスなどの選択を可能とする事業競争環境の整備、こういったことにつきまして、資源エネルギー庁、そして電力・ガス取引等監視委員会の有識者会議において検討を進めているところであります。様々な論点があります。海外の事例なども参考にしながら検討を進めておりますが、財産権との関係、あるいは資金調達面での影響、あるいは災害が起きたときの対応など留意すべき課題もございますが、いずれにしても、この有識者会議において具体的に引き続き御議論いただいて、検討結果を踏まえて必要な対策を講じたいと思いますし、いずれにしても小売電気事業の健全な競争が行われる環境はしっかりと実現していきたいと考えております。

貿易管理

Q: 政府がウクライナに提供する砲弾を製造するアメリカに対して、砲弾の原料となる火薬を提供する方向で調整し、経済産業省も外為法に基づいて輸出を認める方針との報道がありますが、事実関係と調整の状況について教えてください。

あとほかの報道では、砲弾そのものを提供するとありますが、こちらについても事実関係を。砲弾そのものをアメリカに提供するという報道もありますが、こちらについてもよろしくお願いします。

A: 報道については承知しておりますが、御質問の案件の有無を含め、個別案件について、お答えすることは差し控えたいと思います。

その上で、一般論として言えば、火薬類は外為法上の規制対象となります。規制対象となりますが、このうち、軍隊が使用するものであって直接戦闘の用に供されるものは、防衛装備として防衛装備移転三原則の対象となるということでありますが、個別案件についてはお答えすることを差し控えたいと思います。

産業技術研究所研究員逮捕

Q: 昨日、警視庁公安部が産総研の中国籍研究員を、先端技術を漏らしたという容疑で逮捕しました。報道によると認否はまだ明らかにしないということですが、経産省所管の法人でこんなことが起きたことについて、当然、何か今後対応されていく考えは、もう既に実施であれば、そのことを含めて教えてください。

A: 産総研ではこれまでも情報管理に関する組織体制、あるいはシステム、ルールの整備などを進めてきておりましたけれども、結果として、今回このような形で逮捕者が出てしまったこと、誠に遺憾であります。

今回の逮捕につきましては、捜査中の事案であるため、詳細なコメントは控えたいと思いますが、経済産業省としては、昨日改めて事実関係の確認と、更なる情報漏えい対策、そして、法令遵守の徹底などの対応を行うよう、産総研に指示したところであります。

経産省としては、産総研とともに、当局の捜査に全面的に協力したいと思っています。

また、今回の事案に当たって、やはりセキュリティークリアランス制度の導入、これを含む情報保全の強化の重要性を改めて認識したところであります。現在、内閣官房中心に制度検討が行われておりますが、これについてもしっかりと経産省としても取り組んでいきたいと思いますし、また、それと同時に、研究の健全性、公正性の確保、また不正競争防止法、外為法、こうした関連法令に基づく管理徹底など改めて取り組んでいきたいと考えております。

以上

最終更新日:2023年6月22日

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