経産省・新着情報

2023年6月20日(火曜日)
10時40分~11時02分
於:本館10F記者会見室

冒頭発言

価格転嫁

まず1つは、3月の価格交渉促進月間におけます価格転嫁などの実施状況について、調査結果を公表したいと思います。
まず、パネルの1枚目ですけれども、コスト転嫁分のうち、価格転嫁率、上昇分のうちどれだけ転嫁できたかということで、9月のときは46.9%だったのが、47.6%ということで、若干の改善であります。
そして、こちらを見ていただくと、全く価格転嫁できていない企業が2割から23.5%とちょっと増えていまして、一方で、転嫁できた企業も35%から40%近くまで増えております。ある意味、二極化が進んでいる状況でありまして、転嫁が進む一方、できていない企業も多いということであります。
そして、コストのうちエネルギー費、労務費については、それぞれ5ポイント、これは転嫁できた理由で、あと、業種ごとにまた出していますので、トラックが例によってまた低い、放送コンテンツ、この辺りは非常に低い状況になっております。
コストのうちエネルギー費、労務費については、それぞれ好転しているということでありますが、詳細は詳しく、また事務方から説明します。
それから、次のページで、7月から全国のよろず支援拠点に、価格転嫁サポート窓口を設置して、中小企業に対して原価計算手法の習得などの支援をしていきたいと思っております。
そして、パネルの3枚目ですけれども、今後、前回も行いました発注側企業の価格交渉と価格転嫁状況のリストの公表、それから、事業所管大臣から経営トップへの指導、助言などを行いたいと思っております。
2つ目に、下請Gメンがこれまで取引情報をヒアリングなどでいろいろ聞いていますので、それを踏まえて、各業界団体の自主行動計画の改善、徹底につなげていきたいと思っております。
いずれにしましても、いろんな資材、物価が上がっております。また、労務費、エネルギーも上昇する中で、発注者も含めて、サプライチェーン全体でそれを分かち合うと、負担を分かち合いながら、共存共栄を目指すということが重要であります。
これ、大企業にとってみても、しわ寄せを中小企業、協力企業にも行うこと、また、転嫁を認めないことは、結果として自分の首を絞めることになると思いますので、中小企業は存立ができなくなるわけですので、大企業側、発注側、是非、価格転嫁をしっかりと交渉して認めていただきたいと思います。
そして、1枚目に戻ってもらって、トラック、こんな低い状況で価格転嫁ができないと、物が運べなくなりますので、トラック業界も是非、強気で交渉していただきたいと。人が足らない、エネルギーコストが上がっているという中ですので、交渉していただければと思いますし、それをやっぱり認めてほしいと、荷主側は是非認めていただきたいと。運べなくなるわけですから、自分の首を絞めることになりますので、是非今の状況を真摯に受け止めていただいて、価格交渉をしっかりと行っていただきたいと思いますし、受け止めていただきたいと思いますし、転嫁を認めていただきたいと思います。サプライチェーン全体で存立していく、まさにそういう危機に瀕しているわけでありますので、是非こうした結果を踏まえて、それぞれの事業者の皆さん、対応していただければと思います。

リスキリング

2つ目に、令和4年度の第2次補正予算で措置しましたリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業についてでありますが、750億措置をされているんですが、今回51件採択し、約200億円程度支援をしていくことにいたします。
まず、とにかく所得を上げていくためにはキャリアアップが必要ですので、社内、転職問わず、また正規、非正規問わずキャリアアップをしていく、そしてそれに対して企業側も人への投資、是非賃上げ含めて行っていただきたいと思いますし、政府としていろんな取組を支援していく中で、キャリアアップ、応援していきたいと思います。
今回、政府全体でそういう取組をする中で、経産省として転職を視野に入れながらキャリアアップしていく、そうした方々への支援でありますが、リスキリングで今回約50件のうち約4割がプログラミング、それからビジネススキルも含めて6割近くなりますか。そして全体的なもの、医療・介護分野、それからウェブデザイン、動画編集、デジタル技術ですね、こういった分野への支援を行っていきたいと思います。
特にいわゆる大企業の正社員の方々は、これまで終身雇用で閉ざされた世界で、要は一本道でキャリアアップというか、社内で行動していくわけですけれども、この流動化の市場がなかなかなかったというわけですが、最近、若い方々を中心にそうしたキャリアアップ志向もありますので、是非こうした事業も活用していただきながら、キャリアアップをして所得を上げていく、そうした方向性、是非応援していきたいと思います。
今回のこうした事業で採択を公表いたしますが、是非それぞれの皆さん、自分自身のキャリアを見つめ直す、今後どういう人生を歩んでいくのか、どういうキャリアを積んでいくのか、どういう技能を身に付けていくのか、どういう経験をするのか、是非考えていただきながら、自分にふさわしいこうした事業を取り組んでいただければと思います。
例えば、今回採択をした事例を幾つか紹介しますけれども、設立10年ほどの企業ですが、女性に特化をして、今、結婚、出産のライフイベントに不安を抱える20代から40代の女性に対して、職場復帰とか、あるいはリモートでいろんなことができる、いろんなITの技術なども含めて支援をしていこうという取組です。
2つ目、これも入社3年目から15年目、比較的若い世代、20代から40代ぐらいを対象にスタートアップ企業への経験を積むと。ベンチャー企業、スタートアップ企業への転職の支援。大きな組織の中で働くよりも、何かもう少し小さな組織であるけれども、それを大きくしていくことのそうしたマインドセットなどを学ぶということであります。
次も設立10年ぐらいの企業ですけれども、これはやや比較的年齢が高い層も含めて、大企業所属のゼネラリストと呼ばれるいろんなことをやってきた方々にデジタルの技術などを身に付けてもらって、更に企業課題の整理なども立案していく、そうした実践力を身に付けてもらって、中堅・中小企業への転職も考えてもらえるようにします。
次も設立新しい企業ですけれども、コロナ禍でアパレルとかブライダルとか飲食とか非常に厳しい状況にあった方々に、マーケティング、デジタルマーケティング、あるいはシステム開発などの支援を行って、そしてウェブ開発など行っていく、システム開発などを行っていくという、比較的若い層向けの支援だと思います。
それぞれ多彩なこうした企業、スタートアップも含めて、女性であるとか、若者であるとか、中高年であるとか、あるいはデジタル化とか、サービス業とか、いろんな多岐にわたる事業を、リスキリングの事業を行うということで採択をいたしました。非正規の方も使えますので、いずれにしても正規、非正規問わず、また社内でキャリアアップを目指すのか、転職を目指すのか問わず、政府全体としてはキャリアアップし所得を向上させていく、そうした取組を人への投資、岸田政権の言わば一丁目一番地であります。経産省としてもこうした形でしっかりと支援していきたいと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

電力会社カルテル

Q:大手電力会社によるカルテル問題に関してお伺いします。昨日、電力・ガス取引監視等委員会が経産大臣に対して、カルテルをしたとされる電力5社に業務改善命令を出すようにとの勧告がありました。この勧告の受け止めと経産省としての今後の対応方針、対応のスケジュール感を教えてください。よろしくお願いいたします。

A: 御指摘のように、大手電力会社によるカルテル事案に関しまして、昨日6月19日付で電力・ガス取引監視等委員会から、電気事業法に基づき、私から業務改善命令を行うよう勧告がありました。関西電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力、九電みらいエナジーの5社に対してであります。カルテルに関する公正取引委員会の事実認定や処分内容等を受け入れているか否かにかかわらず、大手電力会社間で長期にわたって相互のエリアにおける小売の営業情報の交換を行ってきたこと、こうしたことはまさに電気事業の健全な発展に大きな支障を及ぼすおそれがあるものです。極めて遺憾であると認識をしております。電力・ガス取引監視等委員会からの勧告内容を踏まえて厳正に対処していきたいと考えております。

ALPS処理水

Q:本日閣議後、大臣とあと多田次官、片岡グループ長と総理と面会されていたと思います。恐らくALPS処理水の件かなと思いますけども、どういったお話をされたのか御紹介できるものがあれば、また、6月に入って大臣、福島、宮城、茨城と行かれて、さらに昨日は北海道の漁業関係者とお会いして、漁業関係者の方と精力的にお会いされていますけど、漁業者の理解醸成に向けてのお話というのも総理とはあったのでしょうか。

A: まさに政府の方針として、このALPS処理水の海洋放出、これは福島第一原発の廃炉、そして福島の復興を考えていく上で、進めていく上で避けては通れない課題であるということで、政府としては今年の春から夏頃の時期に放出を見込むということで決めているところです。そうした方針の下で、まず東京電力福島第一原発の海洋放出に向けての工事が着実に進展をしているという、その進捗状況、それからこの間、漁業者の皆さんと私もいろいろ意見交換をしてきた、説明をしてきた、そうしたことについて本日、御報告をさせていただきました。
漁業者の皆さんそれぞれの切実な思いを私自身もお聞きしておりますので、そうしたことに対して政府で用意をしている様々な施策を説明し、まずは安全性の確保、そして風評被害がないように万全を期していく。万が一風評被害が生じた場合には、様々な予算も用意しておりますし、最終的には東電の賠償ということになっていくわけでありますけれども、そうした事柄について説明をしてきておりますので、そうしたことについて、岸田総理に今日は状況について御報告いたしました。
総理からは、引き続き継続して漁業者の皆さん始め関係者の理解が得られるように丁寧に説明を、そして意思疎通、意見交換、引き続き継続してやってほしいということのお話がございました。引き続き、私も意見交換、丁寧な説明をしっかりとしていきたいと思いますし、IAEAの包括報告書が今年の前半に出されるという予定になっておりますので、そうしたものも踏まえながら、国内外に丁寧に説明をしていきたいと思います。

電力会社カルテル

Q:先ほどのカルテル問題についての追加質問なんですけれども、今回対象になっている5社は、このほかの問題でも業務改善命令を受けたり、次出されれば3度目という会社もありますけれども、こうした一連の事案を含めた受け止めをもう一度お伺いできれば、よろしいでしょうか。

A: 電力市場をめぐっては、地域独占で電力事業が行われてきたという中で、競争が行われてこなかった。そうした中で電力料金あるいは経営の効率化、こうしたことに課題があるという中で、自由化に向けて我々は取り組んできたわけであります。そのことについては、多くの新電力の小売事業者も参入し、この間、電力料金が下がるなど、そして様々なメニューが提供されるなど一定の効果があったものと、成果は上がったものと思います。
ただ、御指摘のように、そうした中でもまだそれぞれの大手電力会社の、これは過去からの遺物だと思いますけれども、体質あるいは意識の中で不正閲覧の問題であるとか、こうしたカルテルのことが起こっていますので、私どもとしてより効率的に、そして健全に、そして信頼を得た市場になるように、今回の一連の事案をしっかりと検証し、引き続き検討していきたいと考えております。
そうした中で、今回はカルテルの事案についての業務改善命令を行うようにという勧告でありますので、必要な手続を取りながら、事業者の意見を聴くといった手続を取りながら必要な改善命令を行っていきたいと考えております。

為替

Q:為替の方についてお伺いしたいんですけど、142円を突破して7か月ぶりの円安水準になっているんですけど、従来から言われているように、為替の変動に関しては、円安ではなくプラス面、それからマイナス面ということが経済全体には考えられると言われているんですけど、改めて大臣の現時点でのプラス面とマイナス面に関しての受け止めと、どちら側が全体として上回るというか、そういうことについても見解があればお伺いさせていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

A: 為替の水準について、私の立場から申し上げることは差し控えたいと思いますが、何より、これは多くの事業者にとってそうだと思うんですけれども、安定することが重要だと思いますので、過度な変動あるいは投機的な動き、こうしたものにはしっかりと注視をしていかなきゃいけないと思っております。
そうした中で、プラスマイナスそれぞれありますので、輸出輸入それぞれ携わっている事業者もおられますが、円安によって利益が生じる、そうした企業については、先ほどの転嫁のことでありますけれども、しっかりといろんな物資の値段は上がっていきますので、是非協力企業、中小企業のそうした価格転嫁の交渉を受け止めていただいて、是非転嫁を認めていただきたい。そして、その利益についてしっかりとサプライチェーン全体で利益や負担を分かち合いながら、全体として所得が上がっていく、賃上げが行える、そうした環境を作っていくことが重要だと思っております。

もちろんマイナスになる企業もありますので、そうした厳しい状況になる企業もあると思いますけれども、様々中堅・中小企業には支援策、ものづくり補助金、事業再構築補助金、そして為替の変動、エネルギーの変動に強い体質に変えていく、新たな事業を含めて進めていく、また省エネの設備をこの機会に替えていく省エネ補助金など様々な支援策がありますので、そうしたことも活用しながら、一喜一憂することなく、中長期的、持続的に成長できる、そうした体質を作っていくことが重要だと考えております。

以上

最終更新日:2023年6月22日

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