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令和5年6月22日
「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」のラウンドテーブルでスピーチする、林大臣の様子(ステージ全体)
「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」のラウンドテーブルに出席した林外務大臣

 現地時間6月22日午後3時8分(日本時間同日午後10時8分)から約70分間、フランスを訪問中の林芳正外務大臣は、「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」のラウンドテーブル「SDGsのための民間セクター動員:持続可能なインフラと中小企業金融」に出席したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 本ラウンドテーブルの前半部分において、林大臣は、新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻により2030年までのSDGsの進捗に遅れが生じている中、G7は、国際的なパートナーと連帯し地球規模課題に対処すること、資金ギャップの対処のためより多くの国内資金や民間金融資産を動員すること、ODAの規模を拡大すべく継続的な努力を行うことを確認した旨を強調しました。その上で、G7広島サミットで謳われた連帯の原理がここパリの首脳会合でも共鳴していることを歓迎するとともに、3つの連帯の重要性を指摘しました。
  2. 林大臣は、まず、第一点目として、開発途上国の民間企業の繁栄には、公共セクターによるインフラや中小企業への投資が不可欠であるとして「民間企業との連帯」の重要性を指摘しました。その上で、開発途上国のカーボンニュートラル達成を後押しする「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」、G7エルマウ・サミットにて立ち上げられた「質の高いインフラ」のための公的及び民間投資促進のためのグローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII: Partnership for Global Infrastructure and Investment)といった国際的な連携への評価を述べました。
  3. 次に、林大臣は、第二点目として、公的セクター及び民間セクターが資金を通じ連帯を示すべきとしつつ「資金調達における連帯」の必要性を主張した上で、SDRチャネリングの新規配分額の20%から40%までの増額、2022年に年間175億ドルに達した世界第3位の日本のODA実績、気候変動や国際保健分野の拠出等の日本の貢献を紹介するとともに、開発効果の最大化を図るための国際開発金融機関(MDBs)改革への支持を表明しました。
  4. そして、第三点目として、林大臣は、連帯は開発途上国のオーナーシップを尊重しながら実践されるべきとして「オーナーシップとの連帯」の意義を指摘しました。また、資金調達の目的は被援助国の統治能力を高め開発をより持続させることであり、日本は公共財政管理等の分野における能力開発プロジェクトを推進してきた点を強調しました。
  5. 加えて、林大臣は、開発資金は透明かつ公正でなければならず、開発途上国の債務の持続可能性を害してはならないとし、債務者及び債権者に対し、国際的なルール・スタンダードに従いバランスのとれた持続可能な成長に資する開発資金を推進することを求めました。
  6. 本ラウンドテーブルの後半において、林大臣は、開発途上国の中小企業が雇用の重要な受け皿となっている一方で金融機関からの支援が不足している点を指摘した上で、「オーナーシップとの連帯」に資する日本の具体的な貢献として、国際協力銀行(JBIC)法の改正、「アフリカ民間セクター支援強化事業(EPSA)」の立ち上げ、開発途上国におけるビジネス・イノベーション創出のための「NINJAプロジェクト」を通じたアフリカの起業家の支援の例を紹介しました。
  7. 同ラウンドテーブルには、サル・セネガル大統領、ルノーバッソ欧州復興開発銀行(EBRD)総裁、ディオップ国際金融公社(IFC)長官、リウー仏開発庁(AFD)総裁等が出席しました。
(参考)仏政府主催「新たな国際的開発資金取決めのための首脳会合」

 2022年11月のG20バリ・サミットにおいて、マクロン仏大統領が開発資金ギャップの問題に取り組むことを目的に提唱。2023年6月22日~6月23日、フランス・パリにおいて開催された。


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