外務省・新着情報

ロシア情勢(プリゴジン氏、ワグネルの動向、ウクライナ情勢に与える影響等)

【NHK 岩澤記者】ロシアのワグネルの代表、プリゴジン氏が起こした武装反乱について伺います。プリゴジン氏は、政権転覆の意図はなかったなどと主張する一方で、ロシアのプーチン大統領は、武装反乱を激しく非難していますが、今回の反乱が、ウクライナ情勢に与える影響を、どのように見ているか伺います。また、モスクワ市やモスクワ州では、昨日、対テロ作戦の体制が解除されましたが、ロシアにいる在留邦人への注意を呼び掛けは、続けるお考えでしょうか。

【林外務大臣】政府といたしましては、プリゴジン氏やワグネルの動向をめぐるロシア国内情勢につきましては、引き続き、重大な関心をもって注視していく考えでありますが、本件がウクライナ情勢に与える影響について、予断をもってお答えすることは差し控えたいと思います。
 また、在留邦人に対してですが、従来から、ロシアのウクライナ国境周辺にレベル4の「退避勧告」や、その他全土にレベル3の「渡航中止勧告」を出しておるところでございまして、引き続き、商用便による出国の検討について、呼びかけているところでございます。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、在留邦人の安全確保に万全を期す考えでございます。

【朝日新聞 上地記者】関連しまして、ロシア情勢について伺います。今回の、日本政府として、ワグネルの動きや軍備増強の把握を、どのようにされていたのでしょうか、また、今後の影響など分析をお伺いします。また、米国の一部報道では、ワグネル関係者や、米国側の制裁を延期するという報道もあります。日本政府として、ワグネル関係者への制裁についても、併せてお伺いします。

【林外務大臣】プリゴジン氏やワグネルの動向については、先ほども申し上げましたが、政府として、重大な関心をもって注視してきております。
 6月24日に開催されましたG7外相電話会合、ここにおきましても、ロシア情勢を含む国際社会が直面する喫緊の課題について議論を行いました。そして、G7として、引き続き緊密に連携していくということを確認したところでございます。
 ただ、政府の把握している情報の詳細につきましては、お答えを差し控えたいと思っております。
 また、このワグネル関係者の制裁でございますが、日本政府として、民間軍事会社ワグネル及びプリゴジン氏本人を含めて、関係者に対して、既に制裁を導入済みでございます。今後もG7と、引き続き、連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

ALPS処理水に関連した偽情報への対応

【共同通信 桂田記者】ALPS処理水の関係でお伺いします。外務省は、22日、ALPS処理水の海洋放出をめぐり、日本政府がIAEAに対して政治献金を行ったなどの海外の一部メディアの報道に対して、「偽情報」だとする、否定する報道を発表しました。放出予定時期が迫る中、こういった報道に対して、今後、外務省としてどのように対応し、日本政府の立場に理解を求めていくお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】既に発出をさせていただきましたこの報道発表のとおり、今、ご指摘のありました報道が依拠している、外務省幹部との会談録と称する出所不明の文書、これは全くの事実無根であります。
 こうした悪意のある偽情報の拡散は、我々の社会が基盤を置いている自由そして民主主義といった普遍的価値に対する脅威であると考えております。日本政府として、このような無責任な偽情報に対しては、今後とも強く反対いたします。
 また、ALPS処理水の海洋放出の安全性につきましては、政府として、高い透明性をもって、科学的根拠に基づき、丁寧に説明をし、国際社会の理解が一層深まるように、引き続き、取り組んでいく考えでございます。

フランスの対中姿勢

【産経新聞 岡田記者】フランスの対中姿勢について伺います。マクロン大統領は、4月に、中国に国賓訪問した際に、台湾情勢について、欧州は、米中どちらにも追随すべきではないという発言をして物議を醸しました。また、NATOが検討する東京事務所の設置についても、難色を示したと伝えられています。フランスは、中国に接近して、米国の対中強硬策と距離を置いているという、そういう指摘もありますが、こうしたマクロン大統領の動きについて、日本政府として、どうご覧になっていて、また大臣の受け止めについて教えてください。

【林外務大臣】他国の外交政策について、我が国として、コメントをすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げますと、先月のG7広島首脳コミュニケにおきまして、G7として、中国と率直に関与し、また懸念を直接表明することの重要性、これを認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある旨を確認したところでございます。
 また、フランスとの間では、二国間関係に加えまして、中国を含め地域情勢等についても日頃から意思疎通を行っております。私(林大臣)自身、今月21日に、ロンドンにおいてG7外相会合を開催いたしましたほか、22日には、パリで、コロンナ仏外相と日仏外相会談を実施して、連携を確認したところでございます。
 我が国として、今回のG7広島首脳コミュニケの内容も踏まえつつ、引き続き、G7メンバーや同志国との間で、緊密に連携してまいりたいと考えております。

日・レバノン関係

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 カルロス・ゴーン前日産社長が、10億ドルの賠償を求めて日産を提訴しました。
 これは明らかに外交問題ではなく、法律上の問題ですが、本訴訟に関する日本政府の立場は、どのようなものでしょうか。そして、日・レバノン関係の文脈で、本訴訟をどう見ていますか。現在の二国間関係は本訴訟により、どのような影響を受けるでしょうか。ありがとうございました。

【林外務大臣】今、ご指摘のあったような報道は承知しております。他方、今あった件は、まさにおっしゃられたとおり、民間人と企業との間の訴訟案件でありますので、事柄の性質上、政府の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。
 一方、ゴーン被告人が、日本から不法に逃亡したこと、これは誠に遺憾でありまして我が国として到底看過できるものではないと考えております。同被告人は、日本の裁判所において裁判を受けるべきであり、こうした点をレバノン政府に対しても、様々な機会に繰り返し申し入れを行っております。
 その上で、日・レバノン関係について申し上げますと、レバノンは中東地域の平和と安定のため重要な役割を有しておりまして、日本もこれまで、シリア難民への対応を含めて様々な支援を実施してきております。こうした支援については、引き続き、レバノン政府と連携しながら、必要な措置を行ってまいりたいと考えております。

日・リヒテンシュタイン関係

【毎日新聞 川口記者】英国外遊中のバイ会談についてお伺いします。大臣は、21日、リヒテンシュタインのハスラー大臣と初の外相会談を行いましたが、歴史上初めての会談を開けたことの意義と、今後の二国間関係をどういうふうに築いていくお考えか、2点お願いいたします。

【林外務大臣】6月21日ですが、ロンドンで開催されました「ウクライナ復興会議」の機会に、リヒテンシュタインとの間で、1996年の外交関係樹立以来、初めてとなります外相会談を行いました。
 会談では、リヒテンシュタインが主導されました「安保理での拒否権行使時の総会開催に関する国連総会決議」、この意義に触れながら、国連改革についても、今後とも協力・連携していくこと、更に、ロシアによるウクライナ侵略への対応について、引き続き、同志国が結束して対応していくということで一致をしたところでございます。
 基本的価値を共有するパートナーでありますリヒテンシュタインとの間で、今後の二国間協力の基礎となる有意義な意見交換を行うことができたと考えております。

日・中央アジア関係

【共同通信 桂田記者】中央アジアについてお伺いします。先日、自民党の中央アジア友好議連が、岸田首相と面会し、日本と中央アジア5カ国による首脳会談を定期開催するよう求める提言書を手渡しました。その際、首相からは「準備するよう外務省に指示する」との発言があったと報道がありますが、検討状況を教えてください。また、中国は、G7広島サミットと同時期に、中央アジアとの首脳レベルのサミットを開くなど関与を強めていますが、同地域の重要性について、大臣のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】我が国は、2004年でございますが、他国に先駆けて、地政学的に重要であります中央アジア5か国との対話の枠組みとして、「中央アジア+日本」対話、これを立ち上げまして、友好と相互信頼に基づくパートナーシップ及び互恵的協力を深化させてきております。
 ロシアによるウクライナ侵略によりまして、中央アジア諸国が様々な影響を受ける中、これらの国々との協力と連携、これまで以上に重要になってきております。特に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くためにも、中央アジア諸国との連携が大変重要でございます。
 こうした中で、昨年12月には、中央アジア5か国の外務大臣が初めてそろって訪日をされまして、東京で「中央アジア+日本」対話・第9回外相会合を対面で開催をいたしました。同会合では、特に「人への投資」、そして「成長の質」に重点を置いて、連携を強化することで一致したところでございます。
 政府として、引き続き、この対話の枠組みを始め様々な機会を効果的に活用し、重要なパートナーであります中央アジア諸国との関係を、更に発展させるべく取り組んでまいりたいと考えております。
 御指摘の議連からの提言につきましては、総理から、中央アジア5か国との首脳会合の開催の可能性を含めて、しっかりと検討していく旨述べられておりまして、外務省としても、しっかりと検討していきたいと考えております。

松田駐ウクライナ大使によるウクライナ政府関係者との面会

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ情勢について、5月15日付のワシントン・ポストで、ウクライナの軍事情報局とワグネルのトップであるプリゴジン氏が内通していたと報じられた後、ウクライナ国防省軍事情報局のキリノ・ブダノフ長官は、ロシア軍の攻撃によって重傷を負ったとされ、ドイツの病院に搬送された5月29日以降、公の場に現れず、死亡説まで流れました。しかし、6月21日、ブダノフ長官が、日本の松田邦紀駐ウクライナ大使とともに並んで立つ写真が公開されました。大使は、ブダノフ長官の生存を世界に証明するために訪問したのでしょうか、狙いを教えてください。また、誰の指示でブダノフ長官に会いに行ったのでしょうか、大臣なのか、森健良外務次官なのか。また、この大使の動きは、米国やNATO諸国の要請を受けたものでしょうか、その点も含めて事実確認をさせてください、よろしくお願いします。

【林外務大臣】松田大使は、駐ウクライナ大使といたしまして、外交活動の一環として、ウクライナ政府関係者、また有識者等との間で、日常的に意見交換や協議を行っております。
 20日に、松田大使は、ブダノフ国防省情報総局長と意見交換を行っておりますが、本意見交換も、そうした外交活動の一環として実施されたものでございます。

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