経産省・新着情報

2023年6月29日

同時発表:消費者庁、国土交通省、消防庁

日本版「製品安全誓約」は、OECDが公表した「製品安全誓約の声明」を踏まえて、リコール製品や安全ではない製品がもたらす、生命・身体に及ぼすリスクから消費者をこれまで以上に保護することを目的として、消費者庁、総務省消防庁、経済産業省及び国土交通省といった消費者向け製品の関係省庁とオンラインマーケットプレイスの運営事業者との協働により策定したものです。
日本版「製品安全誓約」は、本日、令和5年(2023年)6月29日時点で、主要なオンラインマーケットプレイス運営事業者7社が署名しました。
署名したオンラインマーケットプレイスを運営する事業者では、①リコール製品や安全基準等を定める法令に違反した製品の出品を削除する取組、②消費者からリコール製品や安全基準等を定める法令に違反した製品の出品が通知された場合の取組、③さらに、こうした取組を実施するための内部管理体制が構築・維持されることとなり、その事業者が運営するオンラインマーケットプレイスにおいて購入する製品の安全性の更なる向上が図られることとなります。

1.製品安全誓約

日本版「製品安全誓約」(以下、単に「製品安全誓約」といいます。)は、OECD(経済協力開発機構)が公表した「製品安全誓約の声明(注1)」を踏まえて、関係省庁と主要なオンラインマーケットプレイス (注2)(Online Marketplace。以下「OM」といいます。)を運営する事業者との協働により策定したものです。

製品安全誓約は、OM上において出品・販売される、リコール製品や安全ではない製品(注3)が製品火災等の生命・身体に及ぼすリスクから消費者をこれまで以上に保護(注4)することを目的とした、製品安全に係る法的枠組みを超えた「官民協働の自主的な取組(注5)」であり、その対象は、大規模インターネットモールのようなBtoC型ビジネスとともに、オンラインフリーマーケットやインターネットオークションのようなCtoC型ビジネスの両方をカバーしています。

なお、製品安全誓約は、①全12項目で構成される「製品安全誓約本紙」(別紙1のとおり)のほか、②OM運営事業者が製品安全誓約の内容を理解する際の参照資料となる「事業者向けガイダンス」(別紙2のとおり)、③消費者庁、総務省消防庁、経済産業省及び国土交通省といった消費者向け製品の関係省庁(以下「関係省庁」といいます。)(注6)による「安全ではない製品」等に関する考え方、具体的な取組内容及び手続を取りまとめた「担当者向け手引き」(別紙2のとおり)により構成されており、官民協働で製品安全誓約を実施することとなります。

(注1)消費者庁ウェブサイト「OECD 製品安全誓約の声明」外部リンク参照。
(注2)オンラインマーケットプレイスは、日本国内において、モールやオンラインモールとも呼ばれますが、オンラインで製品の取引の「場」を提供している事業者が製品安全誓約の対象となることを明確化するため、「オンラインマーケットプレイス」と表します。
(注3)アプリストアやデジタル広告は製品安全誓約の対象外です。
(注4)製品の安全性確保に向け、OM運営事業者が行う出品削除や関係省庁が行う注意喚起を始め、これまでも官民が協働で取り組んできましたが、製品安全誓約は、これを拡大・充実させるものです。
(注5)製品安全誓約は、自主的な取組であり、特定の法律に基づくスキームではありません。
(注6)関係省庁は、今後増加することを想定しています。

2.製品安全誓約へのOM運営事業者の参加

製品安全誓約の全12項目を実施するに当たり十分な能力(注7)を有するOM運営事業者が参加を希望する場合、あらかじめ、製品安全誓約に記載された全12項目の実施方法が記載された資料を提出するとともに、代表者が製品安全誓約に署名した後、消費者庁に対して、署名した誓約書の写しを提出します。

消費者庁は、消費者庁ウェブサイトに、署名した誓約書の写し、運営する全てのOM名、署名したOM運営事業者の一覧等の情報を掲載します。

なお、令和5年(2023年)6月29日時点で、署名したOM運営事業者は7社(別紙3のとおり)となっています。

(注7)製品安全誓約への参加に当たっては、自己資本規制比率を始めとする財務規制といった参加制限はありません。

3.製品安全誓約の具体的内容

製品安全誓約本紙(別紙1)に全12項目の誓約内容を掲げています。

例えば、署名したOM運営事業者は、リコール製品や安全ではない製品(注8)について、OM運営事業者自らによる規制当局等のウェブサイトの定期的な確認、規制当局からの要請に基づく出品削除を行うとともに、消費者から通知があった場合、あらかじめ自ら定めた処理プロセスに基づき適切な対応を行います。

また、OM運営事業者は、①悪質な販売者に対するアカウント停止を含めた適切な措置、②規約への明示等によるリコール製品や安全ではない製品の再出品を阻止するための適切な措置を実施するなど必要な体制整備を行います。

その上で、規制当局は、①リコール製品や安全ではない製品の販売者に関する情報等をOM運営事業者に提供する、②OM運営事業者に対して販売者向けの説明資料((一社)日本玩具協会のSTマークや(一財)製品安全協会のSGマークに関する情報等)を提供するなど、製品安全誓約が効果的に機能するために官民協働で製品安全誓約を実施することとなります。

こうした取組により、署名したOM運営事業者が運営するOMでは安全な製品が販売され、消費者の安全性の更なる向上が図られることとなります。

出品削除のイメージ図

(注8)例えば、PSマーク対象品目の製品で、法令で定める正規の表示を行っていない製品をいいます。具体的には、関係省庁が具体的に定めることとなります。

4.製品安全誓約の毎年の履行確認(継続的な品質確保)

消費者庁は、署名した全OM運営事業者から、毎年、重要業績評価指標(KPI)の実施結果の報告を受け、OM運営事業者における製品安全誓約に対する取組が継続的に実施されているかについて確認します。

さらに、消費者庁は、確認結果を取りまとめ、全関係省庁や全OM運営事業者と協議の上、署名したOM運営事業者全体の状況について公表を行います。こうした履行確認のプロセスを毎年経ることにより、製品安全誓約の品質を継続的に確保できることとなります。

5.製品安全誓約の国際的な動向と経緯

製品安全誓約は、欧州委員会と協働で平成30年(2018年)6月、オーストラリア競争・消費者委員会と協働で令和2年(2020年)11月に、韓国公正取引委員会と韓国消費者院と協働で令和3年(2021年)4月に、それぞれ複数のOM運営事業者により署名が行われてきました。

そして令和3年(2021年)6月15日~17日に開催されたOECD消費者国際会議において、「製品安全誓約」に求められる主要な取組(コミットメント)を示した「製品安全誓約の声明」が公表されました。

これを受け、日本も、令和4年(2022年)3月25日に開催した経済産業省(注9)「産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 製品安全小委員会及び消費経済審議会 製品安全部会 合同会議」において、製品安全誓約の策定に向けて取り組む旨報告したところです。

(注9)消費者庁と経済産業省は、消費生活用製品の一般法である消費生活用製品安全法を所管しています。

6.日本版の製品安全誓約の特色

製品安全誓約は、日本が加盟するOECDの「製品安全誓約の声明」に記載された項目に準拠しつつ、欧州・豪州等の状況を参考にしながら、日本国内の主要なOM運営事業者と綿密に連携しながら策定したものです。

製品安全誓約の策定前は、例えば、経済産業省が主要なOM運営事業者に対して、「法令違反が疑われる出品者に対する対応」を求めるなどの対応(注10)を行っていましたが、今回の製品安全誓約への署名により、日本におけるOM上の製品安全の枠組みが新たに構築(注11)されることとなります。

日本で実施する製品安全誓約は、欧州や豪州で実施している製品安全誓約の共通的なスキームを満たしています。さらに、日本独自の対応として、例えば、消費者対応について、「実際に取り組んだ業務フロー」等を重要業績評価指標(KPI)において毎年報告することとなっているなど、消費者保護をより重視した内容を盛り込んでいます。

日本における製品安全誓約の効果のまとめ図

また、国際的には、重要業績評価指標(KPI)の設定を伴う製品安全誓約として、欧州委員会、オーストラリア競争・消費者委員会に続く。

(注10)このほか、経済産業省においては、他国に先駆けて法令で規制対象とする製品の出品前審査等の連携関係を構築し、連絡会合の開催を通じて、OM運営事業者による出品前審査の実施や販売者に法令順守を促すためのパトロール等の実施を行ってきました。
経済産業省ウェブサイト「製品安全行政を巡る動向」外部リンク参照。
(注11)消費生活用製品を所管する複数の省庁において、①OM運営事業者が出品削除に当たり参照するウェブサイトの指定、②法律毎に「安全ではない製品」に係る定義の明確化により、出品削除の対象となる製品の範囲の拡大や網羅的な対応が可能となります。。

7.署名したOM運営事業者のコメント

今回、署名した7社の、製品安全誓約への取組に関するコメントは別紙4のとおりです。

 

関連資料

関連リンク

担当

産業保安グループ 製品安全課長 田中
担当者:小野塚、伊藤

電話:03-3501-1511(内線 4301~6)
メール:bzl-meti-ps-website★meti.go.jp>
※ [★]を[@]に置き換えてください。

発信元サイトへ