外務省・新着情報

冒頭発言

(1)グロッシーIAEA事務局長の訪日

【林外務大臣】まず、冒頭2件、発言がございます。
 まず、一件目でございますが、7月4日から7日まで、グロッシーIAEA事務局長が外務省賓客として訪日し、4日には会談及びワーキング・ランチを私(林大臣)が主催する予定にしております。また、滞在中、グロッシー事務局長は、政府関係者等と会談を行うほか、東京電力福島第一原子力発電所等を視察する予定でございます。
 我が国は、核不拡散と原子力の平和的利用の促進において重要な役割を担う、IAEAの取組を重視しておりまして、この度の訪日を通じ、日本とIAEAとの一層の関係強化を図る考えでございます。

(2)外務省社会人経験者選考採用試験

【林外務大臣】それから、二件目でございますが、この度、新たな取組といたしまして、外務省独自の社会人経験者選考採用試験を実施することにいたしました。課長補佐級と係長級のそれぞれについて応募を受け付けまして、総合職相当として採用いたします。
 日本を取り巻く国際環境が、かつてないスピードで変化し、我が国の外交課題も増大し、また複雑化しております。こうした中において、山田副大臣を始めとする省内関係者で議論を行ってきたところでございます。そして、豊富な実務経験と多様なバックグラウンドを持つ方々が、その知見を存分に生かし、外務省で活躍していくということが、今後の我が国の外交にとって不可欠である、そういう考えに至りまして、その結果、今般、選考採用を実施することにいたしたところでございます。
 募集期間は、8月7日月曜日から9月29日の金曜日まででございます。詳細は、外務省ホームページに掲載をされております受験案内をご覧いただければと思います。
 これまでの経験を生かしつつ、日本及び世界の平和と繁栄のために、外交最前線で活躍をしたい方々の応募をお待ちしております。
 私(林大臣)からは以上です。

グロッシーIAEA事務局長の訪日、偽情報

【共同通信 桂田記者】冒頭、ご発言のあったグロッシー事務局長の来日に関してお伺いします。既に報道されているとおり、来日される事務局長は、7月4日に岸田首相と官邸で面会し、ALPS処理水の海洋放出計画への評価を盛り込んだ包括報告書を渡される方向、ということでよろしいでしょうか。また、今回の来日は、先方から打診があって実現したものなのかという点も併せて教えてください。
 それに加えて、日本政府が、「IAEAの最終報告書を事前に入手し、その内容に影響を与えた」との韓国メディアの報道に対して、中国外交部が、先日の会見で、「日本政府は、納得できる説明をする責任がある」と指摘しています。この件について、政府として、何らか対応されるお考えでしょうか。

【林外務大臣】グロッシー事務局長は、訪日中に、4日に私(林大臣)との会談及びワーキング・ランチの予定をしております。
 他方で、岸田総理への表敬を含む滞在中のその他の日程につきましては、現在調整中でございまして、現時点で詳細につきお答えすることは差し控えたいと思います。
 また、御指摘の包括報告書につきましては、グロッシーIAEA事務局長は、6月上旬、包括報告書を数週間以内にまとめる旨発言したと承知しております。いずれにいたしましても、IAEAの責任の下で作成される文書でありまして、IAEA側にご照会をいただければと思います。
 なお、グロッシー事務局長は、外務省賓客として招待するものでございます。
 また、報道されておりますIAEAのものとされる文書について、日本政府としてコメントする立場にはございませんが、IAEAは、偽造の文書の存在を承知しておりまして、これはIAEAの文書ではなく、IAEAの立場を反映したものではないという立場であると承知しております。
 繰り返しになりますが、IAEA包括報告書については、IAEAの責任の下で作成される文書でありまして、日本政府として、その内容を操作しうる立場にはないということでございます。
 その上で申し上げますと、偽情報によりまして、IAEAの独立性・中立性を貶めようとする試みには、断固反対いたします。

ALPS処理水

【朝日新聞 高橋記者】東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について伺います。先ほど、林大臣を含めた関係閣僚が、官邸で意見交換をされたと思います。どのような協議がなされたのか、また、総理から、何らかの指示があったのか伺います。

【林外務大臣】ALPS処理水に関しまして、関係各省の取組につきまして、総理を含めた関係閣僚で情報共有するために、今朝、集まりました。総理からは、引き続き、政府を挙げて、安全性確保と風評対策の徹底、国内外に対する丁寧な説明・情報発信を行うように、指示があったところでございます。

グロッシーIAEA事務局長の訪日

【NHK 岩澤記者】冒頭のIAEAのグロッシー事務局長の訪日の関連で伺います。林大臣を含めた政府関係者との会談では、この福島第一原発に溜まる処理水を、基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画について、どのような議論を行いたい考えでしょうか。

【林外務大臣】この滞在中、グロッシー事務局長とは、ALPS処理水の海洋放出を含めて、様々な意見交換を行う予定でございますが、政府としては、原子力規制委員会による使用前検査、IAEAの包括的報告書の発出等、今からの予定をしっかりと見据えながら、この議論をしたいと思っています。

ALPS処理水

【朝日新聞 高橋記者】先ほどの関連で、総理からは、国内外に丁寧な説明をするようにといった指示があったということですけれども、海洋放出をめぐって中国が強く反発していますが、近隣国の理解を得られない限りは、海洋放出は難しい、すべきでないというふうにお考えかどうか、教えていただけますか。

【林外務大臣】総理からは、先ほど申し上げましたように、引き続き、政府を挙げて、安全性確保と風評対策の徹底、国内外に対する丁寧な説明・情報発信を行うように指示があったということでございます。その他のことについては、特に指示がなかったということでございますので、コメントは差し控えたいと思います。

北方領土の元島民らによる洋上慰霊

【北海道新聞 荒谷記者】北方領土の洋上慰霊について伺います。先日、北海道知事が、洋上慰霊を8月下旬から9月下旬に実施すると発表しましたが、政府として、実施に向けて、どのような支援を行っていく考えでしょうか。また、墓参の再開については、沖縄・北方委員会で、大臣が「ロシア側から肯定的な反応が得られてない」と答弁されていましたが、その状況の打開に向けて、どのような取組をしていくか、お考えをお聞かせください。

【林外務大臣】今、お話のありました「洋上慰霊」につきましては、先般の北海道知事また、千島連盟の代表者等による、岸田総理に対する要請の際にも、支援の要望があったところでございます。
 私(林大臣)も同席をいたしましたが、その際、総理からも、関係者のご意見をしっかりと伺いながら、政府として、必要な支援を実施するという旨のご発言がありました。本件については、内閣府が主体となって対応するものと承知しておりますが、外務省としても、内閣と密接に連携しながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
 その上で、ロシア側から北方墓参の再開に向けた肯定的な反応は、得られていないところでございますが、日本政府にとって、北方墓参を始めとする四島交流等事業の再開、これは、今後の日露関係の中でも最優先事項の一つでございまして、引き続き、ロシア側に対して、特に北方墓参に重点を置いて、事業の再開を求めてまいりたいと考えております。

EUによる日本産食品輸入規制措置

【日経新聞 小林記者】福島第一原発事故を受けたEUの日本産食品の輸入規制についてお伺いいたします。EUは、現在も一部の日本産食品に対して規制をかけていますが、この規制の見直しの期限が23年の6月末となっています。現在の検討状況と、EUの輸入規制に関しての今後の見通しがあれば教えてください。

【林外務大臣】EUの日本産食品の輸入規制に関しまして、現在、EU内部の見直しが行われておりますが、撤廃に向けて前向きな動きがあると承知しておりまして、日本政府として、こうした動きを歓迎しております。
 日本政府としては、あらゆる機会を捉えて、様々なレベルから、EU及びEU加盟国に対し、早期撤廃に向けた働きかけを行ってまいりました。私(林大臣)自身、その先頭に立って、EU及び加盟国のカウンターパートに精力的に働きかけを行ってきたところでございます。
 措置が撤廃されますと、被災地の復興にとっても、大きな後押しとなりますので、今回の見直しで、撤廃が実現するということを期待いたします。

中国の反スパイ法

【NHK 岩澤記者】中国の「反スパイ法」改正について伺います。改正された「反スパイ法」は、明日施行される予定ですが、スパイ行為の定義の拡大に伴って取締りの更なる強化が懸念されています。政府の受け止めと、在留邦人に対してもどのように注意を呼び掛けるか伺います。また、今年3月に、中国当局に拘束された大手製薬会社の日本人男性について、領事面会の実施など、最近の状況についてお願いします。

【林外務大臣】中国の、いわゆる改訂「反スパイ法」につきましては、本年7月1日から施行されると承知しております。
 他国の国内法でありまして、政府として、その一つ一つにコメントすることは差し控えますが、同法については、これまでも中国側に詳細について説明を求めるとともに、法執行及び司法プロセスにおける透明性の確保を働きかけているところでございます。
 同時に、在留邦人への注意喚起を行っておりまして、「反スパイ法」の改訂も踏まえて、きめ細やかな情報発信・注意喚起を通じて、引き続き、在留邦人の安全確保に努めていく考えでございます。
 また、本年3月に、北京市で、中国当局に拘束された50代の邦人男性については、6月14日、在中国日本国大使館館員が、当該邦人との3回目の領事面会を実施しております。本人に確認したところ、これまでの面会時と同様、当該邦人の健康状態に特段問題は生じていないということでございました。
 この件につきましては、4月に、私(林大臣)が訪中した際に、中国側に対し抗議したことを始め、これまでも当該邦人の早期解放を含め、我が国の厳正な立場を強く申し入れてきております。政府としては、中国側に対し、当該邦人の早期解放、これを引き続き、強く申し入れてまいります。
 また、邦人保護の観点から、御家族など関係者との連絡等、できる限りの支援を続けておりまして、引き続き、適切に対応してまいりたいと考えております。

ロシア情勢(プリゴジン氏の動向)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ情勢について伺います。ワグネルのプリゴジン氏が、クーデター未遂を起こす約1か月前、5月15日付のワシントン・ポストが、「プリゴジン氏がウクライナの国防省軍事情報局に通じていた」と報じています。この反乱について、ロシアのメドベージェフ元大統領は、「核大国でのクーデターは、世界が破滅の危機に瀕する」と、事の重大さを警告しています。この報道が事実であれば、ウクライナ及び米国を始めとする西側諸国が、クーデター計画を知っていながら放置していたということになります。林大臣、松田駐ウクライナ大使を始め、日本政府は、この情報を共有されていたのでしょうか。事実関係と大臣のご見解をお聞かせください。

【林外務大臣】プリゴジン氏やワグネルの動向については、政府として、重大な関心を持って注視してきておりますが、報道の逐一についてお答えすることは差し控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、G7を始めとする同志国と、緊密に連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

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