外務省・新着情報

冒頭発言

(1)林外務大臣のASEAN関連外相会議への出席

【林外務大臣】私(林大臣)から2件、ございます。
 まず、1件目でございますが、明日の7月12日から15日まで、ASEAN関連外相会議に出席するために、インドネシアのジャカルタを訪問する予定でございます。13日には、日・ASEAN外相会議とASEAN+3外相会議、14日には東アジア首脳大会議参加国外相会議と、ASEAN地域フォーラム閣僚会合が予定されております。
 ASEANは、我が国の長年にわたる緊密なパートナーでございまして、本年3月に、新たなプランを発表いたしました「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた要でもあるわけでございます。FOIP及びこれと本質的な原則を共有する「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」双方の実現、そして、日・ASEAN友好協力50周年の歴史的節目である今年、12月16日から18日にかけて、東京で開催される予定の特別首脳会議に向けまして、緊密な協力を確認したいと思っております。
 また、今回の会議では、ロシアによるウクライナ侵略、東シナ海・南シナ海、北朝鮮、ミャンマーを始めとする、地域・国際情勢に関して意見交換を行う予定にしております。その中で、日本の方針や考え、これをしっかりと説明し、関係国との連携強化、これを確認したいと考えております。
 更に、この機会に、ASEAN議長国でありますインドネシアや他の参加国との間で会談等を実施する方向で調整中であります。

(2)OSA担当室(安全保障協力室)の立ち上げ

【林外務大臣】2点目でございますが、今年4月に創設をいたしましたOSA(政府安全保障能力強化支援)に関しまして、本日、総合外交政策局の安全保障政策課の下に、これを担当する室である安全保障協力室を立ち上げることといたしました。
 OSAは、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することを目的とした支援の枠組みであります。6月16日に閣議決定されました「骨太方針2023」にも、「OSAを戦略的に推進し、強化する」と記載されておりまして、外務省といたしましては、そのための体制整備に取り組んでいるところでございます。
 こうした観点から、OSAの目的に照らして、意義のある案件を形成して、着実に実施していくとともに、このモニタリングを始めとする事後のフォローアップ、これを適切に実施していくために、今回、新たに、安全保障協力室を立ち上げることといたしました。
 今後、安全保障協力室を中心に、OSAの戦略的な推進・強化、これに取り組んでいく考えでございます。
 私(林大臣)からは以上です。

ASEAN関連外相会議

【朝日新聞 上地記者】冒頭にありましたASEAN関連外相会合について伺います。東南アジア諸国の中には、中国やロシアに対し、中立的や全方面外交を取る国もあります。日・ASEANやバイ会談で、どのような成果を得、また、そのためにどのような日本政府として働きをされるのか。日本とASEANの関係も含めて、それぞれ考えをお伺いします。

【林外務大臣】今般のASEAN関連外相会議では、冒頭にも述べましたように、本質的な原則を共有するFOIP及びAOIP双方の実現などに向けまして、ASEANとの緊密な協力を確認したいと考えております。
 FOIPは、分断や対立ではなくて、協調の世界に向けて、各国が共有すべき考え方を提示するものであります。また、日本は、多様な価値観、文化、歴史、こうしたものを受け入れて、相手を尊重し、誰にでも開かれた形で、対話を通じて、現実的・実践的な形で協力を進めていくアプローチ、これを大切にしております。
 東南アジア諸国の域外国との関係、これは各々の歴史的背景や抱える事情から様々であると承知しておりますが、そうした観点を踏まえた上で、バイ会談の機会も含めて、地域・国際情勢に関して意見交換を行いまして、日本の方針や考えをしっかりと説明しつつ、きめ細かな外交を進めたいと考えております。

ASEAN関連外相会議(ALPS処理水)

【NHK 森田記者】同じくASEANの関連でお伺いします。このASEANで、福島第一原発の処理水をめぐって、中国がARF閣僚会議の中で、反対を議長声明に盛り込むよう求めているとの報道もありますけれども、日本としては会議を通じてどういった対応するお考えでしょうか。また、反発している中国、それから一部に懸念の声がある韓国とは、個別に会談して、説明などは検討されていますでしょうか。

【林外務大臣】今般発表されましたIAEAの包括報告書では、ALPS処理水の海洋放出に対する取組は、関連する国際安全基準に合致しておりまして、人及び環境への放射線影響は、無視できるほどであることが結論として示されております。IAEAは、放出開始後もレビューやモニタリング、これを実施していくということも記されております。
 こうした点を含めて、国際社会の一層の理解を得るべく、日本の立場を明確に説明したいと考えております。
 中国は、ALPS処理水について、事実に反する内容を発信しておりますが、日本からは、累次にわたって科学的根拠に基づき、適切に反論を行っておりまして、中国側に対し、科学的見地に基づいた議論、これを行うように強く求めてきているところであります。
 今後とも、科学的根拠に基づいて、高い透明性をもって、ASEAN諸国や中国を含む国際社会に対しまして、日本の立場を丁寧に説明し、理解が深まるように努めて参りたいと考えております。
 なお、日中外相会談、また、日韓外相会談については、現時点で決まっておることはございません。

【TBS 宮本記者】今のに関連しますけれども、ALPS処理水について、北朝鮮が9日に談話を発表しまして、IAEAの報告書に関して、その放出計画を「積極的に庇護した」ということでIAEAを批判しております。日本として、北朝鮮側に理解を求めていく考えがあるか、ASEAN地域フォーラムには、北朝鮮からの参加も見込まれるわけですが、その機会を利用して、北朝鮮側に何らか接触、あるいは、こう理解を求めていくお考えでしょうか。

【林外務大臣】ご指摘の談話の報道については承知しておりますが、北朝鮮側の発信の一つ一つにコメントすることは差し控えます。また、今ご指摘のありました接触については、何か決まっていることはございません。
 その上で、IAEAの総括報告書は、憲章の下で、原子力分野において国際的な安全基準の策定・適用を行う権限のあるIAEAが、独立した第三者の立場から、科学的根拠に基づいた評価を行ったものと、こういうふうに考えております。

ウクライナ情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 現在、ロシアと湾岸協力理事会諸国の外相戦略対話が開催されています。未だロシアと良好な関係を維持し、ウクライナにおける戦争を終わらせるため、戦争ではなく外交的解決策を未だ信じている湾岸協力理事会やそれらの国々に対する日本の反応を教えてください。

【林外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略は、国際社会が長きにわたる懸命な努力と、多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。これまでは、我が国として、G7と連携しつつ、ロシアに対して、違法な武力の行使を即時に停止し、部隊をロシア国内に撤収させるように求めてきたところでございます。
 こうした中、ロシアは、引き続きウクライナに対する攻撃を続けているほか、プーチン大統領も、併合したウクライナの一部地域、これは交渉の対象でないと述べるなど、歩み寄ろうとする兆しが一切ないということでございます。
 こうした現状におきまして、一日も早くロシアの侵略を終わらせるために、我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、厳しい対露制裁を課すとともに、ウクライナを強力に支援していくことにしております。
 G7広島サミットにおきましても、G7間で、こうした点を改めて確認しました他、いわゆるグローバル・サウスを含む招待国の首脳等の間で、世界のどこであっても、力による一方的な現状変更の試みを許されないということ、そして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性について一致することができました。こうした原則、これは国際社会の幅広い支持を得て、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するための基礎になるものと考えておりまして、引き続き外交努力を継続してまいりたいと考えております。

マイナポータルでの旅券申請

【共同通信 桂田記者】マイナポータルでの旅券申請について伺います。マイナンバーカードをめぐっては誤登録などの発覚が相次いでおり、政府は、専用サイト、マイナポータルで閲覧できる個人情報の総点検実施を表明しています。外務省もマイナポータルを通じた旅券更新手続を今年3月から受け付けていますが、相次ぐトラブルに関連する影響はあるでしょうか。また、総点検の実施によって、運用に遅れが生じたりはしていないでしょうか。

【林外務大臣】旅券のオンライン申請につきましてでございますが、3月27日以降、全国の都道府県におきまして、マイナポータル上で受け付けておりますが、これまで特段の支障は起きていないと考えております。
 旅券の更新手続は、マイナンバーカードを使ったオンライン申請するのみでございまして、マイナンバーの紐づけ誤り事案によって、同オンライン申請システムに影響が出ておりませず、運用に遅れはないと承知しております。

ASEAN関連外相会議(ALPS処理水)

【読売新聞 依田記者】先ほども質問出ましたASEAN関連外相会合での、日中外相会談の調整の関係なんですけれども、現在、その中国が、ALPS処理水の海洋放出をめぐって、反発を強めている中での、このハイレベルでの対話の重要性について、大臣は、どのようにお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、ASEAN議長国であるインドネシアを始め、様々な参加国との間で、会談を実施する方向で調整中でありますが、日中外相会談や日韓外相会談については、現時点で決まっておりません。
 先ほども申し上げましたけれども、IAEAの包括報告書には、ALPS処理水の海洋放出に対する取組、関連する国際安全基準に合致しておりまして、人及び環境への放射線影響は、無視できるほどであるということが結論と示されております。そして、IAEAは、放出開始後もレビューやモニタリングを実施していくということも記載されておるわけでございまして、こうした点を含めて、国際社会の一層の理解を得るべく、日本の立場を明確に説明をしたいと考えております。
 中国は、ALPS処理水について、事実に反する内容を発信しておりますが、日本からは累次にわたって、科学的な根拠に基づいて、適切な判断を行ってきておりまして、中国側に対して、科学的見地に基づいた議論を行うよう強く求めてきております。
 今後とも、科学的根拠に基づいて、高い透明性をもって、ASEAN諸国や中国を含む国際社会に対して、日本の立場を丁寧に説明し、理解が深まるように努力してまいりたいと考えております。

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