外務省・新着情報

令和5年7月12日

 現地時間7月12日午前、リトアニアを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、NATO首脳会合に出席したところ、概要以下のとおりです。

  1. 岸田総理は昨年に続き今回のNATO首脳会合に出席し、NATOパートナー・セッション(日本に加え、NATO加盟国31か国、被招待国としてスウェーデン、NATOの主要パートナー国・機関として豪州、ニュージーランド、韓国、EUの首脳等が出席)でパートナー国としては最初に発言しました。同セッションでは、ロシアによるウクライナ侵略や厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢を踏まえ、NATOとAP4等との間の今後の協力等について議論が行われました。
  2. 同会合中、岸田総理大臣から概要以下のとおり述べました。
    1. ロシアによるウクライナ侵略等によって国際社会は歴史的転換点に直面している。欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、ウクライナ侵略は欧州だけの問題ではなく、グローバルな問題であるとの認識は、広く共有されている。同時に、欧州大西洋の同志国の間でも、インド太平洋への関心と関与が一層高まっていることを歓迎する。
    2. この点、本日の会合は、欧州大西洋とインド太平洋の同志国の連携をより強固なものとし、それを国際社会に示す重要な機会。本日の会合の開催に向けたストルテンベルク事務総長とリトアニア政府の尽力に改めて敬意を表する。
    3. 本年3月、私はキーウやブチャを訪問し、ロシアによる侵略を一日も早く止めさせることが必要だと改めて痛感した。こうした決意を胸に、私は、被爆地広島においてG7広島サミットを開催し、G7、ウクライナ、そしてグローバルサウスを含む招待国の首脳との間で、胸襟を開いて、世界の平和と安定について議論を行った。そして、(1)国連憲章の諸原則を守るべきこと、(2)対立は対話によって平和的に解決し、国際法に基づく公正で恒久的な平和を支持すること、(3)力による一方的な現状変更は世界のどこであっても許されないこと、(4)法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜かねばならないこと、という4つの原則で一致することができた。これらは国際社会が一致して、その平和と安定、そして繁栄に向け従うべき根元的な原則であり、G7議長国として、引き続き全力を尽くしていく。
    4. 我々は、一日も早くウクライナに公正で永続的な平和をもたらすべく、国際社会の連携を一層強化していく必要がある。国際社会にとって極めて重要な食料安全保障や原子力安全といった課題にも焦点を当てることが重要。
    5. G7広島サミットにおいても、あらゆる側面からウクライナを力強く支援し、厳しい対露制裁を継続していくことを改めて確認した。日本は、これまでも人道支援、財政支援、復旧・復興支援、防衛装備品の供与等を行ってきたが、NATO信託基金に拠出した3,000万ドルを活用し、今後、新たに対無人航空機検知システム等の殺傷性のない装備品の供与を進めていく。
    6. インド太平洋の平和と安定は、欧州大西洋の安定と成長や、人々の暮らしとも直結。欧州諸国の貿易量の約36%は、アジアのパートナー国が占めている。 地域を越えた同志国間の協力がますます重要となる中、AP4とNATOとの対話や協力を一層深化させていく。また、本12日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイル発射は、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、強く非難する。国際社会の毅然とした対応が必要である。
    7. 国際安全保障環境が厳しくなるとともに、安全保障の裾野が急速に拡大し、安全保障環境が地域横断的なものとなる中、日本やNATOのような基本的価値と戦略的利益を共有するパートナーは、その絆を更に深めて行くべきである。新時代の挑戦に対応すべく、日NATO協力を新たな高みに引き上げる日NATO間の新たな協力文書の合意を嬉しく思う。伝統的な分野に加えて、サイバー、新興破壊技術、宇宙、情報操作への対応を含む戦略的コミュニケーション等の新たな分野での協力も進めるとともに、人道支援・災害救援等の分野における具体的な協力活動を積極的に検討していく。
    8. 日本は、国際社会が歴史の転換期を迎える中、世界を分断や対立ではなく協調に導くべく、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、本日集まった同志国との連携を更に強化していく。

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