外務省・新着情報

令和5年7月13日
会議の前に、手を繋ぎながら記念撮影に応じうる日本・ASEAN各国外相
日ASEAN外相会議において司会を務める林外務大臣

 現地時間7月13日午後1時15分(日本時間午後3時15分)から約1時間、インドネシア共和国の首都ジャカルタにて日ASEAN外相会議が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要以下のとおりです。今回の会議では、林大臣とドーン・タイ副首相兼外相が共同議長を務めました。

1 開会挨拶

  1. 林大臣は、概要以下のとおり述べました。
    1. 本年は、日ASEAN友好協力50周年という歴史的な節目にあたります。日本は、世界に先んじて1973年にASEANとの対話を開始し、それから半世紀、緊密なビジネス・パートナーとしてのみならず、「心と心」の繋がる真の友人として、地域の平和と安定、繁栄のために協力してきました。
    2. 50周年のキャッチフレーズ「輝ける友情、輝ける機会」が示すとおり、本年は、長きにわたる日本とASEANの「輝ける友情」を次世代につなぎ、新たな時代を共に創るべく、更に関係を強化する「輝ける機会」です。
    3. この50周年の締め括りとして、12月16日から18日に、ASEAN各国の首脳を東京にお迎えして、特別首脳会議を開催します。特別首脳会議では、これからの日ASEAN関係と協力の大きな方向性を示すビジョンを打ち出したいと考えています。

2 日ASEAN協力のレビューと将来の方向性

  1. ドーン・タイ副首相及び各国外相から、日本の「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の取組が、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」の下での取組の進展に貢献していることへの言及や、多くの分野での日本の協力に対する謝意の表明とともに、本年の特別首脳会議を契機に、さらに関係を強化することへの期待が示されました。
  2. これに対し林大臣から、概要以下のとおり述べました。
    1. 日本は、ASEAN一体性・中心性を一貫して支持しています。「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」優先協力4分野に沿った多くの具体的協力案件を実施しています。
    2. 日本は、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想を通じたエネルギー移行支援、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)のデジタルイノベーション・サステナブル・エコノミーセンターの設立、ASEAN感染症対策センターの設立・稼働の支援といった取組を実施しています。
      3月に岸田総理が発表した自由で開かれたインド太平洋の新プランにおいて、東南アジアを重要地域と明確に位置づけるとともに、日・ASEAN統合基金(JAIF)への新たな1億ドルの拠出と日ASEAN連結性イニシアティブを刷新することを表明しました。
    3. JENESYSや「文化のWA」プロジェクトといった、魅力ある文化・人的・知的交流の取組を、更に推進していきます。

3 地域・国際情勢

  1. ドーン副首相及び各国外相から、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、法の支配に基づく国際秩序の重要性、朝鮮半島の非核化や拉致問題の解決の重要性についての発言がありました。
  2. これに対し林大臣から、国際社会の平和と安定の維持のためには、以下の点について皆が一致することが重要である旨述べました。
    1. 全ての国が、主権、領土一体性の尊重といった国連憲章の原則を守るべきこと。
    2. 対立は対話によって平和的に解決することが必要であり、国際法や国連憲章の原則に基づく公正で恒久的な平和を支持するということ。
    3. 世界のどこであっても、力による一方的な現状変更の試みを許してはならないこと。
    4. 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くこと。
  3. また、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略を厳しく非難しました。さらに、東シナ海及び南シナ海の情勢について言及し、海洋権益の主張や海洋における活動は国連海洋法条約に基づいてなされるべきである旨述べました。昨12日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイルの発射は国際社会の平和と安全を脅かすものであるとして強く非難するとともに、拉致問題の即時解決に向けた引き続きの理解と協力を求めました。ミャンマー情勢への深刻な懸念を表明し、人道支援を積極的に継続していくこと、「5つのコンセンサス」の実現のためのASEANの努力を引き続き最大限後押ししていくことを強調しました。さらに、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・強化も重要である旨言及するとともに、経済的威圧に強い反対を表明しました。

4 東ティモール民主共和国

 オブザーバーとして参加した東ティモールのベンディト・ドス・サントス・フレイタス外務・協力大臣から挨拶があり、正式加盟に向けた日本からの人材育成等の支援について、謝意が表明されました。

5 閉会挨拶

 林大臣とドーン・タイ副首相が閉会挨拶を行い、本年の12月の特別首脳会議の成功に向けて、引き続き日ASEAN間で緊密に協議していくことを確認しました。林大臣からは、50周年の機会に、日本とASEANが、新たな時代を牽引し、インド太平洋、さらには世界の持続可能で繁栄した未来を共に創っていく信頼できるパートナーであることを世界に広く発信していきたい旨述べました。


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