外務省・新着情報

令和5年7月13日
会議の前に記念撮影を行う各国外相の様子
ASEAN+3外相会議に臨む日中韓の外相
ASEAN+3外相会議が行われている様子

 現地時間7月13日午後4時05分(日本時間午後6時05分)から約70分間、インドネシア共和国の首都ジャカルタにて第24回ASEAN+3(日中韓)外相会議が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 開会挨拶

 林大臣から、インド太平洋地域が成長の中心(Epicentrum of Growth)であり続けるためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することが不可欠である旨強調した上で、次の取組を紹介するとともに、日本は、ASEAN中心性・一体性を支持し、「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」に沿った協力を重視している旨述べました。

  1. チェンマイ・イニシアティブを更に強化するため、緊急融資ファシリティの創設、及びあり得る資金構造に関するロードマップの作成に向けた取組。
  2. 新型コロナからのより良い回復のため、33億ドル相当の緊急支援円借款を供与。
  3. 自然災害や感染症拡大により食料安全保障の重要性が再確認される中、ASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)を通じたコメ支援を実施。

2 ASEAN+3協力

  1. 林大臣から概要以下を発言しました。
     日本は、引き続きAOIPの主流化を全面的に支持し、AOIPの4つの優先分野における具体的協力を推進していく。
    • 海洋協力:船舶通航支援業務(VTS)管制官育成等、海上保安及び航行の自由に資する協力や、「ASEAN+3海洋プラスチックごみ協力アクション・イニシアティブ」の下、国別行動計画の策定・実施や人材育成などを支援。
    • 連結性:本年、日ASEAN連結性イニシアティブの刷新を予定。
    • SDGs:人間の安全保障の考えに基づき、以下のような取組を支援。
      • APTERRへの支援、ASEAN食料安全保障情報システムの組織強化に係る議論への貢献、「日ASEANみどり協力プラン」に基づく具体的協力の推進
      • ASEAN感染症対策センターへの専門家の派遣を含む全面的な支援
      • 「日ASEAN気候変動アクションアジェンダ2.0」のアップグレード
    • 経済:RCEP協定の透明性のある履行、信頼性のある自由なデータ流通の推進に向けた協力。災害リスクファイナンス、アジア債券市場育成イニシアティブや、金融デジタル化の域内への影響の議論にも貢献。


  2. これに対し、他の参加国から、それぞれの取組や、パンデミック後の経済回復、保健、食料安全保障、金融協力、デジタル経済等を始めとする、優先すべき協力分野について発言がありました。

3 地域・国際情勢

  1. 林大臣から、概要以下を発言しました。
    • 悪化の一途を辿るミャンマー情勢を深刻に懸念する。日本は今後も人道支援を積極的に行うとともに、「5つのコンセンサス」の実現のためのASEANの努力を最大限後押しする。
    • 昨12日の北朝鮮によるICBM級弾道ミサイルの発射は国際社会の平和と安全を脅かすものであり強く非難。また、北朝鮮の今回の発射について重大な懸念を表明するASEAN外相声明が本日発出されたことを歓迎。CVIDの実現に向けて、国際社会が一体となって、安保理決議を完全に履行することが不可欠。拉致問題の即時解決に向け、各国の引き続きの理解と協力を求める。
    • ロシアによるウクライナ侵略を厳しく非難する。力による一方的な現状変更の試みは、世界のどこであっても決して認められない。ロシアによる核の威嚇は断じて許されず、ましてやその使用はあってはならない。
  2. これに対し、他の参加国からは、ミャンマー情勢への言及や、北朝鮮による完全な非核化の重要性等の指摘がありました。
  3. ALPS処理水の海洋放出に関し、中国側から科学的根拠に基づかない主張がなされたことを受け、林大臣から、ALPS処理水の海洋放出は今回示されたIAEA報告書の結論を踏まえ、国際基準及び国際慣行に則り実施するとの日本の立場を明確に説明しました。

4 閉会挨拶

 最後に、林大臣から、国際秩序の維持・強化、気候変動、食料・エネルギー安全保障、公衆衛生危機、デジタル化、AIガバナンスなど、山積する課題に共に対処するため、ASEAN+3各国との協力を強化したい旨述べました。


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